8月30~9月1日、アメリカ・テキサス州オースティンに位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、WEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』が行われる。WECがオースティンに戻るのは2020年2月以来。今季は7月の前戦サンパウロからの、南米/北米連戦となる。
各車が金曜の走行開始に向けて準備を進めた木曜のCOTAのパドックから、各種トピックスをお届けする。
再舗装されるも「予想以上にバンピー」とトヨタ平川亮。前戦優勝の8号車は僚友のサポートも/WEC第6戦
■イソッタ・フラスキーニの撤退により参戦は36台に
今週末のローンスター・ル・マンには、合計36台がエントリーする。これは、イソッタ・フラスキーニが今シーズンの残り期間から1台のハイパーカーエントリーを取りやめると発表したことを受けてのものであり、これにより今季最も少ない参戦台数となる。
イソッタ・フラスキーニの不在を除けば、サンパウロ6時間レースと比較してドライバーラインアップの変更点は1名のみ。プロトン・コンペティションの88号車フォード・マスタングGT3にベン・キーティングが加わることだ。キーティングは、ブラジルでジョルジオ・ローダに代わって出場したチームオーナーのクリスチャン・リードの後任となる。
今年のフィールドには、これまでCOTAで総合優勝した5人が名を連ねている。ブレンドン・ハートレーは2015年、2016年、2017年にポルシェで3勝を挙げ、ロイック・デュバル(2013年)、アンドレ・ロッテラー(2014年)、アール・バンバー(2017年)、ノルマン・ナト(2020年)も、それぞれ1回の優勝経験を持つ。
■新舗装で「うまく機能すると思う」とリン
プロトン・コンペティションの99号車ポルシェ963では、ハリー・ティンクネルがル・マン以来のシート復帰となり、3名編成を採る。これにより、キャデラック・レーシングの2号車キャデラックVシリーズ.Rが唯一の2名編成となる。いつもどおり、バンバーとアレックス・リンというコンビだ。
リンは、大半のメーカーが参加した7月のハイパーカーテストのあとにCOTAで行われた新しい路面再舗装が、このブランドのホームレースでは有利に働くと考えている。
「オースティンでのテストはうまくいった。テスト前はサーキットは舗装されていなかったが、その後新しいF1ターマックで舗装し直された。僕らのクルマの反応を考えれば、それほど動じることはない。最近FIAグレードにコースが再舗装されたカタールやイモラなどのヨーロッパのターマックコースでは、僕らのクルマはうまく機能すると思う」とリンは語っている。
なお、前戦サンパウロと同様、今週末はハイパーカー陣営にミディアムおよびハードコンパウンドのミシュランタイヤが提供されるが、気温はブラジルよりも大幅に高くなる予定だ。
■「MotoGPバイクでは最高のコース」とロッシ
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でタイトルを争うマシュー・ジャミネは、今週末はポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのリザーブドライバーを務める。
ローレンス・ファントールとトム・ファン・ロンパウは、ゾルダー24時間レースを終えてオースティンに到着した。彼らはファン・ロンパウの父であるディルク、そしてポルシェファクトリードライバーのアイハンカン・グヴェンとともにポルシェ992 GT3カップカーで5位に入った。
このチームはレースの大部分をリードしていたが、日曜日のブレーキトラブルで勝利の可能性を失っていた。優勝したのは、2013年ル・マン24時間レースのクラス優勝者あり、ニッサンのスーパーGTドライバーであるベルトラン・バゲットが主導するNGTレーシングのポルシェカップカーだった。
一方、トヨタGAZOOレーシングのニック・デ・フリースは、先週末にモビリティリゾートもてぎで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権にチームインパルから初参戦した後、日本から直接COTAにやってきた。彼はもてぎで、WECでのチームメイトである小林可夢偉に次ぐ13位でフィニッシュした。
チームWRTで46号車BMW M4 GT3を駆るバレンティーノ・ロッシは、2019年のMotoGPでアレックス・リンスに惜しくも敗れて以来、初めてCOTAを訪れる。ロッシは次のように語った。
「素晴らしいトラックで、MotoGPで何度もレースをしたので、また来られてとても嬉しい。トラックはとても面白く、MotoGPバイクでは最高だ。BMW M4 GT3でもとても楽しいと思う」
■決勝日は「非公式の米国の祝日」?
第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースの結果に関してフェラーリAFコルセが申し立てた控訴が、9月3日にジュネーブのFIA控訴裁判所で審理される模様だ。
このイタリアのチームは、レース再開がWECのスポーティング規則に違反していると主張する抗議が却下された後、5月15日にスチュワードの決定に対して控訴していた。
COTAの決勝日である9月1日は『ピンク・キャデラック・デー』と重なる。GMブランドはこれを「ポップカルチャーとラグジュアリーにおける独自の地位」を祝う「非公式の米国の祝日」と表現している。ピンクに彩られたVシリーズ.Rが週末を通してグランドプラザに展示される。
WECのCEO、フレデリック・ルキアンは、クロスカントリーサイクリング中に肘を骨折したため、今週末のCOTAには姿を見せていない。 2週間後の次戦富士までに回復するかどうかは、現時点では不明だ。
走行初日となる8月30日(金)には、フリープラクティス1と2、ふたつのセッションが行われる予定だ。
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