あまり話題になっていないが、フェラーリはレギュレーションで定められている2週間のシャットダウンを利用して、非常に重要なアップデートを行なった。
それは今季のマシンSF-24に加えられた変更ではない。約1ヵ月のサマーブレイクのうち、2週間はファクトリーを完全に閉鎖しなければならず、その間のマシン開発作業は完全に停止される。
■もうすぐF1の夏休みも終了! 重要トピックとシーズン後半の注目ポイントをおさらい
このシャットダウン期間を利用し、チームは普段使用しているファクトリーの設備を徹底的にリフレッシュするが、フェラーリは空力開発において重要なハードウェアをアップデートしたようだ。
フェラーリは、ディエゴ・トンディ率いるエアロダイナミクスの専門家たちが、これまで以上に綿密で正確な調査を行なえるよう、風洞により近代的なムービングカーペットを導入したのだ。
かつては金属製だったムービングカーペットは現在、ますます革新的な素材のモノに置き換えられているという。これは風洞における開発作業のクオリティに大きな飛躍をもたらすはずだ。
グラウンドエフェクトを活用するシングルシーターマシンは、フロアが路面に近ければ近いほどより大きなダウンフォースを生む。そした風洞では、その路面を再現するのがムービングカーペットの役割なのだ。風洞では縮小スケールのF1マシン模型が乗ったムービングカーペットを稼働させ、さらに模型に吹き付けられる空気と合わせて、F1マシンのシミュレーションを行なう。
かつて使われていた金属製のムービングカーペットはもちろん、近年のそれほど極端ではないソリューションにおいても、風洞の管理者は模型の車高をあまり下げられずにいた。コース上でF1マシンが盛大に火花を散らしているのと同じように風洞模型の車高を設定した場合、模型がムービングカーペットと接触し大きなダメージを受けてしまうからだ。
こうなると予定していた開発作業に遅れが生じ、新しい空力パッケージの投入スケジュールにも影響が出てしまう。
最新の”プラスチック”素材で作られたムービングカーペットは耐摩耗性に優れ、凹凸を無くすことができる。これにより模型のフロアをよりカーペットに近づけることができ、模型の下を通る気流もよりきれいなものとなっている。
風洞での開発は、非常に複雑な空力マップを使い、ますます精密なものになってきている。かつては正面から気流が衝突するモデルに限定して研究が行なわれていたが、現在はコーナリング中のマシンをシミュレートするステアリングアングルを用いた研究も行なわれている。
ピレリがチームに供給している40%スケールのタイヤは、実際のタイヤと同じデザインで、応力によって同じような変形をするよう作られている。
近年、風洞用タイヤの消費量が増えているのは偶然ではなく、技術者たちは年間10セットまでしか供給されない風洞用タイヤを温存するための解決策を探している。
新品タイヤを持っていることの重要性は、信じられないかもしれないがサーキットで起きることと同じように、開発においても有利に働くことがあるようだ。
先進的なムービングカーペットを導入したのはレッドブルが最初で、マクラーレンがそれに続いた。マクラーレンはケルンにあるトヨタの風洞を使用していたが、自前の風洞を使用するようになって以来、目覚ましい進歩を遂げている。
フェラーリは、風洞で収集したデータとサーキットで収集したデータとの間に完璧な相関関係を見出すことがいかに重要かを認識しており、2週間と1日にわたる風洞の大規模なアップデートをためらうことなく行なった。
シャットダウンが明け、レーシング部門のスタッフが活動を再開するようになった翌日まで、風洞での作業が続いたようだ。
レッドブルはミルトンキーンズで新しい風洞の建設に着手しており、RBも空力技術者もここに集まり作業をすることになる。シルバーストンでは、アストンマーティンの最新世代の風洞が完成しつつある。
F1チームの技術武装競争は止まらない。コンピュータによるシミュレーションが風洞を過去のものにするという想像が現実になるのは、まだ先のようだ。
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みんなのコメント
ロリーバーンのF399から、100%で利用し シューマッハがリードしていたが、クラッシュにより足を負傷し チャンピオンを逃した
13年に 風洞に問題が発生し、補修対策し トヨタのケルンの風洞を借りた
それ以来の 大きなブラッシュアップだが、本音は 新しくしたい
まだCFDとシミュレーターだけでは 足りなく、確定はしていないが
30年に 風洞は使用不可になるとの予定もあり、やるなら急がないと 無用の長物になる
レッドブルとマクラーレンに アストンは、いいタイミングで新しくした 状況だ