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アルピナのディーゼルは「第3のエンジン」? 最新スポーツセダン、D5 SとD3 Sの上質な乗り心地を検証

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アルピナのディーゼルは「第3のエンジン」?  最新スポーツセダン、D5 SとD3 Sの上質な乗り心地を検証

BMW ALPINA D5 S × D3 S

BMW アルピナ D5 S × D3 S

アルピナのディーゼルは「第3のエンジン」? 最新スポーツセダン、D5 SとD3 Sの上質な乗り心地を検証

セダン最高峰の誉れ

50年以上の歴史を誇る少量生産メーカーは、常に超高性能車を製造し、期待に応えてきた。そのアルピナの最新スポーツセダン2台に試乗して、高品質と端正さはどこから来るのか検証した

「このディーゼルは個人的にアルピナ独自の“第3のエンジン”と捉えている」

「スポーツセダンの雄」として我が国では根強い人気を誇るBMW アルピナだが、最近は主力がガソリンからディーゼルに移りつつあることをご存じだろうか?

全8モデルのうち、ディーゼルが5モデルでガソリンが3モデルとラインナップが豊富なこともその理由のひとつだが、驚くべきことに販売台数の面でもディーゼル比率が5割を超えているという。

アルピナが初のディーゼル“D10 ビトルボ”を発表したのは1999年。私はこのモデルをドイツで試乗する幸運に恵まれたが、洗練さでは未完成でも、豊かなトルクをレスポンスよく発揮する点に“スポーツディーゼル”の可能性を感じたことをいまも鮮明に覚えている。

あれから20年が過ぎ、アルピナのディーゼルは飛躍的に進歩した。振動やノイズが見違えるように改善されたうえに、みっしりと中身が詰まったトルクを寸分の遅れもなく生み出すそのキャラクターは、従来のディーゼルエンジンともガソリンエンジンとも大きく異なるもので、個人的にはアルピナ独自の“第3のエンジン”と捉えている。

「D5 SとD3 S、同じ3.0リッター直6ターボだがスペックは微妙に異なる」

そんなアルピナが放つ最新ディーゼルが、ここで紹介するD5 SとD3 Sである。どちらも3.0リッター直6ターボディーゼルエンジンを積む4WDのセダン(別にツーリングモデルもあり)だが、スペックには微妙な違いもあるので順に解説していこう。

先に試乗したのはフェイスリフトを受けた5シリーズがベースのD5 S。最高出力347ps、最大トルク730Nmのパフォーマンスにより0-100km/h加速は4.8秒で駆け抜け、最高速度は275km/hに達する。

「金属的なショックを一切感じさせることなく優しくホイールがストロークする」

強い雨が降る生憎のコンディションのなか、まずは世田谷のショールームから走り出すと、歩道から車道に降りる数cmほどの段差を通り越しただけで、アルピナらしい驚くべき快適性を実現していることに気付いた。例によってフロント35%、リヤ30%という超低扁平の20インチタイヤを装着しているにもかかわらず、金属的なショックを一切感じさせることなく優しくホイールがストロークする様は、思わず舌なめずりしたくなるほどしなやかで心地いい。

サスペンション系から一切のフリクションが排除されている一方で、ストロークし始めるその瞬間からほどよいダンピングを発生するために、ただ快適なだけでなく圧倒的な上質感も伝わってくるようだ。それも、電気仕掛けで生み出した快適性とは思えない。ひとつ一つのパーツをただひたすらに精度高く磨き上げていく。そんな愚直ささえ感じられる乗り心地なのだ。

「巡航状態から加速するときのスムーズさ──速度の立ち上がり方も実に心地良い」

そうした極上の乗り心地は高速道路に乗ってからも変わらない。目地段差の乗り越えでも一切ショックを伝えないまま心地いいクルージングを楽しめるが、うねりの大きな路面ではサスペンションのストローク感がはっきりと認められる。これはこれで良質なラグジュアリーサルーンにも通じる身のこなしだが、スポーツ志向の強いドライバーの中には「もう少し引き締まった乗り心地のほうが好み」という向きがあるかもしれない。そんなときはドライビングモードでスポーツを選べばたちどころにしてフラット感が増し、無駄なボディの動きが抑えられるのでご安心いただきたい。

ハイウェイクルージングで一切の存在感を消してしまうディーゼルユニットは、しかしスロットルペダルを踏み込むと瞬時にして目覚め、なんのタイムラグも感じさせずに滑らかな加速を開始する。しかも、巡航時から加速時に移るときに一切のショックを感じさせないのは当然のこと、速度の立ち上がり方も実にスムーズで心地いい。そのつながりのよさは、サスペンションがストロークし始める瞬間の滑らかさにもどこか通じるところがある。

大雨のためにワインディングロードでは本来の実力の1割も発揮できなかったが、4WDでありながらもトルク配分のリヤバイアスが強く、DSCをオンにしたままでも軽くテールを振り出しそうな素振りを見せた。驚くべきは、その予兆の伝え方で、実際にタイヤが滑り始めるかなり前からドライバーには危険信号が発せられるようになる。最近のアルピナの例に漏れず、試乗車にもPゼロが装着されていたが、ピレリをここまで調教してしまうアルピナの実力はさすがというしかない。

「ボディがぎゅっと凝縮されたかのような強い一体感が味わえるD3 S」

続いて試乗したのは3シリーズベースのD3 S。こちらはアルピナのディーゼルモデルでは初となる48Vマイルドハイブリッドを装着していたが、雨足は強くなるばかりでその実力は試せずじまい。ただし、足まわりの設定はD5 Sとは大きく異なる引き締まったもので、ボディがぎゅっと凝縮されたかのような強い一体感が味わえる。ステアリングの反応も驚くほどシャープで、乗り換えた直後のコーナリングでは自分が思った以上に早くインについてしまってステアリングを切り直したほど。しかし、慣れれば小気味いいハンドリングが味わえるので、スポーツ派には間違いなくこちらがお勧めだ。

2台に試乗して感じたのは、乗り心地にしてもコーナリングにしても動力性能にしても、アルピナは常にシームレスな反応を示すということ。ただレスポンスが鋭いだけでなく、過渡状態にあるときも、足まわりであれば常にダンピングが利いているような滑らかさがあって心地よく、また安心感が強い。そのために費やされたコストについては想像にあまりあるが、そんな造り込みの贅沢さこそアルピナの矜持といえるだろう。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

【SPECIFICATIONS】

BMW アルピナ D5 S アルラッド

ボディサイズ:全長4978 全幅1868 全高1466mm
ホイールベース:2975mm
車両重量:2020kg
エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルツインターボ
総排気量:2993cc
最高出力:255kW(347ps)/4000-4200rpm
最大トルク:730Nm(74.4kgm)/1750-2750rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/35ZR20(8.5J) 後295/30ZR20(10J)
巡航最高速度:275km
0-100km/h加速:4.8秒
燃料消費率(WLTPモード):13.5
車両本体価格:1358万円

BMW アルピナ D3 S アルラッド

ボディサイズ:全長4719 全幅1827 全高1440mm
ホイールベース:2851mm
車両重量:1950kg
エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルツインターボ
総排気量:2993cc
最高出力:261kW(355ps)/4000-4200rpm
最大トルク:730Nm(74.4kgm)/1750-2750rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/35ZR19(8.5J) 後265/30ZR20(9.5J)
巡航最高速度:273km
0-100km/h加速:4.6秒
燃料消費率(WLTPモード):13.2
車両本体価格:1078万円

【問い合わせ】
ALPINA CALL
TEL 0120-866-250

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みんなのコメント

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  • 「巡航時から加速時に移るときに一切のショックを感じさせないのは当然のこと、速度の立ち上がり方も実にスムーズで心地いい。」これってEVなら当たり前の性能。今更ICEで苦労して成立させる必要は無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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