2018年8月31日、ルノー・ジャポンは「アクティブにヴァカンス」をテーマにしたCセグメントのクロスオーバーSUV「カジャー」を、2018年前半に発売することを発表。その発売に先立ち、上質なサウンドでよりアクティブに過ごすために、専用設計のBOSEサウンドシステムと大型パノラミック ルーフを装備した限定車「カジャー Bose」を、同日から100台限定で発売する。
■ポジショニングとコンセプト
カジャーはルノー初のCセグメント・クロスオーバーで、2015年のジュネーブ・モーターショーでワールドプレミアが行なわれ、4月からヨーロッパで発売が開始された。その後2016年には中国で発売されている。
カジャーは、ルノー/日産のモジュラー設計コンセプト、コモンモジュールファミリー(CFM)C/Dプラットフォームを採用した初のモデルで、日産キャッシュカイ(エクストレイルのショートホイールベース版ヨーロッパ仕様)と兄弟関係にある。
ルノーのクロスオーバーSUVはC/Dセグメントのコレオス、Bセグメントのキャプチャーをラインアップしている。初代コレオスは日本では2009年~2014年にCセグメントで販売されたが、グローバルでは2016年にモデルチェンジし、C/Dセグメントにサイズアップして販売されている。
カジャーはキャプチャーとコレオスの中間にポジションするCセグメントのクロスオーバーとして企画され、グローバルの幅広い地域で戦うクルマで、ライバルの多いこのセグメントで「ベスト in クラス」を目指して開発されている。
コンセプトは「アクティブ・ヴァカンスを楽しむクロスオーバー」とされ、同時に最新のルノー・デザインを採用。ダイナミックさと力強さ、情熱と洗練を感じさせるデザインを目指し、キャプチャーのダイナミックさや力強さ、そしてルーテシアの情熱的、魅惑的なテイストをミックス。カジャーはどの角度から見ても筋肉質でダイナミックな曲線で構成され、ライバルとは一線を画している。
一方で19インチサイズの大径ホイールが収まるホイールアーチ、ボディ下部全周をカバーするアラウンドボディプロテクターなどはSUVらしさをアピールしている。
ルノー・デザインを象徴する「C」シェイプのLEDデイタイムランプは、独自の存在感を主張し、リヤランプも、フロントと共通するデザインのLEDランプを採用。なお日本の保安基準の変更に伴い、今回からヨーロッパ仕様とまったく同じデイタイムランプが装備されている。
今回発表されたように、カジャーは日本市場には2018年前半から本格導入されるが、今回の限定車は、ジャポンがルノー本社に依頼して100台だけ約半年前倒しでの発売となった。
現在、ルノー・ジャポンはトゥインゴ、ルーテシアの販売は好調だが、Cセグメントのメガーヌはモデルチェンジのために現行モデルは生産中止になり、商品不在の状態。そのため、急遽カジャーBoseを限定車として販売することになったという事情がある。もちろん成長著しいCセグメントのクロスオーバーを今後ルノー・ジャポンの柱とするための布石でもある。
■ボデイ、パッケージング
カジャーのボディサイズは全長4455mm、全幅1835mmに対し、全高が1610mmと低目でスポーティなプロポーションとし、一方で最低地上高200mm、アプローチアングルは18度、デパーチャーアングルは28度と、SUVに相応しいダイナミックなフォルムにまとめられている。
またラゲッジ容量は、527L、6:4分割式のリヤシートバックを折りたたむと1478Lというクラスを超えた大容量を実現。リヤラゲッジルームはアンダーラゲッジスペースを備え、ラゲッジボードの仕切りにより多様な使い方ができる。
走りの資質は、アクティブ・ヴァカンスを訴求しているように、ヨーロッパ流の500km、1000kmを一気にドライブするために優れたシートの採用、クラスを超える静粛性の実現など、ルノーならではのテイストを追求。さらにインテリアの質感、先進装備などベスト in クラスにふさわしい性能、装備を実現している。
■装備
インテリアは大幅に質感が高められ、スポーティでモダンなデザインとしている。メーターパネルはカラーや表示をドライバーの好みで自在に変更できる、フルカラーTFTのプログラマブル・ディスプレイを採用。
表示できるカラーは、レッド、ブルー、ブラウン、グリーン、パープルの5色で、メーターパネル中央の画面には、スピードメーター、タコメーター、オーディオ、運転支援システム(ADAS)を表示することができる。
またインスツルメントパネルのセンターには7インチ・マルチファンクション・タッチスクリーンが設置され、ルノー最新の「R-Link2」が装備されている。このシステムは、マルチメディア(ラジオ、オーディオ、ビデオ、画像の再生)、車両の機能設定、Bluetoothによるハンズフリー通話、電話帳へのアクセス、受信した音声メッセージ/テキストメッセージへのアクセス、スマートフォンとのミラーリング接続、エアコン設定、ドライバー・カスタマイズなど多くの機能を統合したシステムだ。
またカジャーは、、2個のカメラ、12個の超音波センサー、ミリ波レーダーで車両の周辺状況をリアルタイムで把握し、ドライバーをアシストする運転支援システム(ADAS)が搭載されている。この運転支援システム(ADAS)は、R-Link2で設定・操作するのが特長だ。
機能は、車線逸脱警報(70km/h以上で車線を検知し、逸脱しそうになると左右いずれかのスピーカーから警告音を発生)、後側方車両検知警報(4個の超音波センサーで死角の車両を検出し、 ドアミラー内のLEDインジケーターで注意を喚起。作動は30km/h~140km/h)、オート・ハイ/ロービーム、緊急ブレーキ(ミリ波レーダーで前方車両を検出し、衝突の可能性が高まると警告灯やブザーによりドライバーに警告。ドライバーが減速しない場合は、自動でブレーキをかける。ドライバーの減速が不十分な場合システムはブレーキ力を20~30%程度アシスト。さらに自動的に緊急ブレーキを作動させる。30km/h~140km/hで作動)。イージーパーキングアシスト(12個の超音波センサーで駐車可能なスペースを検出し、ステアリング操作を自動で行ない駐車をサポート。ドライバーは、7インチマルチファンクションタッチスクリーンの表示を見ながらアクセル、ブレーキ操作をするだけで、縦列駐車、垂直方向、斜め方向のバックでの車庫入れ、駐車ができる)
■パワートレーン、シャシー
ヨーロッパ仕様は、ガソリン1.2Lターボ、ディーゼルが1.5L、1.6Lがラインアップされているが、日本仕様は1.2Lのガソリン・ターボのみの設定で、出力は131ps/205Nm。なおこのエンジンはキャプチャーにも搭載されているが、出力がアップされている。
典型的ななダウンサイジング・エンジンで、低速・大トルク型で最大トルクは2000rpmから発生する。また2、3速での加速時にはオーバーブースト機能が作動し、小排気量にも関わらず2.0Lクラス並みの走りを味わうことができる。
これに組み合わされるトランスミッションは、新開発されたマグナ・シュタイヤー/ゲトラグ製の湿式7速EDC(DCT)で、クロスレシオかつ変速比幅7.0となっている。また湿式デュアルクラッチのため、より滑らかな変速フィーリングも実現している。
この最新トランスミッションは、最高320Nmと大量量のトルクにも耐えられ、その一方できわめてコンパクトにまとめられているのも特長だ。なおヨーロッパ仕様では4WDも設定されているが、日本仕様はFFのみの設定。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式。タイヤは225/45R19サイズ(コンチネンタル・スポーツコンタクト5)を装着している。
■特別装備
今回のカジャーは限定車のため、BOSEサウンドシステム、パノラミックルーフなど特別の仕様となっている。なおボディカラーはブランナクレ・メタリックの1色のみだ。
BOSEサウンドシステムは、カジャー専用に設計され9個のスピーカーを装備。広がりのある音作りで、室内でコンサートホールのような音響を再現している。
明るく開放的な室内空間を演出するパノラミックルーフは、縦1000mm×横860mmの超大型ガラスルーフで、サンシェードも装備。
シートは専用のファブリック×レザー調シートで、異なる固さの高密度ウレタンフォームが背中と腰をサポートする。運転席には、ランバーサポートが装備されている。
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