現役F1ドライバーで、たったひとりのアメリカ人であるローガン・サージェント(ウイリアムズ)。F1人気が沸騰するアメリカ国内からも高い注目を集める存在だが、フロリダ出身の23歳は結果を出すことに苦しみ続けている。
2023年のF1デビュー以来、ポイント獲得は同年の第18戦アメリカGPでの10位(1点)のみ。予選ではチームメイトのアレクサンダー・アルボンに全敗し、決勝もアルボンがリタイアした場合を除けばF1デビュー以降全戦で負けている(スプリントは除く)。
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そのためサージェントのシート喪失の噂は、以前から出ていた。それが最近は、メルセデス育成で現在17歳のFIA F2ドライバー、アンドレア・キミ・アントネッリと、早ければ次戦エミリア・ロマーニャGPから交代させられるのではと、噂の中身もかなり具体性を帯びてきた。
そんな状況で迎えたマイアミGP二日目、19周のスプリント。前日のスプリント予選で19番手に終わったサージェントは、大多数がミディアムタイヤを履くなか、ソフトタイヤを履くという賭けに出た。スタートダッシュで順位を上げる作戦だったが、路面温度が45度に達した夏日のコンディションでは、よほどタイヤに優しいドライビングができでもしない限り19周を走り切るのは厳しい。
ただ、アストンマーティン勢の2台とランド・ノリス(マクラーレン)が絡むアクシデントによるセーフティカー(SC)導入にも助けられ、目論見どおりサージェントはスタートで順位を6つ上げることは叶った。終盤にはさすがにペースが落ち、背後の周冠宇(キック・ザウバー)に0.1秒以内まで迫られたものの、12番手を死守したままチェッカーを受けた。
一方、チームメイトのアルボンは、スプリント予選20番手、スプリントも15位が精一杯。サージェントはポイントこそ獲得できなかったものの、スプリント予選、スプリントレースを通じてアルボンを凌ぐ結果を出した。
約3時間後の予選でも、サージェントは奮闘を続けた。Q1最初のアタックではアルボンを凌ぐタイムで、暫定12番手につけた。その後16番手に後退したが、2セット目のアタックで13番手まで順位を戻す。トップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)から19番手のケビン・マグヌッセン(ハース)までが1秒以内にひしめくなか、サージェントは3セット目のニュータイヤを履き、最後のアタックへ。
「入ったか?大丈夫だったか?」。サージェントは、担当エンジニアに必死に問いかける。しかし結果は、15番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に0.034秒足りずに、Q1敗退。一方アルボンは、13番手でQ2へと進んだ。
FIA F3時代のサージェントは、チームメイトだったオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と最終戦までタイトルを争い、わずか4ポイント差で破れたものの、選手権3位の結果を残しており、潜在能力は決して低くないはずだ。
しかし、今のふたりは残酷なほどに明暗が分かれている。サージェントは噂どおり、このままF1を去ってしまうのだろうか。
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