クラッシクカーのタイムトライアル
text & photo:Club Motherhead(クラブ・マザーヘッド)
【画像】コッパ・デル・ラヴォーロ・イタリアーノの会場から【現地レポート】 全55枚
1975年までのイタリア車を中心としたクラシックカー限定のタイムトライアルとして親しまれているのが「コッパ・デル・ラヴォーロ・イタリアーノ」だ。ちょっと長いこのイベント名、参加者たちからは親しみを込めて「ラヴォイタ」と呼ばれている。
その名の通りイタリア車が中心となるイベントだが、最近はこのイベントの楽しさが知られるようになり、日本車やフランス車、ドイツ車、英国車からスウェーデン車と様々な国のモデルが参加するようになってきた。
「ラヴォイタ」の特徴はレースのように混走するのではなく、1台ずつタイムアタックするスタイル。そのため初めてサーキットを走る初心者や、ローパワーなクルマでも安心して走れることが人気の秘密といえる。
会場は奈良県にある名阪スポーツランドのEコース。参加者は近隣の関西地区や東海エリアだけでなく、福井、長野、静岡、神奈川、埼玉、福岡と、全国から集まる人気イベントである。
小排気量車でも入賞できる優しさ
「ラヴォイタ」人気の秘密は、細かく分けられたクラス分けにある。単に速ければ勝ちではなく、総合順位のほか小排気量のクルマで参加してもクラス入賞できるというやさしい配慮がなされている。
クラス分けは排気量で600cc以下、850cc以下、1300cc以下、1800cc以下、排気量無制限の5クラスとなる。これはイタリア車の排気量にならったもので、参加台数が多いフィアット500に配慮して600cc以下と850cc以下クラスが設けられている。
それだけに展示イベントではよく見かけるフィアット500が数多く参加し、サーキットを元気に走っており、「ラヴォイタ」はイタリア車の運動会とも呼ばれる。
バラエティに富んだ参加車
今年の「ラヴォイタ」は、4月5日にオープン戦を開催する予定だったのだが、新型コロナ感染症の拡大から安全を期して中止されていた。感染拡大が一段落した11月1日に万全の感染対策を施して開かれた。
レイアウトをいろいろとアレンジできるEコースだが、今回はコース・レイアウトが一新された。実はオープン戦から使用する予定だったのだが、中止になったため今回初めて披露されることになった。
参加したのは多くのイタリア車のほかに、スウェーデン車の1956年ボルボPV444、フランス車はアルピーヌA110やシムカ・ラリー2、ルノーR8、日本車ではスバルff-1スポーツや三菱ギャランと多彩な53台が参加した。
イギリス車はロータス・エラン、ライレー・エルフ、モーリス1300、ドイツ車はポルシェ911、VWタイプII、カルマン・ギア、そしてオーストリアのシュタイヤ・プフといったバラエティに富んだ珍しい車両が元気に走った。
終日来場者の目を奪ったのは1928年アルファ・ロメオ6C1500だった。エンジンこそ後期の1750に変わっているが、機関以外はオリジナル重視で保たれていた。
昭和3年生まれの戦前車ながら練習走行とタイムトライアル4本を余裕でこなしており、しっかりとメンテナンスされていることが伺える。
タイムトライアルはアクシデントも無く順調に進行したことから、今回は合計5本ものアタックできた。サーキットを走るイベントながら、大半のオーナーが自走で参加していることからも、本当のクルマ好きが集まっていることが分かる。
最速はジュリア・スーパーが記録
総合優勝は昨年の覇者であるジュリア・スーパーを駆る久保選手が勝ち取り、2位は神奈川県から参加したフィアット・アバルト124ラリーの佐々木選手、3位はフィアットX1/9の前田選手という結果となった。
排気量別クラスの優勝を紹介すると、600cc以下はフィアット500の坂口選手、850cc以下ではDap650の高橋選手、1300cc以下はランチア・フルヴィアの山谷選手が獲得した。
1800cc以下のクラスはフィアットX1/9の前田選手、無制限クラスは総合優勝を遂げたアルファ・ロメオ・ジュリア・スーパーの久保選手の頭上に輝いた。
入賞者にはクラブマザーヘッド特製の楯と記念品が贈られ、栄光を称えられた。最後に参加者揃って記念撮影を行って解散となった。
主催者はコロナ禍が収まれば来年春に年式と国籍を問わないラヴォイタ・オープン戦を、秋には今回と同様のクラシックモデル限定で競う通常版ラヴォイタを開く予定とのこと。
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