タタ、英国に巨大バッテリー工場建設へ
JLR(ジャガー・ランドローバー)の親会社であるインドのタタは7月19日、英国にEV用バッテリー工場を建設することを正式に発表した。
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総額40億ポンド(約7200億円)以上を投じ、傘下の自動車メーカーや他社へのバッテリー供給を早ければ2026年から開始することを視野に入れ、生産体制の確立を目指す。
タタの工場は年間40GWhの生産能力を持ち、サンダーランドにあるエンビジョンのバッテリー工場の最終目標38GWhを上回ることになる。ファラデー研究所は、英国でEV生産の需要を満たすには、2030年までに合計100GWhの現地生産能力が必要で、2040年までに200GWhに増加すると予測している。
タタ・サンズのN・チャンドラセカラン会長は、19日に発表した声明で次のように述べている。
「本日、タタ・グループが英国に欧州最大級のバッテリーセル生産施設を設立することを発表できることを嬉しく思います。数十億ポンドを投じるこの投資は、最先端の技術を英国にもたらし、当社の事業であるJLRを中心とした自動車部門の電動モビリティへの移行を後押しするものです。この戦略的投資により、タタ・グループは、テクノロジー、消費財、ホスピタリティ、鉄鋼、化学、自動車など、英国で事業を展開する多くの企業とともに、英国へのコミットメントをさらに強化することになります」
工場の建設予定地はイングランド南西部のサマセット州と見られるが、詳細は不明。同州のブリッジウォーターは過去に、テスラ、リヴィアン、JLRなどさまざまな自動車メーカーのバッテリー工場計画に関連してきた場所である。
タタは、「モビリティとエネルギー部門におけるさまざまな用途のための持続可能なバッテリーセルとパック」を生産し、「急速」な立ち上げを経て、3年以内に操業を開始する予定だ。
タタはまた、バッテリー工場で「再生可能エネルギーの比率の最大化」を計画しており、最終的には100%「クリーン」な電力利用を目標としている。さらに自社でバッテリーをリサイクルし、原材料を回収して新しいバッテリーに再利用することで「真の循環型経済エコシステム」を構築することを目指すという。
英国政府「歓迎」 EU関税回避も後押しか
多くの評論家はタタの投資について、1984年に日産自動車がサンダーランド工場の建設に合意して以来、英国の自動車産業にとって最も重要な支出であると見ている。
実際、英国のリシ・スナク首相は、タタがインド国外初のバッテリー工場建設予定地に英国を選んだことを、「英国に対する大きな信任投票」と歓迎している。
スナク首相はまた、「国中の英国人のために何千もの熟練した雇用を創出するだけでなく、EVへの世界的な移行における我々のリードを強化し、将来のクリーン産業における経済成長を助けるだろう」と述べた。
英BBCは以前、タタに提示されたインセンティブ(助成金やエネルギー補助金を含む)は約8億ポンド(約1440億円)に上ると報じた。
JLRの広報担当者は5月、AUTOCARの取材に対し、すべての協議、決定、補助金はタタの問題であり、JLRはタタ工場の顧客となるだけだと述べた。また、同社のエイドリアン・マーデルCEOは4月、JLR自らギガファクトリーを建設することはないとし、「当社の計画にはない」と明言した。
タタ・モーターズのPBバラジ最高財務責任者(CFO)は、主にJLRとタタ・モーターズ向けにバッテリーを供給するが、他社にも販売する方針を示している。この工場では、リン酸鉄リチウム(LFP)とニッケル・マンガン・コバルト(NMC)の2種類の化学物質を使用したセルを生産する予定で、後者はJLR向けに供給されるという。
「バッテリーの生産計画については十分カバーできていますが、欧州ではある程度のセル生産能力が必要になるでしょう」とバラジ氏は述べた。
この動きは、ブレグジット(EU離脱)協定により2024年から厳しくなる欧州の「原産地規則」をJLRが遵守するための重要な一歩となる。新しい原産地規則では、無関税貿易の条件として、EVの生産額の45%をEUまたは英国から調達することが義務付けられており、2027年にはこの比率が65%に引き上げられる。
英国でシトロエン、フィアット、プジョー、オペル/ヴォグゾールの商用バンを製造するステランティスは以前、この規制強化を延期するためにブレグジット協定の再交渉を政府に求めた。規制の結果、国内の数千人の雇用が失われ、工場閉鎖につながると警告した。フォードとJLRも同様の見解を示している。
フォードは、この規則は「グリーン化を望む顧客に無意味なコストを強いることになる」とし、JLRは「非現実的で逆効果だ」と批判した。
追加取材:フェリックス・ペイジ(英国編集部)
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