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【ハンドリング重視の進化版】ブガッティ・ディーヴォへ試乗 限定40台 6億円超

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【ハンドリング重視の進化版】ブガッティ・ディーヴォへ試乗 限定40台 6億円超

操縦性に焦点を当てた進化版シロン

text:Ronan Glon(ロナン・グロン)

【画像】ディーヴォ シロンとライバル 全108枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


2018年に発表され、またたく間に予定台数を売り切ったブガッティ・ディーヴォ。最高速度ではなく、ハンドリングに焦点が向けられた、進化版のシロンといって良い。

デザイナーは、90年前のレーシングカー、タイプ35などとのつながりを感じさせるスタイリングを拒んだようだ。カーボンファイバー製ボディの内側は、シロンと多くの部分を共有するため、プロポーションは似ている。だが見た目は、シロンとはまったく異なる。

一方の車内は、シロンとの遺伝子の近さを強く感じさせる。着座位置は地面に近く、モニターに挟まれたスピードメーターの目盛りは、500km/hまで刻まれている。

ステアリングホイールは比較的小径。2つの赤いボタンと、1対のシフトパドルが付いている。

今回の試乗車は、2トーンのインテリアだった。運転席はグレーで、助手席はブラック。両方の色が、ステアリングホイールに用いられている。新しいオーナーが、納車を待っているはず。

ディーヴォのオーナーの70%ほどが、クルマのカスタマイズを選んでいる。費用が許すなら、かなり大胆な変更も可能だという。

ブガッティは、シロンのメカニズムに大きな手は加えていない。ディーヴォに搭載されるのも、シロンと同じクワッド・ターボの8.0L W型16気筒エンジン。

最高出力1500ps、最大トルク162.8kg-m

最高出力は1500psで、最大トルクは162.8kg-m。7速デュアルクラッチATを介して、四輪を駆動する。0-100km/h加速に要する時間は2.4秒。感覚が麻痺しそうだが、シロンと額面は変わらない。

操縦性にフォーカスしたといっても、贅肉が落とされたサーキットマシンではない。インテリアは見事なまでにラグジュアリー。それでもシロンと比較して、わずかに車重は軽いという。

知的なエンジニアの努力で、要所要所量を軽くしている。例えば、軽量なホイールを採用することでバネ下重量を減し、ディーヴォはより速く走れる。

リアウィングは、シロンより面積を23%も大型化。空力を改善するとともに、エアブレーキの効きも高めている。リア・ディフューザーの形状も見直され、ダウンフォースを増加。ディーヴォを地面から離れないように務めてくれる。

ディーヴォという車名は、フランス人レーシングドライバー、アルベルト・ディーボが由来。彼はイタリア・シチリア島の一般道で開かれたレース、タルガ・フローリオでブガッティ・タイプ35を駆り、1928年と1929年に優勝している。

今回の試乗では、その歴史的なルートを、短い区間ながらドライブすることができた。素晴らしい体験だ。

フローリオ・ポリに残るレーシングスタンドと、内陸の街、セルダを結ぶ細い道。脇にはオリーブの木が並んでいる。

ハイスピードを維持できるコーナリング

路面には、大きなライスコロッケくらいはありそうな、舗装の剥がれた穴が空いている。車線を分けるペイントは、剥がれかけている。30年落ちのフィアット・パンダを避けながら走る。劇場的な体験の連続だ。

おかげで、BMW X7より幅は広く1500psもあるディーヴォを、むやみに運転しないでおこう、という気持ちに保ってはくれる。

ステアリングの操舵感は、シロンよりシャープで、コミュニケーションも豊か。フロントタイヤがどんな状況にあるのか、掴みやすい。

リアウィングのエアブレーキによってアシストを受ける、制動力も素晴らしい。0-100km/h加速と同じくらいの勢いで、速度を殺す。

道が開けたら、アクセルペダルを少し踏み込む。最初は2基の、すぐに4基すべてのターボチャージャーが勢いよく過給を始める。エアバスA380のように、盛大に空気を吸ううめき声が聞こえてくる。

8.0LのW16エンジンが、ディーヴォを勢いよく弾き飛ばす。まさに、現代のブガッティに期待する通りのスピードだ。

何より驚いたのが、ハイスピードを維持できるコーナリング。車重は軽くなり、ダウンフォースは増え、シャシーにも改良を受けている。確実な手法で、声を失うほどに効果的に仕上がっている。

加えて四輪駆動。凄まじいトルクでも、4本のタイヤがトラクションを失うことはない。

40台は記録的な速さで売約済み

21世紀で初めてとなるコーチビルドのブガッティを、読者のカーコレクションに加えるかどうか。可能な資金があったとしても、ブガッティのリストに名前がなければ、すでに手遅れだ。

ブガッティは、2018年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで、ロイヤル・クライアントに披露。その場で1台450万ポンド(6億1200万円)もするディーヴォを、40台売り切っている。記録的な速さだといえる。

もし高速で地平線目がけて疾走するだけでなく、ドリフトもできるブガッティが欲しいなら、可能性はまだある。ワインディングロード向けにデザインされた、シロン・ ピュール スポールなら、購入が可能。

こちらの価格は、300万ユーロ(3億7500万円)なり。ディーヴォよりは、お手頃だ。

ブガッティ・ディーヴォ(欧州仕様)のスペック

価格:450万ポンド(6億1200万円)
全長:4641mm
全幅:2018mm
全高:1212mm
最高速度:379km/h
0-100km/h加速:2.4秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1961kg
パワートレイン:W型16気筒7993ccクワッド・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:1500ps/6700rpm
最大トルク:162.8kg-m/2000-6000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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