Dallara Stradale
ダラーラ ストラダーレ
ダラーラ ストラダーレをサーキットで試乗! その斬れ味を田中哲也が報告する
ダラーラが生み出したライトウェイトスポーツの意欲作
レーシングコンストラクターであるダラーラが製作した市販モデル、ダラーラ ストラダーレ。昨年末に富士スピードウェイで初めてステアリングを握った時は、その素晴らしい走りに感動を覚えたのだが、今回再びこのクルマに乗るチャンスをもらった。
前回は12月で気温も低く、そしてハイスピードなFSW、そして今回は気温が30度近い袖ヶ浦フォレストレースウェイと、条件もタイプも違うサーキット。このクルマが今度はどのようなポテンシャルを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
高剛性なカーボン製バスタブ式コクピットを採用
ドアがないので乗り込むのはちょっと大変だが、座ってステアリングとペダルを調整してしまえばクルマと自分が一体になったかのように感じられるのは、やはりレーシングマシンの経験が豊富なダラーラならではだろう。エンジンを始動してコースインすると、すぐに感じられるのがステアリングフィールの素晴らしさである。決して重すぎることがなく、しっかりとした感覚で、操作に対する遊びや曖昧な反応は非常に少ない。そしてドライバーの操作がダイレクトにタイヤに伝わる。
また各タイヤのグリップの状況がリニアに、そしてダイレクトにステアリングから伝わってくる。ステアリングの重さがタイヤのグリップの状態で明確に変化するので、タイヤ性能の限界をギリギリで使うことが可能になるのだ。このステアリングインフォメーションの素晴らしさは、ダラーラ・ストラダーレの大きな魅力と言っていいだろう。そのおかげですべてのコーナーで思い通りのラインをトレースすることが可能となるので本当に気持ちが良い。
0-100km/h加速は3.25秒、最高速度は280km/hに達する
1トンそこそこという超軽量ボディだから、ブレーキの制動力も素晴らしい。それだけでなく、ブレーキング時の安定感も抜群だ。しかしブレーキングの最終段階でブレーキを残しながらステアリングを切り込もうとするタイミングで、ABSが介入する時がある。ABSが介入すると曲げようとしているのにフロントが逃げていってアンダーステアが発生してしまう。だからブレーキングの後半でいかにABSの介入を少なくして上手くブレーキングできるかが、非常に重要なテクニックとなる。ここは少し慣れが必要な部分だろう。
しかしそのポイントを見つけてしまえばブレーキングでしっかりクイックに向きを変えることが出来て、その挙動はまるでフォーミュラカーかと思えるような瞬間がある。これほどシャープな反応を体験できるクルマはなかなかない。
そしてクイックなターンインのあとはクリップ付近からパワーをかけていくと、素晴らしいトラクション性能によってリヤがナーバスになることもなくグリップの限界ギリギリを使い、袖ヶ浦のすべてのコーナーを見事にクリアしていくのだ。このサーキットには2速からフルパワーで立ち上がる低速コーナーがあるが、その出口でもリヤの挙動に神経質になることはまったくなく、すぐに全開にしても気落ち良くトラクションが掛かってくれた。サスペンションは路面に対する追従性が素晴らしく、何ヵ所かあるバンピーな部分を通過するときでも、クルマの跳ねが非常に小さいために路面がスムーズに感じてしまったほどだった。
ダイレクトな挙動と優れたダウンフォースが魅力
そしてもうひとつ好印象だったのが、4速の加速状態でクリアする2コーナーでのダウンフォースの大きさで、そのスピードレンジではマシンが重くなったような印象を受けたほど。このあたりはさすがにフォーミュラのトップであるダラーラが造ったクルマであると感心させられる。
圧倒的な軽さに加えて、ステアリングフィールの素晴らしさ、剛性の高さからくるダイレクトな挙動、路面への追従性が素晴らしく跳ねないサスペンション、そして優れたダウンフォースによる高速コーナーでの安定感。以前にFSWでも感じたことだが、今回はその時以上の気持ち良さを味わえた気がする。
このクルマのポテンシャルは袖ヶ浦のようなツイスティなサーキットではさらに光るのではないかと思えた。ストラダーレという名前が付いているくらいだから、ワインディングロードでの走りも重視されているはず。だからこそ袖ヶ浦のような規模のサーキットがマッチしているのかもしれない。
このクルマを自在に扱うにはそれなりのスキルが必要だが、練習してこのポテンシャルをフルに発揮できた時の快感は、他のロードカーでは味わえないほどのものであることは間違いないだろう。
REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
【SPECIFICATIONS】
ダラーラ ストラダーレ
ボディサイズ:全長4180 全幅1870 全高1150mm
ホイールベース:2475mm
車両乾燥重量:1030kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:2261cc
最高出力:292.7kW(400ps)/6200rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/3000-5000rpm
トランスミッション:6速RMT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前205/45ZR17 後255/35ZR18
0-100km/h加速:3.25秒
最高速度:280km/h
車両本体価格(税込):2256万5000円~
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