1月25日~28日にかけて行われた、2024年WRC世界ラリー選手権開幕戦となる『ラリー・モンテカルロ』は、今シーズンより新たに導入されたポイントシステムに則って行われた最初の大会となった。
これまでのWRCでは、日曜日終了時点での総合順位に準ずるポイント(25-18-15-12-10-8-6-4-2-1pt)と、最終SSのパワーステージ上位5名へのボーナスポイント(5-4-3-2-1pt)を足したポイントが、ドライバーとコドライバー、マニュファクチャラーに付与されていた。
勝田貴元のWRC開幕戦、スタックの影にあったマシン不調の伏線。鬼門のコーナーは「レッキと状況が異なっていた」
2024年から新たに導入されたポイントシステムでは、土曜日までの総合順位(18-15-13-10-8-6-4-3-2-1pt)と日曜日のみの総合順位(7-6-5-4-3-2-1pt)の通称『スーパーサンデー』で、別々にポイントの付与数が決まることになった。パワーステージでのボーナスポイントについては変更されていない。
新導入となったポイントシステムにおいて疑問視されていたのは、総合優勝のドライバーが最大得点を得られないパターンが生まれてしまうという点だ。
イギリスのメディアであるAUTOSPORTの取材に対し、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のドライバーで8度のWRC王者でもあるセバスチャン・オジエは「理にかなっていないと思う」と語り、またアメリカのメディアであるDirt Fishの公式Youtubeでは、同チームのエルフィン・エバンスもインタビューに「勝利の価値を下げてしまっている」と答えるなど、選手間でも波紋が広がっている。
この点について勝田貴元も、ラリーというレースの醍醐味と逸れているのではないか、と疑問を感じたことをレース後のメディア会見で語っている。
「このポイントシステムでは、日曜日を終えて総合優勝を挙げられたとしても、ポイントの組み合わせによっては、2位の人よりもポイントを取ることができないという状況が生まれてしまいます」
「僕にとってラリーというレースは、短距離走ではありませんし、最後までちゃんと車を運ぶために走っているところが醍醐味だと思っています」
「そのうえで一番速かった人こそが、より多くのポイントを獲得するべきなのではないかとは思います。その点にはすこし、『ん?』という感じがして。文句を述べるわけではありませんが、何か他にやり方があるのではないかなとも思います」
自身の想いを交えながらも困惑しているとの意見を述べた勝田だが、今回の変更自体にはポジティブな点もあったと続ける。
「ですが、こういった挑戦をやらないと、今までとは何も変わらないですからね。これまでは、最後のパワーステージのためにタイヤを温存した走りをしたりしていましたが、そういった状況も減るのではないかと思います」と、見てるファンにとって良いきっかけになるのではと語る。
また今大会で勝田は、SS3にてアイスバーンによってスタックした影響で、金曜日の時点で5分以上のタイムロスという大きな痛手を負っていた。勝田自身にもこのポイントシステムにメンタル面において助けられていた。
その時も、「パワーステージ以外にも日曜日にポイントを獲得するチャンスがあるというのは、モチベ―ションとしてポジティブでした」と、勝田自身も新システムに救われたひとりであったことを明かした。
実際に勝田は、土曜日までの順位(7位)で4点、日曜日の順位(6位)で2点を加算し、そこにパワーステージの3番手タイムによる3点することで、計9点を獲得。ラリーの総合順位は7位となった勝田だが、ポイントランキングでは今大会でひとつ上の総合6位となったアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)を3ポイント上回っている。
また、勝田のチームメイトであるエバンスも、土曜日にはマシントラブルからペースを落としてしまったが、日曜日には勢いを戻し、スーパーサンデーではオジエを上回る2位となっており、日曜日の争いに覇気を取り戻すという点では効き目があったとも言える。
勝田も良い点と悪い点を感じたという新たなポイントシステム。物議を醸し出している中で、チャンピオン争い、そしてポイントランキング争いが佳境に入っていくシーズンの後半に向けて、果たしてこの新システムがどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。
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みんなのコメント
スタートからゴールまで走った車の中で最短時間を競うのが本筋。
最近は視聴者数稼ぎのため、F1やモトGPのスプリントレースの導入や、複雑なポイントシステムとか、リバースグリッドの検討とか、誰かさんの銭稼ぎの発想がモータースポーツの本質からズレすぎてる。