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スズキ GSX-8Rは「カウルのデザインでもトルク感を表現!?」開発チームが語る【コンセプト&デザイン】

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スズキ GSX-8Rは「カウルのデザインでもトルク感を表現!?」開発チームが語る【コンセプト&デザイン】

GSX-8Rはただのカウル付き版ではない!

スズキは2024年1月25日に新型車GSX-8Rを発売した。775cc並列2気筒エンジンを搭載するネイキッドGSX-8Sをベースとしたフルカウルモデルである。

【画像9点】114万4000円の価格も魅力!スズキGSX-8Rを写真で解説

同じく2024年モデルとして発売された新型車GSX-S1000GXと、このGSX-8Rに関してスズキは2024年2月29日、国内報道陣向けに開発チームによる技術説明会を開催。GSX-8Rの開発チームからは6名のエンジニアが登壇した。

当記事ではGSX-8Rチーフエンジニアを務めた加藤幸生さんと、GSX-8Rデザイン担当の遠藤勇太さんのコメントから、新型フルカウルスポーツの全体像に迫っていく。

まず、開発コンセプトについて説明してくれたのは、チーフエンジニアの加藤幸生さんだ。

「GSX-8Rは、The New Standard of Sportをコンセプトとして開発しました。GSX-8Sとエンジン、プラットフォームを共通としながらも、街なか、ワインディング、ショートツーリングだけでなく、ときにはロングツーリング、サーキットでのスポーツ走行まで、多様なシチュエーションでのライディングを高次元で両立させた、スポーツモデルの新たな基軸を目指しました」

スポーツの新基軸を実現するべく、開発陣は先行発売していたGSX-8Sをベースとして、

(1)進化したスズキスポーツバイクを表現するスタイリング 
(2)スポーツ性・ツーリング性の向上 
(3)基本性能(走る・曲がる・止まる)の追求と基本性能を活かす最新の電子制御システム

……という3項目を目標に掲げたという。

「スタイリングでは、質感の向上にも留意しました。一つひとつの部品の表面処理を吟味するだけでなく、ボルト類の選定、ハーネスやケーブルの配線、艤装品(カウルやステップなど多彩な外装パーツ)のチリ合わせなども丁寧に作り込みました」

スポーツ性・ツーリング性向上については、フェアリングが主な課題となった。開発初期段階では風洞実験を繰り返してカウルやスクリーンの形状改良を重ね、その後にテストコースでの実走行でさらに改良を進めた。これにより高速走行時の風圧、寒冷地での雨や冷風からライダーを守ることを重視したという。

「乗車姿勢は、GSX-8Sと比較して着座位置、ステップ位置は同じですが、アルミ鍛造セパレートハンドルの採用によって、グリップ位置は6mm前方、60mm低くしています」

また、サスペンションはGSX-8SがKYB製だったのに対して、走行性能を高めるためGSX-8Rではショーワ製のSFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)を採用。これに伴い、前後のバランスを揃えるためリヤショックもショーワ製とされた。

端的にいうとGSX-8Rは、サーキット走行も視野に入れ、オールラウンドスポーツとしての個性をさらに拡張したバイクである、ということだ。

カウルのデザインは「高い機能を確保したうえで、力強く前へ進むイメージを表現」

次に登壇したのは、デザイングループの遠藤勇太さんだ。遠藤さんはVストローム800/DE、そしてGSX-8Sのデザインにも携わり、800cc並列2気筒プラットフォームで一連のモデルのデザインを担当してきた。

「このシリーズは機能とスタイルを絶妙にバランスさせないとうまくいかないことは最初からわかっていました。そのためにはプラットフォームの美しいプロポーション作りが重要です。アドベンチャー(Vストローム800/DE)の走破性を満たすためにホイールベースが長くなるのは避けられません。しかしそれはオンロードスポーツには不向きです。そこで車体幅を細く、前後長を短くすることを目指しました。少しでも体積を小さくするため、エンジンやサブフレームなどの機能部品は最初から外観要素として露出させ、カバー分のボリュームを解消しています」

そのうえで美しい外観を作るため、GSX-8SとGSX-8Rは燃料タンクを含む外装パーツのないストリップ状態でケーブル類やエンジンの配管なども見ばえを考え、そうした機能パーツが全体と調和するようにデザインしていったという。

「特徴的なショートマフラーもエンジン設計さんからの提案です。そのような設計者さんたちの努力もあって、ストリップでも美しく緊張感のある車体ができたと自負しております」

ここまではネイキッドのGSX-8Sと共通する車体デザインだ。では、GSX-8Rならではのフルカウルはどうなのだろう。

「ウインドプロテクションについては、スクリーン下部に穴を設けることで、スクリーンの上を流れる風と、穴から入る風の流速に差がなくなるようにしています。また、カウリングの造形により車体側面の風の流れを早い段階で剥離させることで、カウリング内側との風の境界をぼかし、ライダーが身体を動かしやすくしています。このように意匠と性能が結びついている状態が、我々が考える良いデザインです」

GSX-8Rのルックスで重要なポイントはもうひとつある。

「GSX-8Rの魅力はエンジンのトルク感にあると考えています。スタイリングでもその特性を表現するため、サイドカウルのスリットをそのままスイングアームと一直線につなげています。これによって後輪にかかるトラクションを視覚化し、力強く前へ進むイメージを表現しています」

デザインからも「走りの良さ」を伝えるGSX-8R。電子制御を組み合わせたエンジン性能は?専用サスペンションと「攻めのライポジ」への変更で、ハンドリングはネイキッドのGSX-8Sとどう違うのか?【走行性能&技術編】で詳細を解説していく。

スズキ GSX-8R主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:84.0×70.0mm 総排気量:775cc 最高出力:59kW(80ps)/8,500rpm 最大トルク:76Nm(7.7kgm)/6,800rpm 燃料タンク容量:14L 変速機:6段リターン

【寸法・重量】全長:2,115 全幅:770 全高:1,135 ホイールベース:1,465 シート高:810(各mm) 車両重量:205kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17

【カラー】
トリトンブルーメタリック、マットソードシルバーメタリック、マットブラックメタリックNo.2

【価格】
114万4000円

レポート●山下 剛 写真●スズキ/山下 剛 編集●上野茂岐

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