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ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦

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ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦

 スペイン領内のグランカナリア島で5月2~4日に開催されたERCヨーロッパ・ラリー選手権第2戦『ラリー・イスラス・カナリアス』は、今季よりシリーズ参入を果たしたブノワ・トレルイエ率いる新チーム、トラジェクタス・モータースポーツから参戦のヨアン・ボナート(シトロエンC3ラリー2)が、完璧なパフォーマンスを披露してERC通算3勝目を記録。今季カレンダー中の3戦のみ出場を予定するフランス出身の“ターマック・マイスター”が、まずはプログラム初戦で勝利を飾ってみせた。

 今年で開催48回を数える伝統のイベントは、風光明媚な島嶼(しょ)部を繋ぐスムースで流れるような高速ワインディングが舞台となる。その初日となる3.57kmの予選ステージから新規参戦チームで戦うボナートが最速タイムを叩き出したものの、グランカナリア島の天候は刻々と変化し予測不可能であり「ステージコンディションを適切に評価し、タイヤを適切に選択する最善の機会を自分に与えるべく」本来ならもっと後方からスタートしたかったとの希望を明かした。

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「最速タイムが目標ではなかった。本当なら10~12番手の間に入ることを期待していたんだ」と語った前年度覇者のボナート。

「理由はわからないけど、ブレーキをかけるのが少し早いか、それとも遅すぎたのか(笑)。ベストポジションではないし良いスタートではない。昨年も先頭スタートだったが本当に難しかったよ」

 昨季までは予選ステージの勝者が最初に出走順を選択する権利を獲得していたが、2024年の新ルールではQFステージ最速のドライバーがそのままレグ1の先頭スタートを担うこととなり、ミシュラン装着のシトロエンがトップバッターとしてSSの状況を掴む必要がある。

「これは僕のせいで今回は少し速すぎた。でも、それが問題かどうかは明日わかる。昨年はトップスタートによりレグ1で約30秒のタイムを失ったが、その後30秒差でラリーに勝利したんだからね」

 一方「非常に“だらしない”な走りでアンダーステアが強かった」と明かす王者ヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)は、QFステージで18番手に留まりつつ「このラリーはキレイな舗装が特徴だし、出走順の位置はそれほど重要ではない。本当の勝負は明日から始まる」としつつ、現地木曜20時35分からのオープニングステージ、SSS1ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアの1.80kmでは“グラン・カナリア・アリーナ”のバスケットボール・スタジアムを通過するセクションで最速タイムを記録し、金曜SS2を前にラリーリーダーとして夜を越すこととなった。

 明けた14.83kmのステージでは出走順を心配していたボナートが早速のベストで首位を奪い返すと、王者パッドンを含めたふたりの前に新たな伏兵が出現する。

 地元スペイン出身のアレハンドロ・カションが、ピレリを装着したトヨタGRヤリス・ラリー2をドライブし、SS3のベストを含むハイペースなアタックを敢行。路気温が上昇して数多くのライバルが「タイヤの摩耗が顕著である」と報告するなか、午前のループ最後となるSS4を終えて総合首位に浮上してみせる。

 しかし序盤のペースセッターは、午後に入った最初のSS5でボナートに対する3.8秒のリードを早くも失う事態となり、右フロントタイヤの損傷により総合トップ10圏外に転落することとなった。

■最終レグ2はシトロエン対シュコダに。王者パッドンは離される
「(何が起こったのか)分からない。内側には石がたくさんあるのは確かだが、何かに触れて穴を開けてしまったのかもしれない……」と失意のカション。

 これで首位に返り咲いたフランス出身の40歳は、背後から迫る開幕戦2位のマシュー・フランチェスキーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)とベストタイム合戦を繰り広げ、わずか0.3秒の差でレグ1首位のポジションを堅守した。

「完全にドライで完璧な一日だった。クルマも本当に完璧で、今日の午後は気温が非常に高かったからタイヤもうまく機能したよ」と続けたフランス選手権“5冠”のボナート。「明日もこのまま続けるつもりだけど、戦いは続いているしとてもハードにプッシュしなければならない。でも本当に楽しいね」

 同じく午前のループでは一時首位にも立った24歳のフランチェスキーニも、ミシュランを履くシュコダに自信を持っており「どの点が改善できるかはわかっているし、今はそれに取り組んでいる」と明かす。

「今日最も難しかったのは、最終ステージの最後のセクションだった。グリップが非常に奇妙で、良いフィーリングを保てるかどうか判断が難しかった。でもそれはクルマのせいではない」と続けたフランチェスキーニ。

「今朝リードしたときは何も考えなかった。まだ結果が見えていないからね。携帯電話はバッグの中にしまい、明日も次のステージに集中したいと思っているよ」

 シトロエン対シュコダのミシュラン対決となった最終レグ2は、午前のループで“オール・フレンチ”陣営が0.3秒から4.2秒へとリードを拡大すると、午後はベストこそないものの、最終パワーステージのSS13を前に6.9秒のマージンを築いてみせる。

「僕らはとても楽しんでいるし、その調子を続けている。クルマは完璧でチームはうまく機能しているし、僕らにとって良い朝だった」と語る首位ボナートに対し、今季シリーズの全戦を追うフランチェスキーニは「チャンピオンシップは非常に長いし、このラリーに勝つためにいかなるリスクも負いたくないのは確かだ」と、この時点で決着を示唆するコメントを残す。

 一方、総合3番手に着けていた王者パッドンも、コンディションに対してピレリを装着したヒョンデのマッチングが厳しいか。SS8とSS9でアンダーステアの発生を報告し、優勝争いからジリジリと離される展開となる。

 これで勝負は決し、最終的にパッドンは総合6位まで後退。チャンピオンシップポイントを優先するフランチェスキーニが開幕からの連続2位表彰台で選手権首位に浮上するなか、フランスの大ベテランが今季最初のERCラウンドでキャリア通算3勝目を飾った。

「とてもうれしい。気温が上がって難しいセカンドループだったが、すべて大丈夫だった」と喜びを語ったボナート。

「今朝はギャップが非常に小さく新しいラリーのようにスタートしなければなかったが、可能な限りプッシュしてそれがうまくいった。今年はERCで3つのイベントにしか参戦しないが、それぞれで優勝できれば完璧なはずだ」

 続く2024年のERC第3戦はふたたびグラベル戦へと回帰し、おなじみスウェーデンのカールスタッドにて雪と氷に閉ざされたWRC世界ラリー選手権とは異なり、初夏の爽やかな木立を全開で駆け抜ける『バウハウス・ロイヤル・ラリー・オブ・スカンジナビア』が6月13~15日に開催される。

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