5月19~21日にかけて開催が予定されていたF1エミリア・ロマーニャGPが中止されることになった。舞台となるイモラ・サーキットが所在するイタリアのエミリア・ロマーニャ州が酷い豪雨被害に見舞われたことがその要因。地域住民の救出活動を優先するためにも、妥当な判断だったといえよう。
新型コロナウイルスの影響もあり、2020年以降は開催中止や延期が相次いでいるF1。今や延期や中止は珍しくはなくなった。しかし歴史的に見れば、開催中止という判断は実に稀な事例である。
■F1日本GPのテレビ放送に起きた”奇跡”。放送センター、台風の影響で大移動
2020年の開幕戦オーストラリアGPが予定されていたのは、新型コロナウイルスの世界的な蔓延が始まりかけた頃。ただ当時はそれほどまでの感染者数ではなかったため、グランプリは予定通り開催が目指され、アルバートパーク・サーキットでは各チームのピットなどの準備も整い、あとは走行開始を待つだけという状況になっていた。
しかしグランプリ開催週の水曜日に、マクラーレンのスタッフ1名が体調を崩し、翌日になって新型コロナに感染していることが発覚。チームは同グランプリを欠場することを決めた。これを受けて会議が行なわれた結果、オーストラリアGPの開催を延期するという判断が下された。これが発表されたのは、現地時間金曜日の朝。フリー走行1回目のスタートまであと僅かという段階での、前代未聞の決断だった。
その後に続くグランプリも軒並み延期や中止が決まり、結局同年のF1開幕は7月のオーストリアGP。その後も同一サーキットで2戦を開催したり、当初開催予定のないサーキットでレースを行なったりと、異例尽くしのシーズンになった。
翌年以降も日本GPや中国GPなど、新型コロナウイルスの影響で開催が予定されていながらも開催できなかったレースが多数あった。さらにロシアがウクライナに侵攻したことで、同国でのグランプリ開催が取りやめられるということもあった。
ただそれ以前で言うと、開催が直前になって中止や延期された例は実に少ない。
アラブの春と、大震災
最も直近の例は、2011年のバーレーンGPである。同年の開幕戦として決まっていたバーレーンGPだが、通称”アラブの春”と呼ばれる反政府デモがバーレーン国内でも巻き起こったために、2月末の段階で開催が延期されることが決まった。すでにグランプリの開催までは1ヵ月を切っており、まさに直前での決定だった。
当初は10月に延期することが目指されたが、騒乱がなかなか収まらず、6月の段階で同年の開催が中止された。翌2012年になっても騒乱は完全には沈静化していなかったが、F1は強行開催されることになった。
ちなみに開催まで1ヵ月を切ってから中止されても、F1の速報雑誌の発行を止めることはできない。そのため、内容を全面的に変更して刊行された雑誌もあった。今回のエミリア・ロマーニャGPの中止はそれ以上に直前なため、速報誌の刊行にも大きな影響が出ることだろう。
1995年のパシフィックGPも、開催が延期されたグランプリだ。岡山県のIT英田サーキット(現・岡山国際サーキット)を舞台に、1994年に初開催されたパシフィックGP。当時は日本でのF1人気が爆発的に高まっていた時代であり、鈴鹿と共に国内で2レースを開催していた。
しかし1995年の1月に、阪神・淡路大震災が発生。これにより大きな被害が出ただけでなく、高速道路や新幹線といったインフラにも影響が及んだ。そのため、当初は4月に開催が予定されていたが、結局10月へと延期。鈴鹿との2週連続開催となった。
路面崩壊でレース続行不可能になったことも……
1985年のベルギーGPは、開催期間中に決勝レースの中止が決まった唯一の事例だ。舞台は6月のスパ・フランコルシャンである。
開催直前に路面が再舗装されたため、F1マシンが走ることで路面のアスファルトが剥がれてしまうという事象が発生。予選までは行なわれたものの、これでは走れないと判断され、決勝レースは行なわれず。F3000などサポートレースのみが開催されることになった。
ただベルギーGPは、路面が改めて舗装し直され、9月に延期。改めて3日間にわたって行なわれ、ロータスのアイルトン・セナが優勝している。
悪天候で日程変更を強いられた日本GP
これら中止や延期となったレースは、天候とはまた別の理由による影響が及んだモノだった。ただ今回と同じように、天候がF1に影響を及ぼしたという事例もいくつかある。
F1の日本GPは、10月開催になることが多い。この時期の日本列島は、当然台風の影響を受けやすい時期。F1日本GPも、2度にわたって台風の影響により、土曜日に予選を行なうことができず、日曜日に予選と決勝を行なった。
最初は2004年。台風22号が鈴鹿を直撃する可能性があったため、土曜日のセッションが完全に中止されることになった。天候を理由に日程が変更されるのは、F1史上これが初めてだった。
ただ台風は予報よりも東寄りの進路をとったため、サーキットに大きな影響は及ばず。日曜日は快晴。同年好調だった佐藤琢磨(BARホンダ)の姿を一目見ようと、多くの観客がサーキットに押し寄せた。
2019年も台風が襲来。やはり予選と決勝が日曜日に行なわれた。なお台風の影響を考慮し、当初プレハブで建てられていたテレビ放送用の設備を、すべてピット内に移動させ、無事に世界に向けて配信したというのもこの年である。
また台風ではないが、2010年の日本GPも、予選が豪雨に見舞われたことで日没時間を迎え、結局日曜朝に変更されることになった。つまり日本GPは、過去3度にわたって予選と決勝をワンデイ開催しているというわけだ。
この他にも、昨年は雨により決勝のレース距離が短縮されるなど、日本GPは雨に見舞われることが多いと言えるかもしれない。
2015年のアメリカGPも、やはり雨により土曜日の予選が中止され、決勝日朝に行なわれることになった。2021年のベルギーGPは、決勝が雨に見舞われてなかなかスタートできず……結局セーフティカーランのみ、”周回数1”でレースが終了することになり、批判を浴びた。
ただ天候の影響により、予定通りの週末にグランプリが開催されないことになったのは、今回のエミリア・ロマーニャGPが初めてということになる。
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