2018年シーズン末をもってウイリアムズF1チームを離脱したロブ・スメドレーが、F1で新たに重要な役割を担うこととなった。
F1で最も認知度が高い“裏方”のひとりであるスメドレーは、2018年末に、5年にわたってパフォーマンスエンジニアリング部門のトップを務めたウイリアムズを離脱した。
低迷に苦しむウイリアムズF1、2019年は技術部門の刷新でトップチームへの返り咲きを狙う
この決定は落胆のシーズンを過ごすウイリアムズが、大幅な組織改革を行なっている最中のものだった。しかしながらスメドレーの離脱は、グランプリを追いかけて世界中を旅して回る生活よりも、イギリスで家族と過ごす時間を優先させたいという思いからだったという。
それでもスメドレーがF1から長期にわたって離れることはないと、誰もが予想していた。そして予想通り、彼が新たな役割に就くことが発表となった。しかしそれはチームでの職務ではなく、F1のオーナーであるリバティ・メディアの元での仕事になる。
2019年、スメドレーはエキスパート・テクニカルコンサルタントとしてF1と仕事にあたっていく。つまり、F1のモータースポーツ担当ディレクターであるロス・ブラウンとともに働くことになるのだ。ミハエル・シューマッハー独走時代のフェラーリでともに働いた経験から、ふたりは互いを熟知している。
ブラウンはF1のコース上でのバトルや、全体的な競争力の改善に取り組んでいる。スメドレーは今後ファンや大衆に向けて、どうすればよりF1をアピールできるかという部分で貢献するために起用された。
「F1技術的な面で、首尾一貫したメッセージを伝えようとしているんだ。それからF1の内面の美しさというものを、視聴者やファンに届けたい」とスメドレーは説明した。
また、全体としては「F1のより良い物語を伝えていくこと」が今回の仕事の目的だとスメドレーは言う。
「レースがどのように展開していったか、人々が下した決定の要因となったのは何だったのか、そういったことを様々なプラットフォーム上で見せていきたい」
「私たちにはデータや、チームがどう運営されているかといった、実際には絶対に語られることのない技術的なコンテンツが豊富にあるといった話を、ロスとの会話のなかでしていた」
「そうしたことが、F1を支える物語の一部始終なのだ。お金を払っている人たちやF1ファンが、絶対に見ることができなかったり、ほんの少ししか見られない部分だ。ある程度のところまで公開するという機会が、我々の目前にある」
与えられた新たな役割によって、スメドレーは隔週で世界中を旅するのではなく、より多くの時間をイギリス国内で過ごせるようになる。それによってF1もまた、20年以上にわたって得てきたスメドレーの技術面での専門知識を活用することができるのだ。
「私がチームの現場仕事からは少し距離を置く決断をしたということは、しっかりと文書化されている。けれどもF1に対しては、今でも大きく燃えるような情熱を抱いているし、F1に対して少しばかり恩返しができることを願っている」
「F1での20年間で学んだことを、エンジニアとして視聴者に説明していくこと」を目指しているとスメドレーは言う。
「技術面や運営面だけでなく、人間的な部分もだ。F1で働く人々に何が必要で、どれだけ人生を捧げているかというようなことだね」
45歳のスメドレーがF1の現場に入ったのは1999年のことだった。ラフバラー大学の機械工学科を卒業した彼はスチュワートGPに加入。2004年にフェラーリに移籍すると同時に、フェリペ・マッサのレースエンジニアに就任した。
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