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F1日本GPで1ストップに賭けたメルセデス。エンジニアが明かす作戦の理由と失速の原因

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F1日本GPで1ストップに賭けたメルセデス。エンジニアが明かす作戦の理由と失速の原因

 2024年は春の開催となったF1日本GP。メルセデスは、ジョージ・ラッセルが7位、ルイス・ハミルトンは9位と2台ともに入賞圏内ではあるものの、合計獲得ポイントはわずか8ポイントにとどまったことで、かなり困惑してサーキットを後にした。

 走行初日となる金曜日は、マシンを理解して進むべき道を見つけたと信じ、チームにとっては最高の日となっていたようだが、予選から決勝と週末が進むにつれて、メルセデスがマシンに対する理解を欠いていることが露呈された。

メルセデスF1のマシンは昨年よりもダウンフォースが増加。一方で「引き出せるはずのタイムを引き出せていない」と代表

 予選ではハミルトンが7番手、ラッセルが9番手と苦戦し劣勢となったメルセデスは、決勝序盤のリスタートで賭けに出た。両方のドライバーにハードタイヤを装着させ、1回のタイヤ交換のみでチェッカーを受けることを期待したのだ。

 トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、「レースはもう少し違うものになるだろうと思っていた」と、レースが計画通りに進まなかったことを認める。

「トップ10のチームのうち、ハードを2セット持っていたのは我々(メルセデス)とマクラーレンで、一方レッドブルとフェラーリはミディアムを2セット持っていた」

「レースを1周走った時点では、ハードとミディアムを比較する十分な情報がなかった。限られた週末の走行でも、活かせるようなデータは得られていなかった」

 そのため、ライバルとは異なる作戦で勝負をかけるべくメルセデスは次のように考えた。

「ハードで1ストップを達成する方が、ミディアムとハードにするよりも簡単な方法なのは確かだった」

「それに赤旗が出た時点で、すでにミディアムタイヤでの周回を終えていた。つまりルール上では、ハードタイヤ2セットでのワンストップを効果的に行うことができるはずだと考えたのだ」

 作戦が失敗に終われば、後続からのプッシュを受けざるを得ない事態に発展することも考えられるが、ショブリンに寄れば「他のチームからの脅威まったくなかった。彼らは我々よりも遅く、相互に影響する可能性は低かった」という。

「重要なのは前にいるライバルチームを抜くことのみだった」

 しかし、残念ながらメルセデスの両ドライバーにとっての問題は、最初のハードタイヤでのスティントが充分でないということだった。

「我々はトラフィックでかなりのタイムを失ったことで、順位を落としていたも同然だった。しかし、基本的にはマシンに速さがなかったし、今はそのことを理解しようとしているところだ」

「鈴鹿ではタイヤはかなり熱くなる。オーバーヒートに陥ることもあり、トラフィックにつかまればグリップが落ちてスライディングも増えて悪影響になるのだ」

「我々はヘアピン、シケインを含む低速コーナーで苦戦していたし、これらのコーナーでタイムのかなりの部分を失っていたのは明らかだった。そして前にマシンがいるときは、さらに悪化していたはずだ」

 トラックサイドエンジニアリングディレクターのショブリンにとっても、予選を終えた時点で「あまり自身がなかった」というF1日本GP。メルセデスとライバルの差はレッドブルだけでなく、フェラーリやマクラーレンとの溝も無視できないものになってきた。メルセデスはシーズン中盤までに、ライバルを出し抜くきっかけを掴む事ができるだろうか。

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