全体的にスムーズさを増したスタイリング
崇高なマクラーレン720Sが登場してから、早いもので6年が経過した。クラスを超えたロードマナーを宿し、極めて軽量でパワフルな、歴史に刻まれるスーパーカーだった。
【画像】後継のハードルを上げる完成度 マクラーレン750S 競合のスーパーカー 720Sとアルトゥーラも 全145枚
近未来のマクラーレンにもV8エンジンは継投されるものの、ハイブリッド化が明らかになっている。同社の新CEOで、過去にフェラーリへ在籍していたマイケル・ライタース氏の主導で、開発は進められている。
それは、ハイブリッドのV6エンジンを搭載したマクラーレン・アルトゥーラの、格上モデルへ据えられる予定。スタイリングは、ビアス・ズールマン氏が手掛けるという。
他方、並外れた720Sの動力性能を凌駕するべく、フェラーリは296 GTBへプラグイン・ハイブリッドのV6エンジンを採用。830psの最高出力を与えた。だが、マクラーレンは現行モデルの進化の手も止めていなかった。750Sがリリースされたのだ。
実際のところ、720Sのフェイスリフト版といっても嘘ではないだろう。ポルトガル西部、エストリル・サーキットで初めて目にした時、確かに変化へ気づくことはできたが、以前の面影もしっかり残っていた。
黒く縁取られたヘッドライトの周辺、通称「アイソケット」は若干小さくなった。フロントスカートは、ボディと同色に塗られるエリアが広がった。サイドシル部分のエアインテークも拡大されている。全体的にスムーズさを増した印象だ。
抜かりない最適化 鍛造ホイールで13.8kg軽量化
リアには、マクラーレン 765LT譲りとなる、エアブレーキ・システムを実装。グリル部分にも手が加えられている。エグゾーストパイプが顔を出す位置は中央に寄せられ、少し高くなった。
歩み寄ってみると、750Sはエキゾチックでドラマチック。有機的で官能的だ。少し綺麗にまとまりすぎているようにも思えるが、感じ方は人それぞれだろう。
マクラーレンだから、細部の最適化には抜かりない。電気油圧式のステアリングラックは、レシオがクイックになった。若干だが回頭性が鋭くなり、中速域までは明らかに手応えが増えている。
10スポークのアルミホイールは鍛造。同社のホイールとしては最軽量のアイテムで、従来から4本で13.8kgも軽く仕上がったという。また、サスペンション・スプリングとダンパーも更新され、2kgの軽量化に繋げている。
コンフォートとスポーツ、トラック(サーキット)から選べるサスペンションのモードは、変化度が拡大した。同社技術者のサンディ・ホルフォード氏は、トラック・モードは公道にはまったく適さないと、その過激ぶりを認める。
ブレーキ・ブースターも新しくなり、ブレーキペダルの感触の一貫性を高めている。オプションで、マクラーレン・セナ譲りの6ポッド・モノブロックキャリパーを、フロントに組むことも可能とのこと。
スーパーカーのコクピットとして素晴らしい
インテリアも、細部へ変更を受けている。カーボンファイバー製モノコックは720Sと同一で、コンポーネントが組まれるハードポイントに変わりはないため、基本的な印象は重なるけれど。
とはいえ、スーパーカーのコクピットとして素晴らしいことにも変わりはない。面構成や光の演出が巧みで、特別なクルマに乗っているという感覚を抱かせる。ドライバーとエンジンとの結び付きを強めるため、エンジンマウントは強化されたという。
1番の変化は、メーター用モニターが新しくなったこと。アルトゥーラのように、ステアリングコラムへ固定されている。1.8kg軽いそうで、アクティブダイナミック・サスペンションとパワートレインのモードを切り替えるスイッチが、耳のように突き出ている。
インフォテインメント・システムも刷新。アップル・カープレイへ標準で対応する。
普段使いしたいドライバーへ朗報といえるのが、ノーズリフトシステムが高速化したこと。フロント・オーバーハングの持ち上がる時間が、11秒から4秒に短縮されている。
カーボンファイバー製シェルのバケットシートは標準。720Sのスポーツシート比で、17.5kgも軽いらしい。もっと軽さを追求したければ、スーパー・ライトウエイト・カーボンシートも選べる。こちらのシェルは、3.5kgしかないそうだ。
予習はこのくらいにして、部分的に濡れたエストリル・サーキットへコースイン。タイヤは、ラップタイム重視のピレリPゼロ・トロフェオRを履いていた。
非の打ち所がないサーキットでの操縦性
ミドシップ・レイアウトとウェットが招く限定的なグリップが重なり、アクセルペダルを戻すタイミングが悪いと、旋回時にはエンジンの質量が慣性でドライバー側へ押し寄せる。テールエンドは、たまらず乱れだす。
パワフルなV8エンジンを手懐けるには、丁寧で正確な所作が求められる。ご機嫌斜めの猛獣へ、餌付けするように。
ターボブーストを高め、765LT用のピストンと2基目の燃料ポンプを採用。リカルド社が供給する4.0L V型8気筒ツインターボ・エンジンの最高出力は、750psへ向上している。冷却能力も強化されている。
路面が乾き出すと、タイヤにも熱が加わるようになり、予想通り750Sは本性を表し始める。直線では飲み込まれるように速い。
4000rpm付近で達するトルクの山を活かせば、風に乗った木の葉のように、750Sは路上を舞うように走る。高回転域でのエグゾーストノートも音量を増し、興奮を増長する。ランボルギーニ・ウラカンの水準には届いていないが。
サーキットでの操縦性に、非の打ち所はない。油圧クロスリンク・サスペンションは改良を受け、トレッドはフロント側で6mmプラス。スプリングレートは、フロントが3%ソフトになり、リアは4%ハードになった。それらの結果が表れている。
コーナーのきつさを問わず、侵入時でも脱出時でも、望外な調整しろを備える。自信を持ってラインを選べ、スタンスを探れる。ブレーキペダルは、踏み初めに小さなデッドゾーンがあるものの、漸進的な反応でコーナリングの能力を拡大している。
後継モデルのハードルを上げる完成度
ストレート目掛けて、アクセルペダルを踏み込んでテールを流すこともできるし、綺麗に旋回させることも自在。81.4kg-mという極太トルクの発生は、若干不正確な印象も伴うとはいえ、サーキットでは痛快極まりない。
加えて、公道での乗り心地も間違いないはず。今回は試す機会がなかったが、多くの上級サルーンより優れた720Sのしなやかさは、失われていないと予想できる。
チタン製ロールケージを追加しなければ、荷室容量も実用的な水準。運転席からの視界に優れ、遠く離れたサーキットまで750Sで自走することも余裕だろう。万能なスーパーカーだといっていい。
フェラーリは、V6エンジンのプラグイン・ハイブリッドで、電動化への見事な1歩を踏み出した。その296 GTBは、現代的で印象的なスタイリングも魅力だ。同時に、ハイブリッドのアルトゥーラの方が、日常的な充足感が高いことも事実だろう。
とはいえ、現実環境での圧倒的な速さと、毎日でも乗れる親しみやすさ、地球外のマシンと思えそうな才腕を、750Sは併せ持つ。マクラーレンの後継モデルのハードルが、更に高くなったことは間違いない。
◯:軽量な車重 研ぎ澄まされた操縦性と胸のすくような動力性能 グランドツアラーとして乗れる快適性
△:エキサイティングながら、華には欠けるV8エンジン 大幅に進化したとはいえないスタイリング
マクラーレン750S(欧州仕様)のスペック
英国価格:24万4815ポンド(約4529万円)
全長:4569mm
全幅:1930mm
全高:1196mm
最高速度:331km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:276g/km
車両重量:1389kg
パワートレイン:V型8気筒3994cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:750ps/7500rpm
最大トルク:81.4kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
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