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小さく機敏で子犬のよう アバルト500e コンバーチブルへ試乗 154psの電動ホットハッチ

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小さく機敏で子犬のよう アバルト500e コンバーチブルへ試乗 154psの電動ホットハッチ

最高出力は154psへ増強 バッテリーは37.3kWh

フィアット500eは好ましいバッテリーEVだが、アバルト500eはもっと好ましい。呆れるほど速いわけではないものの、小さく機敏で、子犬のように活発に駆け回れる。電動化時代のホットハッチと呼びたくなる仕上がりだ。

【画像】小さく機敏で子犬のよう アバルト500e フィアット500eとミニ・エレクトリックも 全132枚

ただし、英国での試乗が叶ったアバルト500eは、折りたたみ式のファブリックルーフを備えたコンバーチブル。厳密にはハッチバックではなかったものの、ルーフ以外は変わりないから、このまま話を進めていこう。

このアバルト500eは、2年ほど前に発売されたフィアット500eの、スポーティな仕様に当たる。実際に運転した経験がなければピンとこないかもしれないが、フィアットの小さなバッテリーEVは、驚くほど運転が面白い。

そこへ、少し上乗せされたパワーと、好感触なステアリング、ハイグリップなタイヤが与えられている。見た目も、わずかにエネルギッシュさを強めている。従来のアバルトのイメージ通りに。

実容量で37.3kWhの駆動用バッテリーは、フィアット版と同じ。だがフロントアクスルを駆動するモーターは、154psまで増強してある。ギア比もショートになり、より鋭い加速を実現させた。航続距離は、少なからず犠牲になっているけれど。

サスペンション・スプリングはレートが高められ、ダンパーの減衰力も見直された。専用デザインのアルミホイールは、17インチか18インチを選べる。タイヤはブリヂストン・ポテンザスポーツを履く。

航続距離は241km 即時的なレスポンス

見た目の差別化もしっかり図られている。やる気を感じさせる前後のバンパーが与えられ、専用の塗装色も用意される。ホイールだけではない。

車内には、アルカンターラ仕立てのバケットシートが2脚据えられる。ステアリングホイール・リムとダッシュボード上部も、同様にアルカンターラで包まれる。この素材がお好きなら、きっと気に入るはずだ。

バッテリーEVとして肝心の航続距離は、駆動用モーターやギア比、タイヤの影響で、かなり短くなっている。通常のフィアット500eは、一度の充電で最長320km走れるとうたわれるが、アバルトではハッチバックで264kmとなっている。

今回試乗したコンバーチブル・ツーリスモは、241kmまで短くなる。それでも電費効率には優れ、5.8km/kWhがうたわれる。気象条件が良ければ、現実的に240km近く走れる可能性も高い。ホットハッチらしく活発に運転すると、一気に短くなるとしても。

実際に英国の一般道を走らせれば、楽しさに心が奪われる。現在の英国で購入できるバッテリーEVとしては、マイクロカーのシトロエン・アミなどを除いて最小サイズということもあり、狭い道幅を目一杯活用できる。フィアット500eでも当てはまるが。

アバルトでは、実際に引き出せるパワーが増えている。アクセルレスポンスは即時的で、ステアリングホイールの感触も若干濃くなった。フロントタイヤのグリップレベルを、感知させてくれる。

開放的な空間へ一変するコンバーチブル

反面、グリップ力自体は高いものの、ハンドリングバランスは安定志向。先に限界を迎えるのはフロントタイヤで、リアタイヤがラインから外れることはほぼない。アバルトらしく、テールを思い切り振り回せる個性までは得ていない。

専用のバケットシートは、サイドサポートがもう少し高くてもいい。カーブが連続する区間では、上半身が引っ張られがちだった。

短めのホイールベースと硬めのサスペンションという組み合わせで、通常のフィアット500eでも、荒れた路面では乗り心地が落ち着かなかった。アバルトでは更に引き締められ、市街地では細かな振動が収まらない。

少なくとも減衰力特性には優れ、よほど舗装が傷んだ区間を走らない限り、我慢を強いられるほどではないだろう。快適とは呼べないにしろ。

コンバーチブルといっても、ルーフ左右のフレームは残されているため、ハッチバックとボディ剛性に目立った違いはない様子。むしろ、ソフトトップを後方へ折りたためば、コンパクトなキャビンが開放的な空間へ一変し気持ちがいい。

走行中の乱気流も、想像したほど酷くはなかった。もし筆者が選ぶなら、コンバーチブルにするかもしれない。

プレミアムでニッチな電動モデル

英国価格は、ハッチバックより3000ポンド(約54万円)お高くなる。しかし残価設定型プランの場合、コンバーチブルは数年後の車両価格の設定が有利なため、月額の支払金額に殆ど差がない点もうれしい。

といっても、アバルト500eはそもそもお安くない。欧州には、よりパワフルで長い距離を走れる、価格帯が近似したバッテリーEVが存在している。多くの支持を集めることは難しいかもしれない。

アバルト側もそれは理解しているようで、欧州市場ではプレミアムでニッチな電動モデルに該当すると説明する。確かに開発水準は高く、走りも洗練されている。本物のホットハッチと呼ぶには、少し過熱ぶりが足りないかもしれないが。

アバルト500e コンバーチブル・ツーリスモ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万1195ポンド(約741万円)
全長:3631mm
全幅:1683mm
全高:1529mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:7.0秒
航続距離:264km
電費:5.8km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1435kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:37.3kWh(実容量)
急速充電能力:85kW(DC)
最高出力:154ps
最大トルク:23.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード(前輪駆動)

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