モータースポーツや自動車のテクノロジー分野に精通するジャーナリスト、世良耕太がトヨタ・クラウン・クロスオーバーを初試乗。舞台はトヨタ自動車士別試験場。雪深いコンディションのなか、新型クラウンに搭載された最新技術の進化に迫る。
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トヨタ新型プリウスPHEV試乗記/走りのレベルが格段に向上。新たなEVパフォーマンスカーとして期待
トヨタ新型クラウンの走りの実力を雪上で試した。舞台はトヨタ自動車士別試験場(北海道士別市)である。ヨーロッパのカントリー路を模したという大小のコーナーとアップダウンが組み合わさった周回路を走った。ときおり吹雪いて思わずホワイトアウトを体験したが、路面は圧雪に覆われた絶好のコンディションだった。
現在発売されているクラウン クロスオーバーの駆動方式は、四輪駆動(4WD)のみである。パワートレインは2種類。ひとつは2.5リッターハイブリッド車で、もうひとつは2.4リッターターボハイブリッド車だ。乱暴に分類すれば、前者は燃費指向の強いキャラクターで、後者は走りを意識した仕様。デュアルブーストハイブリッドシステムを搭載した後者は、257kW(349ps)のシステム最高出力を発生する強者だ。
2.5リッターハイブリッド車、2.4リッターターボハイブリッド車ともに電気式4WDシステムを搭載している。フロントに搭載するエンジンの動力はメカニカルにリヤに伝えるのではなく、リヤに搭載するモーターを駆動することによって4WDを成立させる。2.5リッターハイブリッド車はE-Fourと呼ぶシステムを搭載し、2.4リッターターボハイブリッド車はE-Four Advancedを搭載する。
E-Fourのリヤモーターは最高出力40kW(54.4ps)、最大トルク121Nmを発生。E-Four Advancedのリヤモーターはより強力で、最高出力59kW(80.2ps)、最大トルク169Nmを発生する。
出力/トルクだけでなく冷却方法も異なっており、前者は空冷、後者は水冷だ。E-Four Advancedのほうはタフな使用にも耐える諸元になっており、実際、E-Fourに比べてリヤモーターを駆動する機会の多い制御となっている。
モーターの諸元や制御に差はあるが、そもそも、雪道のようなスリップしやすい路面では、4WDであることのありがたみを大いに実感した。発進時は(ドライ路面も含めて常に)後輪にトルクを配分して4WDになることもあり、特段気を使わずに走り出すことができる。
マルチインフォメーションディスプレイに表示される前後輪のトルク配分量表示を見ていると、E-Four/E-Four Advancedを問わず、思った以上に後輪にトルクを配分していることに気づく。おかげで狙いどおりにラインをトレースできずに膨らんだり、主駆動輪がスリップして前に進まなかったりといった、ドライバー(や同乗者)を不安にさせるような動きが顔を出さない。
気を使わず、普段どおりの運転ができるのは、走行状況に応じて前後輪のトルク配分を制御する4WDシステムの恩恵も大きいが、そもそも、クラウンというクルマ自体の仕上がりの良さに負うところが大きいと、挙動が乱れがちな雪道を走って思った。ステアリングの感触がいいし、転舵した際のクルマの反応はしなやかさとしっかり感が同居した絶妙な味つけで、クルマを信頼してステアリングを切り、アクセルペダルを踏み、ブレーキをかけることができる。
要するに、いいクルマ。ベースがしっかりしているので、そこに4WD技術を加えることで、さらに安心・安全で、楽しいクルマになっているのだと感じた。
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世良耕太が迫る:トヨタ新型クラウンの注目の新技術
■DRS
滑りやすい雪道を走っているのに、ステアリングを軽く切り込むとクラウンは反応良く向きを変える。「これも4WDの効果?」と当初は思ったが、どうやらDRSの効果が大きいよう。DRSはDynamic Rear Steeringの略で、後輪操舵システムのこと。速度域に合わせて後輪を前輪と逆相(低中速域)、もしくは同相(高速域)に転舵する。このシステムの効果でクルマの鼻先がスッと向きを変える。雪上での寄与度の大きさには、開発に携わる技術者も「発見だった」と驚いていた。
■デュアルブーストハイブリッドシステム
デュアルブーストハイブリッドシステムのエンジンは、2.4リッター直列4気筒ターボだ。これに、1モーターと6速ATを組み合わせている。ターボによるブーストと、フロントとリヤのモーターによるブーストが味わえるので、「デュアル」というわけだ。ポテンシャルを解き放ったときに走りは衝撃的ですらあるが、257kW(349ps)のシステム最高出力を持て余す感じではなく、ひたすら楽しい。姿勢を乱しやすい雪上ですら楽しく、懐の深さを感じる。
■ハイブリッドシステムと4WDの制御
デュアルブーストハイブリッドシステムを積む2.4リッターターボハイブリッド車が走りに振ったコンセプトなのは、ハイブリッドシステムと4WDの制御にも現れている。バッテリー残量に縛られずにリヤモーターを駆動するため、エンジン出力の一部を使ってフロントの走行用モーターを連れ回して発電。その電力をリヤモーターの駆動用に使う。そのぶん燃費に悪影響を与えるが、それよりも「走り」を重視した格好。かつてのトヨタでは許されなかった、思い切った決断だ。
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SUVで雪道が得意なら他の車種で設定すれば良くね?