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速さは往年のF1級 レボリューションSC500へ試乗 3.7L V6スーチャーで634ps/t

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速さは往年のF1級 レボリューションSC500へ試乗 3.7L V6スーチャーで634ps/t

パワーウエイトレシオは634ps/t

今まで運転したことのないモデルでも、基本的な操作は大体共通している。だが、今まで自分には無理だったことが、このクルマなら可能だという。

【画像】手懐けられればプロ級 レボリューションSC500 サーキット専用マシンは他にも 全109枚

筆者が挑戦しようとしているのは、ドニントンパーク・サーキットの第3コーナー、クラナー・カーブを右足を緩めずに通過すること。運転するのは、レボリューションSC500というサーキット専用マシンだ。

開発ドライバーのジェームズ・アボット氏が実際に駆け抜ける様子を、車載カメラの映像で確認はした。だが、コトはそんなに簡単ではない。

このSC500には、スーパーチャージャー付きのフォード社製3.7L V6エンジンが搭載されている。最高出力は507psだといい、車重は800kgしかない。パワーウエイトレシオは、634ps/tもある。

クラナー・カーブの入り口からは、先が見通せない。下り坂で、出口には少しタイトなコーナーが続いている。カーブへ侵入する手前では、SC500は240km/h近い速度に届いてしまう。

一般的なスポーツカーで生成可能な、2倍以上の横Gがドライバーに掛かるという。左のブラインドコーナーをそんな高速で通過することは、筆者にとっては相当に大きなチャレンジだ。

実際、勇気を振り絞ってサーキットに出てみたものの、結局は右足の力を緩めずにはいられなかった。大きく減速するほどではなかったとはいえ、ベタ踏みはできない。

SC500の直線加速自体は、そこまで圧倒的ではない。だが制動力とグリップ力が、ヘルメットを被った頭を強く揺さぶる。

GT3以上の能力をGT4よりお手頃に

こらえきれない右足に、少しがっかりする。プロのレーシングドライバーとアマチュアとの間には、大きな壁がある。ピットに戻り休憩することにした。

このクルマのことは、初耳という読者も多いだろう。レボリューション・レース・カーズ社は、1996年にラディカル社を創業したフィル・アボット氏が中心となって、2018年から進められているプロジェクト。そこで生み出されたのが、SC500となる。

スタッフは6名おり、28台目のクルマを製造中だという。アメリカから10台の追加注文があり、スポーツ・プロトタイプ・カップに、ラディカルなどと並んで出場する可能性もある。

レボリューション独自のワンメイク・レースも検討しているようだ。「スーパーチャージャーがクルマを一変させました。パワフルなだけでなく、回転数の上昇とともにブースト圧も高まり、ターボより管理が簡単なんです」。とアボットは話す。

彼は、トップレベルのGT3マシンより優れたパフォーマンス持つレーシングカーを、GT4マシンより手頃な価格で提供することを目的としている。予定では、SC500を16万ポンド(約2608万円)で提供するつもりだという。

生粋のレーシングカーで、ル・マン・プロトタイプのように、カーボンファイバー製タブで構成されている。ドライバーの頭上には、命を守るハロ・システムが備わる。実際、サーキットのラップタイムはLMP3に肉薄するらしい。

CS500へ乗るには、ハロ・システムの上から。身体をねじ込んだら、想像以上に快適なドライビングポジションに収まれる。

ハーフウエットでフルパワーを放てる安定性

今回筆者が試乗させてもらうマシンは、英国の自転車競技選手、クリス・ホイ氏によってレースへ参戦した過去がある。彼は、LMP2ル・マン・マシンのレーシングドライバーでもある。

ホイが筆者に優しく話しかけてくれた。「きっと気に入ると思いますよ。とても扱いやすいクルマです」。そして続ける。

「コースイン時は、スリックタイヤが冷えた状態なので、プッシュしすぎない方が良いでしょう。ピットレーンの出口で、1回転するのを見たことがあります」

1回目のセッションは雨上がり。コースは部分的にウェットで、部分的にドライだった。状況が読みにくく、最も難しいコンディションだといえる。完全にウェットの方が、むしろ簡単だったりする。

コースインすると、SC500はとても安定していた。数週を走り終えた辺りで、トラクションコントロールをオフにする。フルパワーを放ちながら、ドニントンパークのタイトコーナーを楽しめるようになっていく。リアがうずく様子がわかる。

6速シーケンシャルMTにはシフトパドルが付いていて、シフトアップは高級車のように滑らか。シフトダウンは、V6エンジンの唸り声を交えながら、ドラマチックにスパスパと決まる。クラッチペダルは付いているが、基本的に踏まなくていい。

自分でコントロールできる範囲で、コーナリングスピードを徐々に上げる。自信を持ってSC500を走らせている限り、幸福感が湧いてくる。だが、例のクラナー・カーブをベタ踏みでは通過できない。

1970年代後半のF1マシンと同等の速さ

2回目のセッションは、完全なドライ。能力の高いモデルの場合は、手強いコンディションだ。マシンの限界付近まで迫っていたと感じていたが、実際にはまだ上がある。その事実がもどかしい。

乾燥した路面では、コーナリング時に掛かる力は想像を超えている。普段どおり、インを突いたラインをたどることが難しい。まだ限界の手前なことはわかるが、そこへ迫るにはどう操れば良いのか、正確にはわからない。

若くない筆者だが、可能な限り踏ん張り、イン側の縁石へ乗り上げる。テールが軽く流れ、マシンが筆者のガッツに応えてくれた。

自動車ジャーナリストの筆者にとっては、これが限界。SC500は比較的手頃なレーシングカーだが、たやすくプロドライバー級にラップタイムを刻めるわけではない。突出した才能も求められる。走行データを分析し、それを走りに展開できる技術も必要だ。

このマシンを手懐けることができれば、ラディカルやLMP3で戦うレース、スポーツ・プロトタイプ・カップも目指せるだろう。ごく一部の、特別なドライバーなら。

筆者がSC500を試乗した同じ日、ドニントンパークにはレーシングドライバーのニック・パドモア氏も来ていた。古いF1マシンのテスト走行をしていた彼は、業界では名の通った人物だ。

SC500のラップタイムをパドモアに見せると、パワフルで軽量で、ダウンフォースが弱かった1970年代後半のF1マシンと同等の速さだと話していた。それを聞いて、クラナー・カーブで右足を緩めた自分を許すことができたのだった。

レボリューションSC500(英国仕様)のスペック

英国価格:16万ポンド(約2608万円/予定)
全長:4353mm
全幅:2000mm
全高:1125mm
最高速度:289km/h
0-97km/h加速:2.4秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:800kg
パワートレイン:V型6気筒3726ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:507ps
最大トルク:−
ギアボックス:6速シーケンシャル・マニュアル

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