現地時間3月19日、2023年F1第2戦サウジアラビアGPの決勝レースが行われ、セルジオ・ペレス(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで今季初優勝、自身通算5勝目を飾った。
2位に15番手スタートから猛烈な追い上げを見せたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、そして3番手でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がチェッカーを受けたものの、チェッカー後にアロンソに10秒のタイムペナルティが課せられジョージ・ラッセル(メルセデス)が3位表彰台を獲得となった。角田裕毅(アルファタウリ)は11位でチェッカーを受けている。
アロンソが3位に復帰。スチュワードが再調査の結果、認識の誤りを認め、ペナルティを撤回/F1第2戦
サウジアラビア西部・紅海沿岸の都市ジェッダに設けられた超高速市街地コースのジェッダ・コーニッシュ・サーキットを舞台に開催された第2戦。今大会ではC2タイヤがハード、C3タイヤがミディアム、C4タイヤがソフトと、開幕バーレーンGPからは1段階柔らかめのタイヤが割り当てられている。
スタートタイヤは7番手スタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)、20番手スタートのローガン・サージェント(ウイリアムズ)がハード(C4)。12番手スタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)、19番手スタートのランド・ノリス(マクラーレン)がソフト(C2)を選択。そのほかのドライバーはミディアムを選択した。
50周の決勝レース開始直前の気温は26度、路面温度は32度、湿度は55%というコンディション。ルクレールが12番手から、フェルスタッペンが15番手からと後方スタートとなり、その追い上げにも注目が集まった。
今回もナイトレースとなるなか、スタートで抜群の蹴り出しを見せたのは2番グリッドスタートのアロンソ。ターン1のホールショットを奪い、41歳の大ベテランがレースをリードする。
レースはアロンソ、ペレス、ラッセル、ランス・ストロール(アストンマーティン)、カルロス・サインツ(フェラーリ)というオーダーで2週目を迎えたが、スタート位置が規定からズレていたことを理由に、アロンソに5秒のタイムペナルティが下される。
レースは3周目までアロンソがリードするも、4周目のターン1でペレスがDRSも利用し、首位を奪還。一方、フェルスタッペンも4周目には角田、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)らをかわし11番手に浮上している。
トップに浮上したペレスだが、アロンソもペレスのDRS圏内から離れない。7周目に差し掛かるとソフトタイヤスタートのルクレールがピエール・ガスリー(アルピーヌ)をかわし8番手に浮上。ハードタイヤを履きながらも1分35秒台の好ペースを刻むハミルトンの背後に接近。
ルクレールは9周目のターン1でハミルトンを攻略して7番手に浮上する。なお、この周には13番手を走行していたケビン・マグヌッセン(ハース)が早くもピットイン。ハードタイヤでコースに復帰している。
一方、フェスルタッペンは8周目のターン1で周冠宇(アルファロメオ)を攻略し、10番手入賞圏内に浮上。10周目にはガスリーをかわし、8番手ハミルトンの背後に接近する。タイヤコンパウンドの違いもあり、フェルスタッペンは12周目のターン1でハミルトンを容易く攻略し、8番手に浮上する。
そんななか、首位ペレスは10周目に1分34秒255を記録しファステストを更新。アロンソとのギャップを1.577秒まで広げ、アロンソをDRS圏外に突き放す。ただ、アロンソも1分34秒後半のペースで食い下がる。
12周を迎えたタイミングで中段勢を中心にミディアムスタート勢がピットイン。ただアロンソは「タイヤはまだイケる」と無線。そんななか、13周目に上位勢で最も早くピットに入ったのは4番手のストロール。タイヤをハードに変え、1ストップ作戦を取る。
15周目終わりにサインツがピットイン。フェラーリはソフトタイヤのルクレールよりも先にミディアムスタートのサインツを先に入れ、ハードタイヤに交換。サインツはストロールの前でコース復帰し、オーバーカットに成功する。
フェルスタッペンがぴたりと背後につくなか、ルクレールとエステバン・オコン(アルピーヌ)が16周目終わりにピットインし、ともにハードタイヤに交換した。その直後、18周目のターン14でストロールのマシンからわずかに白煙があがり、ストロールはコースサイドにマシンを止めた。
これによりセーフティカー(SC)が導入される。ここで角田、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)らがピットイン。角田はオコンの前でコースに復帰と、SC導入の好機を大きく活かすことがかなった。
その翌周の19周目にはペレス、アロンソ、ラッセル、フェルスタッペン、ハミルトンがピットイン。なお、アロンソはここで5秒のタイムペナルティを消化したかのように思われた。これでペレス、アロンソ、ラッセル、フェルスタッペン、サインツ、ハミルトン、ルクレール、角田、オコン、ガスリーというトップ10となった。なお、上位勢でハミルトンのみミディアム。そのほかはハードを装着している。
レースは21周目に再開。各車のギャップが縮まるも、ペレスが抜群のリスタートを決めて首位を維持。ラッセルもターン1でアロンソに仕掛けるも、ここでは順位は変わらず。一方、まだDRSが使えない状況のなか、ミディアムタイヤのハミルトンがサインツを攻略し5番手に浮上する。
23周目のターン27の進入でフェルスタッペンがラッセルを攻略し3番手に浮上。15番手スタートからレース前半で表彰台圏内にまでポジションを上げた。一方、角田はオコン、ガスリーのアルピーヌ勢にかわされ10番手に後退する。
フェルスタッペンの目の覚めるような追い上げは続き、25周目のターン1でアロンソをかわし2番手に浮上。この時点でペレスとは5.476秒のギャップがあったが、フェルスタッペンは1分32秒933を記録する驚異のペースでペレスとのギャップを縮めにかかる。
26周目、アルボンのマシンをブレーキトラブルが襲い、スローダウン。なんとか自走でガレージに戻ることはかなったが、ここでレースを終えることとなった。
ライバル勢が1分34秒台の中、レッドブルの2台だけが1分32秒台を刻み、後続を大きく突き放す。フェルスタッペンが追い上げる一方、ペレスも対抗。ペレスとフェルスタッペンがお互いにファステストラップを更新し合う状況となり、2台の差は5秒からなかなか縮まらない。
残り15周目を迎え、3番手のアロンソは2番手のフェルスタッペンから11秒離されるも、4番手のラッセルに対し、3.2秒のリードを築く。そんななか、1ポイントをかけた10番手争いでは角田の背後にマグヌッセンが接近。マグヌッセンは35周目のターン1で角田を攻略にかかるもブレーキングでミス。角田とのギャップを1.5秒まで広げてしまう。
トップ2台のギャップは37周目を迎えても4.5秒。ペレスとフェルスタッペンは依然として1分32秒前半というペースで周回を重ねる。ただ、フェルスタッペンが「ドライブシャフトがラフになっている」と無線。38周目には1秒弱ペースを落としたフェルスタッペンだったが、39周目には1分32秒432とペースを取り戻す。
そんななか、40周目のターン1でマグヌッセンが角田に仕掛けた。しかし、角田もブロックラインを取り、ポイント圏内を守る。一方、角田のチームメイトのデ・フリースは42周目の最終コーナーでサージェントを攻略し、14番手に浮上する。46周目には三度10番手争いが白熱。ターン1でマグヌッセンが角田を先行。さらに、2台の差は早々に1.5秒まで広がってしまい、角田の巻き返しはかなわず。
50周目、ペレスがポール・トゥ・ウインで今季初優勝、自身通算5勝目を飾った。5.355秒差の2番手にフェルスタッペンと、レッドブルは今大会もワンツーを飾った。3番手でアロンソがチェッカーを受けたが、暫定表彰式終了後にアロンソに10秒のタイムペナルティが課せられ、アロンソから5.138秒差の4番手でチェッカーを受けたラッセルが3位に繰り上がりとなった。
アロンソは暫定表彰式に登壇も4位に後退。5位ハミルトン、6位サインツ、7位ルクレール、8位オコン、9位ガスリー、10位マグヌッセンまでがポイント獲得。角田は2戦連続の11位に終わり、今回もポイント獲得には届かなかった。なお、ファステストラップはフェルスタッペンがファイナルラップに記録した1分31秒906となる。
次戦となる2023年F1第3戦オーストラリアGPは3月31日~4月2日に、メルボルンのアルバート・パーク・サーキットで開催される。
追記:アロンソにはセーフティカー中の5秒ストップペナルティの際にリヤジャッキが触れていたため作業中と見なされ、ペナルティ消化が認められずレース後に10秒加算のペナルティが課されたが、チームの訴えが認められたためFIAがアロンソへの10秒ペナルティを撤回。アロンソの3位表彰台が正式結果となった。
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