2021年9月より北米大陸における新選手権としてスタートを切った『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NRX)』の第3戦が11月13~14日にアリゾナ州のワイルドホースパス・モータースポーツパークで開催され、シリーズ発起人のひとりでもあるトラビス・パストラーナ(スバルWRX STIスーパーカー/スバル・モータースポーツUSA)が、ポールポジションから待望のシリーズ初優勝をマークした。
そしてこのラウンドにゲスト参戦を果たし、ラリークロス・デビューを飾ったNASCAR界の“暴れん坊”ことカイル・ブッシュ(スバルWRX STIスーパーカー/ジップリクルーター・#GONITROカー)は、いきなりのファイナル進出を決め4位フィニッシュと、その非凡な才能を見せつけている。
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かつてのGRCグローバル・ラリークロスやARXアメリカズ・ラリークロスなどを前身とする同選手権は、X Games(Xゲームズ)で複数のゴールドメダリストに輝き、5度の北米ラリー選手権王者も獲得したスタントドライブの第一人者パストラーナが創案者となり、現地で絶大な人気を獲得するMTVのリアリティショー、ナイトロ・サーカスからの派生シリーズとして幕を開けた。
初年度は9月24~25日にユタ州ソルトレイクシティのモータースポーツキャンパスで開幕戦を迎え、同10月2~3日にはミネソタ州ミネアポリスのERXモーターパークで第2戦を開催。その初戦はWorldRX世界ラリークロス選手権の2019年チャンピオンでもあるティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/レッドブル・ハンセンNRXチーム)が、続く第2戦をスバル・モータースポーツUSAから参戦のスコット・スピード(スバルWRX STIスーパーカー)が制している。
そんななか迎えた第3戦を前に、シリーズクリエーターでもあるパストラーナはNASCAR界の“ダークヒーロー”ことブッシュの招聘に成功。NASCARカップ・シリーズ2冠を誇るタレントのために、自身やF1経験者でもあるスピードと同様に、スバル・モータースポーツUSAがプリペアしたスバルWRX STIスーパーカーを用意するとともに、自身も「開幕2戦で獲り逃がした勝利に飢えている」と、イベントを前に優勝への意気込みを語っていた。
「そろそろ僕の時間だ、本当にね。トラックをデザインしてルールを作成したのは自分なんだから、勝つことだってできるはずさ」と冗談混じりに語ったパストラーナ。「大勢のファンの前で、こうしてイベントを開催できたことは夢の実現だ。でも、ここからが本当の始まりだよ」
■「本当に、とてもとても楽しかった」と笑顔で語ったカイル・ブッシュ
その言葉どおり、土曜のプラクティスから速さを見せたパストラーナは、自身が「1コーナーに向けてはインサイドのスタート位置を死守することがカギになる」と語ったとおり、1対1のバトル・ラウンド1でもポールポジションを確保すると、こちらも電動オフロード選手権、エクストリームEに参戦中のオリバー・ベネット(ミニ・クーパーSX1 RXスーパーカー/Xiteエナジー・レーシング)を、続くバトル・ラウンド2と3ではケビン・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/レッドブル・ハンセンNRXチーム)と兄のティミーを立て続けに撃破する快進撃を披露する。
勢いそのまま、セミファイナル1でもケビン・エリクソン(ホンダ・シビック・クーペ・タイプR/オルスバーグMSE)やロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ/モンスターエナジー・RXカルテル)ら実力派を下したパストラーナが、週末最後のファイナルでも追いすがるティミーのプジョーを約2秒差で抑え切ってみせた。
「ティミーはこの週末を通じて、本当に素晴らしいスタートを決め続けていた。でも、僕のスバルも彼の前に立つのに充分なトラクションを発揮してくれたよ」と勝者パストラーナ。
一方、注目のブッシュはRXスーパーカーのテスト経験もない“ぶっつけ本番”でイベントに臨んだにも関わらず、プラクティスとデュエルのヒートで0-60マイル(約96km/h)加速1.9秒、最大加速1.5Gを記録する600PSのラリークロス車両をモノにすると、いきなりファイナル進出を決めファンを沸かせる走りを披露。
隣のグリッドに並んでいたタナー・ファウスト(#34/アウディS1 RXクワトロ/ドレイヤー・ラインボールド・レーシング)らとのバトルを制し、第2戦ウイナーのスピードに次ぐ4位フィニッシュという好成績を収めた。
「それは本当に、とてもとても楽しかった。でもフィニッシュ後にみんなから『4位おめでとう』とか『さすがだ!』なんて言われると、正直『クソっ、あと少しで3位表彰台だったのに』って気持ちが込み上げてきたよ」と笑顔を見せたブッシュ。
「確かに、ここで戦うにはまだまだ長い道のりがありそうだ。まだ最前線でドライブすることはできていないし、今後はもう少しこうした機会を作って楽しめたらと思うよ」
また、スーパーカーへのステップアップ・カテゴリーとして機能するワンメイクのNRXクラスは、インディカーとNASCARのXfinityシリーズに参戦するセイジ・カラム(ドレイヤー・ラインボールド・レーシング)が連勝を飾っている。
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