F1、P1に続く"1"マシン第3弾
マクラーレンから新たに”1″を名乗るハイパーカーがデビューした。1990年代に伝説となった『F1』、新生オートモーティブカンパニーのアイコンとなった『P1』に続く”1″マシンの第3弾、『マクラーレンW1』の登場だ。
【画像】マクラーレン史上、最高性能のロードカー『W1』 全8枚
Wはワールドチャンピオンを意味する。いうまでもなくチーム・マクラーレンはF1王者の常連であり、2024年もチャンピオンシップを懸けて最前列で戦っている。
ロードカー分野でも当然のことながら目指すは世界一。そのことを高らかに宣言すべく、W1の発表日は10月6日とした。ちょうど50年前のこの日、マクラーレンはF1界においていずれも初となる、ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルをWで獲得したからである。
それゆえW1の目指したパフォーマンスは、現時点で世界トップレベルになると言って良い。例えば同門の『スピードテール』よりも素早く300km/hに達し、テストトラックでは『セナ』を大きく引き離してラップを重ねるような性能を目指し、開発されたというから驚く。
見どころもまた実にマクラーレンらしい。ロードカーとしては最高レベルの空力スペックと、完全新開発のハイブリッドV8パワートレーン、そして新たなカーボンセルをコアとする軽量化(最軽量乾燥重量は1399kg!)の徹底である。これらは全てマクラーレン製ロードカーに共通する”哲学”であり、アルティメット・シリーズは時代におけるその極限を目指す必要があった。
W1は世界限定399台で、すでにアロケーション済み。価格は2ミリオン・ポンド以上で、もちろんMSOによるパーソナライゼーションはほとんど無限に可能だ。
システム最高出力1275ps&最大トルク1340Nm!
まずは驚異のパワートレインから見ていこう。次世代に向けて新たに開発された4LV8エンジンは『MHP-8』と呼ばれ、最高出力は928psを誇る。リッターあたり驚異の233ps。最高許容回転数は9200rpmだ。
これに347psを発揮するアクシャルフラックスモーターを含んだEモデュールを組み合わせ、システムでの最高出力1275ps&最大トルク1340Nm(136.7kg-m)を達成。8速DCT(バックは電気式)とEデフを介し、リア二輪へと全ての駆動力をデリバリーする。そうマクラーレンはまたしてもミドシップRWDを貫いてきた。
0-100km/h加速は2.7秒、同じく200km/hまでが5.8秒、300km/hまでが12.7秒を誇る。ちなみにバッテリー容量は1.384kWhで、走行中の使い勝手=電気の出し入れを重視するスペックとなっている。
マクラーレンといえばCFRP製モノコックボディが車体性能のコアとなる(それ以外の材質を使ったボディを1980年代以降作ったことがない!)が、W1用は完全に新設計の専用品で『アエロセル』と名付けられた。
新たな特徴としてはマクラーレン初のガルウイング、『マクラーレン・アンヘドラル・ドア』を組み合わせ、シートをモノコックと一体化したことだ。これらによりホイールベース換算で70mmの短縮に寄与したという。
またフロントサスペンションはインボード方式を採用、アエロセルに直接組み付けられている。プッシュロッド式サスとした点もマクラーレンのロードカーとしては初めて。フロントのアーム類は3Dプリント品で、重量と空力、機能の最適化が図られている。
まるで2024年シーズンのF1マシン
発表を前にごく限られたメディアをMTC(マクラーレン・テクニカル・センター)に招き、スニークプレビューが開催された。全ての電子デバイスを入口で預け、円形の”小劇場”(プレゼンテーションルーム)に入ってみれば、センターステージでいまだベールに包まれたW1と対面する。
アンベールの瞬間、固唾を飲んで見守った。オレンジとブラックに塗り分けられたW1が姿を現す。筆者の第一印象は「想像したよりもシンプル」というものだった。
もちろん隅々まで妥協なくこだわり抜いた空力最重視のスタイリングゆえ、特に車体の下半身はなかなか凝ったカタチをしていたのだが、ブラックアウトされている部分も多く、またヘッドライト周りのデザインがとてもわかりやすかったために、どこかシンプルに見えたのだろう。ドアから後ろ、インテークからリアフェンダーの膨らみあたりはP1の正統な後継車といったスタイルだと思った。
ドアあたりの造形は、”凄い”を超えて”凄まじい”。まるで2024年シーズンのF1マシン、MCL38じゃないか。ドアを上げてみれば、その断面がまたF1マシンのウイングのようで、3枚のパネルで構成されているのが分かる。全てのパーツ、インテリアも含めて、空力を考慮したかのようだ。
レースモードを選べば最低地上高がフロント37mm、リア17mm下がり、さらに『マクラーレン・アクティブ・ロングテール』と呼ばれるリアウイングは300mmも後へずらされて、フロント350kg、リア650kg、合計最大1トンものダウンフォースを高速コーナリング中に発するという。
マクラーレン史上、最高性能のロードカー降臨である。そのトラックパフォーマンスもまた、現時点で世界最高クラスというほかない。
SPEC:McLaren W1
ドライブトレイン:90度V型8気筒ツインターボ(MHP-8型)&ラジアル・フラックス型エレクトリック・モジュール搭載ハイブリッド
排気量:4.0L(3988cc)
レイアウト:縦置きミッドシップ/後輪駆動
最高出力:1275ps(ガソリンエンジン928ps/エレクトリック・モジュール347ps)
最大トルク:1340Nm/4500-5000rpm(ガソリンエンジン900Nm/エレクトリック・モジュール440Nm)
トランスミッション:8速DCT&Eリバース
サスペンション:F&Rダブルウィッシュボーン
ブレーキ:カーボン・セラミック・レーシング+(MCCR+)
ホイール:F 19×9.5J R 20×12.0J
タイヤ:F 265/35/R19 R 335/30/R20
全長×全幅×全高4635×2074×1182mm
ホイールベース:2680mm
トレッド:F 1676mm R 1624mm
最軽量乾燥重量:1399kg
パワーウェイトレシオ:911ps/t
燃料タンク容量:62L
バッテリー容量:1.384kWh
バッテリー充電時間:22分で80%(EVSEケーブル使用)
EV航続距離:2km
ラゲッジ容量(Wet/DIN):118L/87L
0-100km/h加速:2.7秒
0-200km/h加速:5.8秒
0-300km/h加速:12.7秒以内
最高速度:350km/h(電子的に制限)
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みんなのコメント
232psでしょ。割算も出来ないのか、それとも最高出力932psの間違えなのか