9月8日、2024年MotoGP第13戦サンマリノGP MotoGPクラスの決勝レースがイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われた。天候に左右される難しいレースとなったが、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロは7位でポイントを獲得し、アレックス・リンスは19位で終えている。
このミサノは、今季コンセッション(優遇措置)の対象となるヤマハ勢が何度もプライベート実施しているサーキットだ。そのデータや経験を活かすべく臨んだ今大会は、クアルタラロが初日から光る速さを見せて上位に食い込み、ダイレクトQ2進出も果たした。さらに、初日から投入した新型シャシーにも良い感触が得られたようだったが、ふたり揃ってトラクション不足が判明。クアルタラロがスプリントでポイントを獲得するも、レースの内容的には厳しいものとなっていた。
中上貴晶、作戦も功奏しポイント獲得も「フィーリングが変わらず、かなり苦労した」/第13戦サンマリノGP
そのなか迎えた決勝レースは、開始を前に小雨が降り出す天候へと変化し、早々にマシン交換が可能となるフラッグ・トゥ・フラッグが宣言された。しかし、ヤマハのふたりはフロント、リヤともにミディアムのスリックタイヤでレースに挑んだ。
クアルタラロは10番グリッドから好スタートを決めるも、難しいコンディションの中で他車と何度も接触があったようで、順位を上げられずにオープニングラップを11番手で終了。リンスは20番手からひとつポジションを落とす展開となってしまった。
すると、序盤には一時的に雨が強まったことで、路面は難しいコンディションへと変化する。それにより数台がマシンの乗り換えを行うが、クアルタラロはコース上にとどまることを選択して、一気に8番手へと順位を上げた。対してリンスは早々にマシンの交換を決断する。
ところが、次第に雨は止み路面も回復へと向かう。それを機にクアルタラロは上位との差を縮めていくが、一方のリンスはウエットタイヤが上手く機能せず、再びマシンを乗り換えることに。早々に賭けに出たが、それが裏目に出ることとなってしまった。
その後、クアルタラロは残り2周でジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)をパス。ひとつ順位を上げて7位でフィニッシュし、スプリントと合わせてダブルポイントを獲得した。マシンを交換したリンスは、後半も懸命にプッシュし続けたが、最終的には19位と厳しいレースになった。
決勝は異なる戦略で明暗を分ける結果となったが、ウイークを通して見えた課題はふたりとも合致していると言えるだろう。月曜日には公式テストが引き続きミサノで行われるが、ヤマハは更なる新アイテムの導入も予定しているという。同地開催となる次戦エミリア・ロマーニャGPと今後を見据えてテストをこなし、改善に努めていく。
■ファビオ・クアルタラロ(決勝:7位)
「非常にハードなレースで、とくに序盤で雨が降り出したときが最も大変だったよ。通常は雨がアドバンテージとなることはないけれど、今日はトップグループに近づくことができ、レースをエンジョイできたと思う。フィーリング自体は期待したほどではなかったけれど、ポジションを上げられたのは良かった」
「すぐ目の前に数台いたから、彼らにひたすらついて行ったんだ。僕も実は、かなり真剣にマシン交換を考えたタイミングがあったのだけれど、ほとんどのライダーが続行するのを見て、それに倣うことに決めたんだ。幸運にも路面がすぐに乾いたから本当に良かったよ」
■アレックス・リンス(決勝:19位)
「マシン交換を決断し、ウエットタイヤに履き替えたことで難しい展開になってしまった。そのときすでに2ラップにわたり雨が降っていたのだけれど、マシン交換を終えてコースに戻るとすぐに止んでしまったんだ。そのためレインタイヤで2ラップ走ったあと、またピットに戻り、ドライ用のマシンに乗り換えなければならなかった」
「でもそのあとはペースが良く、差をつめることはできたけれど、残念ながらオーバーテイクには至らなかったよ。明日は僕たちの今後のための重要な日になる。ニューアイテムのテストを予定しているんだ。非常に楽しみにしているし、もしもうまくいけば、いくつかの新しいものを次回のミサノで投入できるかもしれないね」
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