11月28日、ロードレース世界選手権MotoGPクラスの2024年シーズンに向けたバレンシア公式テストがスペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われ、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が最多の86周を走破してトップタイムをマークした。
最終戦バレンシアGPでシーズンの幕を閉じたが、その2日後には同地にてテストが行われ、早くも2024年シーズンに向けて始動した。レギュラー参戦ライダーに加えて新しい顔ぶれや、テストライダーも参加し、計23台が各テストを遂行していく。
中上貴晶、2024年プロトタイプに好感触「来シーズンに可能性があることを実感した」/バレンシア公式テスト
現地時間午前10時から午後17時までの長丁場のセッションとなったが、開始30分ほどでルカ・マリーニ(レプソル・ホンダ・チーム)が先陣を切ってコースイン。マルク・マルケスの後任として移籍し、ホンダ初ライドとなったマリーニが感触を確かめながら走行を重ねていた。
気温が上がり始めた頃には各ライダー達が次々にコースへと入っていき、テストを開始する。なかでも注目を大きく集めているマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)は、ピット前にはジャーナリストが大勢殺到するなかで入念に動作を確認。その後、開始から1時間ほどでドゥカティ デスモセディチGPに跨る姿を披露し、初走行を終えると少し笑みをこぼす場面もあった。その後、1分29秒460をマークして首位に立つと、弟のアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)とワン・ツーに並んだ。
最終的にマルク・マルケスは49周を走破し、トップから0.171秒差の4番手で終えて初のドゥカティ機によるテストを終えている。ドゥカティ勢トップは3番手のマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)だった。
ドゥカティ勢は、新シャシーと新エンジンを搭載したマシンを投入。2年連続王者を獲得したドゥカティ・レノボ・チームのフランセスコ・バニャイアとエネア・バスティアニーニ、そしてチャンピオン争いを展開したホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)の3名が主にテストを行っていたようだ。マルティンはセッション中に2度の転倒があったが、51周をこなして15番手で終えている。
さらに、アレック・マルケスは2023年型と2022年型のマシンでテストしていたようだ。チーム移籍となったファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ムーニーVR46レーシング・チーム)もすぐに適応させたようで7番手、新しい顔ぶれとなったフランコ・モルビデリ(プリマ・プラマック・レーシング)は初のドゥカティ機で16番手となった。
そんなドゥカティ勢より好調さを発揮したのは、第20戦バレンシアGPの予選でも圧倒的タイムでオールタイムラップ・レコードを更新したビニャーレスだった。エースのアレイシ・エスパルガロが第19戦カタールGPでの負傷により、ビニャーレスが主軸となってテストを遂行していたようだ。
テストライダーを務めるロレンツォ・サバドーリも参加するなか、アプリリア勢は新しいスイングアームをテスト。ビニャーレスがトップ、さらに2023年型のRS-GPに初搭乗したラウル・フェルナンデスも5番手で終えるという、好調な出だしとなった。
そんなアプリリアに次いだのは、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)だった。KTM勢は、マシンにゼブラのカモフラージュ模様があしらわれ、新エアロとエアインテークを備えたRC16を導入。ビンダーは転倒があったものの、終盤にタイムを上げて2番手、ミラーも9番手に入りトップ10に2台が並んでいる。
サテライトのGASGASファクトリー・レーシング・テック3からは、継続参戦のアウグスト・フェルナンデスに加え、2023年Moto2王者であり、来季は唯一のルーキーとして参戦するペドロ・アコスタが参加。赤いスーツに身を纏い、自身初のMotoGPマシンに乗り込んだアコスタは、トップからわずか1.2秒差でテストを終えでおり、ルーキーながらも健闘した走りを見せてテストを終えた。
トップ10には、ホンダRC213V初ライドとなったマリーニも食い込んだ。ホンダはシャーシやスイングアーム、そしてエアロにエキゾーストを一新した完全にアップデートしたマシンを用意していた。さらに終盤には、ジョアン・ミルがリヤエンドエアロを装着したマシンもテストしていたようだ。
マリーニに加え、ホンダへの移籍で話題を集めたヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)も、このテストでホンダRC213Vでライドする姿を披露した。2023年型と2024年型のマシンを比較し、転倒もあったものの61周をこなした。中上も順位こそ21番手となったが、プロトタイプのマシンに好感触を抱いていたようだ。
惜しくもトップ10入りとはならなかったヤマハ勢は、前回のミサノ公式テストで投入した2024年仕様のエンジンにアップデートを加えたものをテストしていたようだ。長いデュエルエキゾーストも持ち込んでおり、ファビオ・クアルタラロと新しく加入したアレックス・リンスがテスト。
クアルタラロは12番手、ヤマハ初乗りとなったリンスは54周をこなして19番手で終えている。さらにヤマハは、テストライダーを務めるカル・クラッチローも参加しており、新シャシーを搭載したマシンでテストする姿もあったようだ。
年内最後となった今回のバレンシア公式テストでは、各ライダー達が各々テストをこなし、また新天地でスタートさせたライダーの姿も多く見られた。2024年に入ると2月1~3日にはセパン・インターナショナル・サーキットでシェイクダウンテスト、さらに3日後にはセパン公式テストが行われることになる。
今回のテストも各チームとライダーにとって多くのデートを収集し、有意義なものとなったことに違いはない。しかし、あくまでテストに過ぎない。そのため、次回のセパン公式テストで2024年の勢力図が徐々に見え始めてくるのではないだろううか。
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