元フェラーリF1ドライバー、フェリペ・マッサが、英国ロンドンの高等法院において、フォーミュラワン・マネジメント(FOM)、国際自動車連盟(FIA)、元F1 CEOであるバーニー・エクレストンに対し、2008年F1シンガポールGPに関する訴訟を起こしたことが明らかになった。
マッサは、フェラーリドライバーだった2008年に、最終戦まで当時マクラーレンのドライバーだったルイス・ハミルトンとタイトルを争ったが、わずか1点差で敗れた。
元FIA会長トッドが2008年F1シンガポールGPに言及「不正に操作されたので間違いなく中止されるべきだった」
この年のシンガポールGPでは、ルノーチームが不正を行ったことが後に発覚。これは“クラッシュゲート”と呼ばれるスキャンダルで、ルノーチーム上層部が、当時のドライバーであるフェルナンド・アロンソにレース中に優位性をもたらすために、チームメイトのネルソン・ピケJr.に故意のクラッシュを指示し、意図的にレースを操作したもの。これによりアロンソは勝利を挙げた。
このレースでマッサはトップを走行していたが、クラッシュによるセーフティカー出動時にピットインした際、フェラーリがピットストップ作業でミスを犯し、給油ホースがマシンに接続された状態でマシンをリリース。これによる遅れと、危険なリリースに対するペナルティで、マッサは13位に終わった。
エクレストンは、昨年4月にドイツのウェブサイト『F1-Insider』に掲載されたインタビューにおいて、自分と当時のFIA会長マックス・モズレーは、ピケのクラッシュは意図的なものであると知っていたが、「F1を守るために」その場で指摘しないことを決めたと示唆した。
ルノーについての調査は翌年に行われ、当時のチーム代表フラビオ・ブリアトーレとエンジニアリングディレクターのパット・シモンズが事故の計画に関わったとみなされ、処罰を受けた。
『F1-Insider』のインタビューでは、エクレストンは「規定に従い、このような状況ではシンガポールでのレースをキャンセルすべきだった。その場合、ルイス・ハミルトンではなくフェリペ・マッサがワールドチャンピオンになっていただろう」と発言したとされている。しかしエクレストンはその後、この発言については記憶にないと述べた。
しかしマッサは、この報道を受けて行動を起こした。昨年8月、マッサの代理人は、マッサは「F1最高レベルの個人、FIAおよびフォーミュラワン・マネジメントによる陰謀の犠牲者」であり、クラッシュゲートにより、数千万ユーロに上る経済的損失を被ったと主張する通知書を、F1のCEOステファノ・ドメニカリとFIA会長モハメド・ビン・スライエムに送付した。これは法的な請求を行う意思を相手方に対して示す手続きだった。
そして今週3月11日、マッサ側は、法的手続きを開始した。
「友好的な解決策を探る試みは失敗に終わり、マッサ氏には法的手続きを開始する以外に選択肢はなくなった」と代理人は述べている。
「マッサ氏は、FIAが2008年のシンガポールGPでネルソン・ピケJr.のクラッシュを速やかに調査せず、規則に違反したこと、適切に行動していればマッサ氏がその年のドライバーズ選手権を制していたことについての宣言を求めている」
「マッサ氏はまた、エクレストン氏とFOMも共謀したFIAのミスにより、彼が被った莫大な財政的損失に対する損害賠償も求めている」
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