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【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 中編

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【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 中編

速度が増すほど運転しやすくなる

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)

【画像】発表50年 ランボルギーニ・カウンタック アヴェンタドールやシアンも驚きのデザイン 全91枚

photo:Remi Dargegen(レミ・ダルゲゲン)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ランボルギーニ・カウンタックLP400の車内は窮屈だが、運転席に座れなくはない。3929cc自然吸気V12エンジンのサウンドを直ぐそばで楽しめるのだから、多少のことは許せてしまう。

キーをひねると、電気じかけの2基の燃料ポンプが音を立てて燃料を吸い始める。コツコツという音を聞きながら、さらにキーを半回転回すと威勢よくエンジンが目覚めた。

見た目と同じくらい、LP400は期待通り。380psという最高出力が、モデルライフの経過とともに徐々に増えていったとしても、紛れもなくカウンタックだ。

低速でLP400を運転することは、きつい労働にも思えてしまう。ラック・アンド・ピニオンのステアリングラックは重い。クラッチは強力に漸進的につながるが、それを操るには足の筋力を使い切らなければ難しい。

ストロークの長いアクセルペダルも重い。左右に6基並んだキャブレターのスロットルリンクを、同時に動かす必要がある。

速度が増していくほどに、手足の重さが徐々に気にならなくなる。LP400は驚くほど運転しやすくなり、直線的にトルクが増大し、絶え間ない加速に浸っていられる。

V12エンジンは低回転域から意欲的に速度を高め、ツインチョークのウェーバー・キャブレターの吸気音と、唸る排気音に陶酔してしまう。2000rpmを超えてしまえば、滑らかにパワーが放出されはじめる。音響も素晴らしい。

一層ワイルドなLP400Sへ進化

速く走るほど、LP400は良くなっていく。リバースが左上にある、ドッグレッグ・パターンのシフトレバーも重い。しかしメカニカルな変速感が心地良い。ブレーキも2度め以降は反応が良く、強力に速度を落としてくれる。

カウンタックの運転で必要なことは、確実な注意力。それさえ忘れなければ、大きな充足感で満たされる。  

後期のカウンタックと比べてタイヤのサイドウオールが厚いものの、ステアリングはとても正確。スーパーカーの中にはリモート感がある手応えのものもあるが、LP400は違う。ドライバーの感覚通りに操れる。

筆者の以前の経験では、メーター読みで130マイル、209km/hくらいまで、LP400は矢のように真っ直ぐ突き進む。左右にステアリングが取られるワンダリングや、高速でフロントタイヤが浮くような感覚もない。

5速なら、1000rpm増える毎に41km/hスピードが上昇していく。高速道路は序の口に過ぎない。

ランボルギーニらしく、LP400は一層ワイルドなLP400Sへ進化した。1974年、3台目のカウンタックLP400が届けられたのは、カナダに住む実業家のウォルター・ウルフ。しかし、彼は充分に満足できなかったらしい。

そこでダラーラへ自身のアイデア実現を依頼し、ピレリには低扁平率のP7タイヤの開発を要求した。デザイナーのマルチェロ・ガンディーニには、オーバーフェンダーと新しいスポイラー、バンパーのデザインを頼んだ。

派手なデザインという時代の流行を牽引

ウルフレーシングのF1マシンにちなんだ、ダークブルーとゴールドに塗られたカウンタックは、1978年のジュネーブ・モーターショーに展示。チューニングされた5.0LのV12エンジンを搭載し、高性能なLP400Sと、その後を予告する1台となった。

LP400Sではメカニズム的な変更に加え、当時最先端の技術が投入されたタイヤの性能を発揮するため、アンチロールバーを再調整。リアサスペンションも、リンク構造が見直されている。

着飾ったLP400Sは、派手なデザインを好むという時代の流行を牽引。多くの人にとって、カウンタックのイメージを深く印象付けるモデルとなった。

今回ご登場していただいた1979年式は、ほぼ純粋な状態のLP400S。鮮やかなレッドのボディに、美しいマグネシウム製カンパニョーロ・ホイールを履いている。

ガンディーニが手掛けたボディキットが正しいものだったかどうかは、見る人の美的感覚に依存する。それでも、大胆な容姿に仕上がっていることだけは間違いない。

インテリアはLP400と大きくは違わないが、人間工学的な改善がわずかに施されている。ステアリングホイールが膝の間に来る、カウンタック・スクワットと呼ばれるドライビングポジションはそのまま。視界も換気も良くない。

走り始めてみると、実際的なスピードでLP400との差に気づく。LP400Sの方が軽く感じられるが、LP400の1300kgより50kg増している。加速時は同じくらいドラマチック。車内は一層騒がしくなっているようだ。

アメリカ大陸へ正式上陸を果たしたLP500S

身のこなしはタイト。コーナーではボディロールする様子もない。傷んだアスファルトの影響は、LP400より受けやすい。衝撃を吸収しきれず、振動が車内に伝わってくる。

LP400Sのステアリングフィールは理想的。LP400より秀逸。素早く旋回し、余計な手応えも伝わってこない。尖った印象もない。大きな4ポッド・キャリパーで挟むブレーキも、効果的に仕事をしてくれる。

LP500プロトタイプの発表から10年。開発資金が限られるなかで、1980年代に向けてランボルギーニはカウンタックの新鮮味を保とうとした。そして1982年にLP500Sを発表。ようやく、アメリカ大陸への正式上陸を果たす。

マセラティから移籍してきた技術者のジュリオ・アルフィエーリの能力を活かし、カウンタックはスーパーカーとしての強さを維持した。V型12気筒は排気量を4753ccへ拡大。圧縮比を下げつつ、大きな45DCOEのウェーバーキャブレターを搭載した。

暗めの青、ブルー・アカプルコに塗られた1984年式のLP500Sは、見た目ではレッドのLP400Sと似ている。インテリア・デザインも基本的には同じ。長方形のカウルの付いたメーターパネルも、受け継がれた。

メーターの配置は変更されている。読みにくさの解消など、いくつかの理由で。エアコンもオプションで用意された。暑くなりがちで風の通しの悪い車内だから、天気の良い地域では必須アイテムといえた。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

2件
  • 自分は手に入れられるんだったら、カウンタックよりはシルエットが欲しい。
  • 個人的にはLP400Sが一番好き。
    繊細なボディラインが生きていてオーバーフェンダー、リアウイングが付いているし、ブラボーホイールもある。
    カウンタックのベストな外観だと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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