2月25日、スーパーバイク世界選手権(SBK)第1戦オーストラリアラウンド決勝レース2が、フィリップアイランド・サーキットで行われ、マルコ・メランドリ(Aruba.it(アルバ.イット)レーシング-ドゥカティ)が決勝レース1に続き優勝。開幕戦ダブルウインを達成した。
レース2では、土曜日に行われたレース1でタイヤライフに問題が発生したことにより、フラッグ・トゥ・フラッグが導入。これはフィリップアイランドがタイヤに厳しいコースゆえに発生した問題で、SBKはマシンが1台体制のためマシン乗り換えではななくタイヤ交換しなければならない。ライダーは22周のレースのなかの10周目から12周目までのいずれかのタイミングでピットインし、タイヤ交換を行うこととなった。
ドゥカティのメランドリがSBK開幕戦レース1で勝利。カワサキのレイ、タイヤに問題発生
グリッドはレース1の結果が反映され、ポールポジションにはチャビ・フォレズ(バーニーレーシングチーム)、2番手にはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、3番手にはアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム)の3人がフロントロウ。
決勝レース1で優勝を飾ったメランドリは9番手、2位表彰台のトム・サイクス(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)は8番手、チャズ・デイビス(Aruba.it(アルバ.イット)レーシング-ドゥカティ)が7番手に並んだ。
レース2でホールショットを奪ったのは、レース1でリヤタイヤに問題が発生したため表彰台を逃したレイ。しかし、すぐさま5番手スタートのユージン・ラバティ(ミルウォーキー・アプリリア)がレイからトップを奪取しあっという間にレイ以下に対して差をつけ、オープニングラップですでに約1.1秒ものアドバンテージを築く。
そのラバティは3周目、6コーナーでクラッシュ。再スタートはしたものの、トップ争いからは脱落してしまう。代わってトップに浮上したのはデイビスで、フォレズ、レイ、マイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム)、メランドリ、レオン・キャミア(レッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイクチーム)、サイクスらが隊列を組んだまま周回を重ねる。
スタートで履いていたタイヤは最高でも12周までで交換しなければならず、タイヤの持ちを22周分考えなくてよいこともあり、序盤から各コーナーで激しいポジション争いが繰り広げられた。
そして迎えた10周目、トップ集団で最初に動いたのはフォレズ、レイ、ファン・デル・マーク。その翌周にはデイビス、メランドリ、ロウズ、サイクス、キャミアがピットインしてタイヤ交換を行う。このとき、再びコースインしたデイビスがトップを奪還。レース後半戦をリードするかに思われた。
しかしピットアウト1周目となる13周目、そのデイビスが10コーナーでスリップダウン。リタイアを喫してしまう。デイビスの転倒により再びトップに立ったのはフォレズ。しかし、ここからディフェンディングチャンピオンのレイ、そしてレース1で優勝し勢いに乗るメランドリによる手に汗握る戦いが幕を開けた。
残り8周、メランドリが1分30秒848のサーキットレコードを叩き出してトップ集団のフォレズ、レイ、サイクスに迫る。さらに残り6周目には、ホームストレートで一気に加速すると1コーナーで深く激しいブレーキングを見せ、サイクスを交わして3番手に浮上。前を行くフォレズとレイを猛追する。
2番手のレイは残り4周で1コーナーのブレーキングでトップのフォレズを抜きにかかるも、ここではフォレズが再びトップを奪還。しかしレイはその翌周、再び1コーナーのブレーキングでフォレズに勝負。1コーナーで先行し前周でフォレズに抜き返されたラインをしっかりと締めると、ついにレイがトップに立った。
さらに4コーナーでラインを外したフォレズをメランドリが交わし2番手に浮上。トップのレイと2番手メランドリの差は0.151秒という僅差でラストラップを迎えた。
ラストラップ、メランドリが今大会で何度もオーバーテイクを見せてきてたホームストレートの加速でレイの前に出る。しかしレイはトップを1コーナーで奪還。メランドリはコーナーごとにレイのインをねらう様子を見せるも、レイは隙を見せない。
レイは最終コーナー立ち上がりまでトップをキープするが、メランドリはゴールライン直前でスリップストリームから抜け出して加速。レイ、メランドリはほぼ並んでチェッカーを受けた。目視ではほぼ同着。その結果は、メランドリがレイよりもわずか0.021秒だけ前でゴールするという劇的なものだった。
優勝はメランドリ。レース1に続く連勝、ドラマチックなレース2をものにした。2位にはメランドリと名勝負を繰り広げたレイ、3位にはインディペンデントチームながら表彰台の一角を占めたフォレズが入った。4位にサイクス、5位にロウズ、6位にキャミア、7位にファン・デル・マークで入賞を果たしている。
一方、同日に開催されたスーパースポーツ世界選手権(WSS)決勝レース。WSSフル参戦ライダーの大久保光は2018年シーズンからカワサキ・プセッティ・レーシングにチームを移籍。2015年、2016年のWSSチャンピオンであるケナン・ソフォグルのチームメイトとなった。
土曜日に行われた予選では、ディフェンディングチャンピオンのルーカス・マヒアス(GRT・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSSP・チーム)がポールポジションを獲得。大久保はスーパーポール1で2番手タイムをマークしてスーパーポール2に進むと、12番手グリッドで決勝レースを迎えた。
日曜日に行われた決勝レース。大久保はスタート直後に2コーナーで転倒してしまう。その後レースは4周目に転倒者が出たことで赤旗中断。残り9周で再スタートが切られ、ポールポジションスタートのマヒアスがスタートからトップに立ち、そのまま独走、2位に1秒274差をつけて優勝した。
2番手をランディ・クルメナヒャー(バーダル・エバン・BROS.ワールドSSP・チーム)とフェデリコ・カリカスロ(GRT・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSSP・チーム)が激しく争い、クルメナヒャーが7周目に前に出ると、そのまま2位でゴール。
カリカスロはゴールライン直前まで3位をキープしていたが、ゴールライン直前にスリップストリームから抜け出したサンドロ・コルテセ(カリオ・レーシング)がカリカスロの前に出ることに成功、コンマ039秒差で3位でゴール。コルテセはWSS初レースで表彰台を獲得した。カリカスロは4位となったが、上位4位をヤマハ勢が独占した。
ソフォグルは序盤にトップ集団へ加わっていたが後退し、13位でゴール。大久保は転倒後に再びスタートを切り、赤旗中断後に行われたレースで14位入賞を果たした。
SBK、WSSの次戦、第2戦タイラウンドは3月23~25日に開催される。
■SBK開幕戦フィリップアイランド レース2順位結果
Pos.No.RiderTeam/MachineTime/Gap133M.メランドリAruba.it レーシング-ドゥカティ(Ducati Panigale R)34'42.63321J.レイカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK
(Kawasaki ZX-10RR)0.021312X.フォレズバーニーレーシングチーム(Ducati Panigale R)0.304466T.サイクスカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(Kawasaki ZX-10RR)1.488522A.ロウズパタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム(Yamaha YZF-R1)2.47462L.キャミアレッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイクチーム(Honda CBR1000RR)2.745760M.ファン・デル・マークパタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム(Yamaha YZF-R1)3.098881J.トーレスMVアスグタ・レパルト・コルセ(MVアグスタ1000 F4)14.301976L.バズガルフ・アルテアBMWレーシング・チーム(BMW S1000RR)14.3611054T.ラズガットリオグルカワサキ・プッシェティ・レーシング(Kawasaki ZX-10RR)19.7851140R.ラモスチームカワサキ・ゴー・イレブン(Kawasaki ZX-10RR)25.2371236L.メルカドオレラック・レーシングVerdNatura(Kawasaki ZX-10RR)40.5041345J.ガニュレッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイクチーム(Honda CBR1000RR)58.9231499P.ジェイコブセントリプルMホンダ・ワールド・スーパーバイク・チーム (Honda CBR1000RR)1'00.0841550E.ラバティミルウォーキー・アプリリア(Aprilia RSV4 RF)2 Laps-7C.デイビスAruba.it レーシング-ドゥカティ(Ducati Panigale R)11 Laps(リタイア)-37O.ジェゼックグアンダリニ・レーシング(Yamaha YZF-R1)-(1周できず)-25D.ファルゾンヤマハ・レーシング・チーム(Yamaha YZF-R1)10 Laps(失格)
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