プラットフォームは長城汽車との共同開発
現行のミニ・エレクトリックは、史上初となるバッテリーEV(BEV)のハッチバックというわけではない。だが、500馬力も発揮しなくても、電気自動車は運転が楽しいことを証明した小さな期待の星といえた。
【画像】期待大の電動ホットハッチ 新型ミニ・クーパー E 同クラスのコンパクトEVと写真で比較 全126枚
既存のシャシーから内燃エンジンと燃料タンクなどを取り外し、駆動用バッテリーにモーター、制御ユニットを搭載した派生版ミニではある。それでも、瞬間的に発揮される太いトルクとシャープな足まわりという組み合わせが、確かな魅力を生んでいる。
ボディが小さいぶん、航続距離ではハンディキャップがある。手頃な価格帯にある同クラスのライバル、フィアット500eやMGモーター MG4などは、より新しい技術を採用し一度で走れる距離は長い。ドライバーズEVという訴求力でも、手強い存在といえる。
とはいえ、ミニ・エレクトリックは電動ホットハッチとして、負けじと運転する楽しさを提供している。近年の販売台数を確認すると、ミニ全体の20%を占めるという。商業的にも成功していることは間違いない。
そんなミニ・エレクトリックに、2代目が控えている。次期型は中国最大の自動車メーカー、長城汽車(グレートウォール・モーター社)とBMWの合弁企業、スポットライト・オートモービル社の協力で開発された、BEV用プラットフォームがベースになる。
クーパー Eは182psで297km
グレートウォールといえば、丸いスタイリングが目を引くハッチバック、ファンキーキャットを欧州で販売するオラ・ブランドの親会社でもある。ただし、開発自体は別に進められており、ミニとの共通点はほぼないという。
新しいプラットフォームを得たことで、従来の弱点といえる、航続距離は大幅に改善される予定。クーパー Eの駆動用モーターは最高出力182psを発揮し、駆動用バッテリーの容量は40kWh。1度の充電で走れる距離は、297kmが想定されている。
高性能なクーパー SEの場合、最高出力は218psへ上昇。駆動用バッテリーは54kWhへ容量が増え、航続距離は386kmになるとのこと。ちなみに、現行のミニ・エレクトリックは32.6kWhの容量で、230kmが主張されている。
クーパー SEを選ぶ理由は、航続距離を伸ばすためだと考えていい。容量の大きい駆動用バッテリーは、そのぶん重い。動力性能の差は、数字ほど大きくないと想像できる。
われわれの期待へ応えるように、一層ホットなジョン・クーパー・ワークス(JCW)も計画に含まれている。よりパワフルになる一方で、航続距離は短くなるだろう。
新開発のプラットフォームをベースとしながら、次期型のミニ・クーパー Eは現行モデルとほぼ同じサイズを維持。若干ワイドで、ホイールベースが少し伸びるものの、全長は短い。リアのオーバーハングも詰められている。
このサイズのハッチバックとしては珍しく、リア・サスペンションはマルチリンク式。現行型の特長にもなっている。
モダンなインテリアも従来同等にカッコイイ
今回、英国編集部がひと足先に試乗させていただいたのは、カラフルなカモフラージュが施されたプロトタイプ。既にスタイリングの写真は発表済みだから、そちらと重ねて想像していただきたい。
インテリアにも丁寧にカバーが掛けられていたが、こっそり覗き見させてもらった。確認できた範囲では、インテリアからはクロームメッキが大幅に減り、実際に押せるハードボタンやスイッチの数も激減している。
ドライバーの正面に通常ならある、メーターパネルも省かれている。そのかわり、殆どすべての情報表示と車載機能の操作を司るのは、大きく丸いセンターモニター。OLED製で厚みが薄く、フレームも細い。その下に、トグルスイッチが並ぶ。
従来のレトロチックなデザインも好ましかったが、次期型のモダンなインテリアも同じくらいカッコイイと感じた。操作性も悪くない様子。オペレーティング・ソフトウエアには、まだ開発途中のバグが残っていたけれど。
テスラと同じように、走行中の速度確認などはすぐに慣れるだろう。ヘッドアップ・ディスプレイも、オプションで装備できる。
ハードボタンを一掃し、シフトセレクターが丸いモニターの下部へ移動したことで、センターコンソールは収納空間として活用されている。エアコンの送風口は、スリムなデザインに。試乗車の内装は、カラフルなテキスタイルで華やかに仕立てられていた。
この続きは後編にて。
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