元F1ドライバーが多数参戦する南米屈指のツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルの第9戦ヴェロチッタが9月22~23日に開催され、週末2ヒートともに前年度2017年ウイナーがふたたび勝利を飾り、選手権リーダーの王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC)が連続の2位表彰台を獲得。レース2の3位表彰台にはルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)が入った。
これから夏を迎える南半球、ブラジル・サンパウロ北部に位置するヴェロチッタのトラックは、気温33度、路面温度62度という猛暑での1戦となった。
SCB第8戦:ルーカス・ディ・グラッシ、強豪シムドを抑えて今季3勝目をマーク
その予選セッションで最速タイムを記録し、レース1のポールポジションを獲得したのは2015年シリーズチャンピオンのマルコス・ゴメス(シムド・シボレー・レーシング)で、2番手にはチームメイトであり、この第9戦でシリーズ参戦100戦目を迎えたフェリペ・フラーガ(シムド・シボレー・レーシング)がつけ、強豪シムドがフロントロウを独占した。
スタートではゴメスが首位を堅持した一方、フラーガはセカンドロウ3番手から好ダッシュを決めたガブリエル・カサグランデ(ボーゲル・モータースポーツ)にパスされ3番手に後退。そのまま序盤は耐える展開となる。
レースが動いたのは27周レースの7周目で、首位を行くゴメスのマシンに対しレースコントロールから警告が出され、リヤのブレーキライトが作動していないことが判明。レギュレーションでは「完全なる固定と作動」が義務付けられているため、シムド・シボレー・レーシングはレースリーダーをすぐにピットへと呼び寄せ修復を試みるが、ゴメスはここでマシンを降りレースからのリタイアを決断。レース2からの復帰を目指す無念の結末となった。
12周目には中団でバトルを展開していたルーカス・ディ・グラッシ(HEROモータースポーツ)がフリオ・カンポスをかわして6番手に浮上。同じラップでは首位のカサグランデと2番手フラーガがテール・トゥ・ノーズの接近バトルになり、そのままマシンを擦り付けるようにピットレーンへとなだれ込む。
ここが勝負の分かれ目となり、完璧なピット作業でコースへと復帰したフラーガに対し、カサグランデはピットアウト直後に右リヤホイールがルーズになるトラブルが発生し万事休す。
全車がピット作業を終えた段階で、WEC世界耐久選手権レギュラーでもあるダニエル・セラと、4度のSCBタイトル獲得経験を持つ“帝王”カカ・ブエノ(シムド・シボレー・レーシング)の2番手争いが激化し、その間に首位フラーガは盤石のリードを構築。
終盤にはラファエル鈴木(バーダル・ホットカー)のマシンがコース上にストップしたことを受け、マシン回収のセーフティカー(SC)が導入されるも、そのままレース周回満了となりイエローフラッグ下でチェッカー。フラーガが参戦100戦目を祝う今季3勝目を飾った。
続くレース2は先のレースでのトップ10リバースグリッドとなり、レース1で10位となったフェリペ・ラピーニャ(カバレロ・コントゥフレックス)がリバースポール発進の予定も、出走を取りやめたことで代わってシェルVパワー・レーシングの2台、元F1ドライバーのリカルド・ゾンタ、そしてアッティラ・アブレウが揃って先頭へ。
しかし直後には4番グリッドから好発進を見せたネルソン・ピケJr.(フルタイム・バッサーニ)がアブレウをパスしてゾンタとの間に割って入ると、オープニングラップの全周にわたって攻防を繰り広げた2台は、アブレウがふたたびポジションを取り戻し、シェルVパワーのワン・ツー体制を維持してコントロールラインを通過していく。
続く4周目には4番手から前方のピケJr.を狙っていたディ・グラッシがクリーンなオーバーテイクで前に出て3番手へ。そして7周目には1コーナーでコントロールを失った女性ドライバー、ビア・フィゲレイド(イピランガ・レーシング)のマシンが、前方でターンインを開始していたカサグランデを巻き込んでクラッシュするアクシデントが発生し、このヒート最初のSCが導入される。
リスタートでもリードを維持したゾンタに対し、2番手アブレウは背後からのプレッシャーを受けることになり、ディ・グラッシ、ピケJr.、そしてセラの3台から執拗なアタックを受ける。すると12周目にはパック後方から王者セラが仕掛け、SNSファン投票で上位6名に送られる『Fun Push』と呼ばれるオーバーテイクボタンを使用し、ピケJr.を仕留めて4番手に上がってくる。
その動きを見ながらトップバッターでピットへ飛び込んだ首位のゾンタだったが、2周後に後を追ったチームメイトが逆転のアンダーカットに成功し、アブレウがゾンタの前でコースへと復帰。一方3番手を走行中だったディ・グラッシは、ピットレーンでこちらもF1経験者のアントニオ・ピッツォニア(プラティ-ドナドッツィ・レーシング)と接触し、大幅なタイムロスを喫してしまう。
終盤に向け2番手争いが激化する様相を呈したレースは、ゾンタの背後から王者セラ、そしてF1最多出走記録を保持する“鉄人”バリチェロが迫り、三つどもえのバトルに発展する。そこで最初に仕掛けたのは王者セラで、最後の『Fun Push』を使用して1コーナーのアウトからゾンタに並びかけるも、前に出ることはならず。
そのままファイナルラップに突入した3台は、1コーナーでふたたびサイド・バイ・サイドのバトルになると、セラ&バリチェロのチームプレーともいうべきコンビネーションで後続2台がそろってオーバーテイクに成功し、シェルVパワーは最後の最後でワン・ツー体制が崩壊。
アヴレウが前年度に続いてヴェロチッタのレース2優勝を挙げ、王者セラは無得点に終わった前ラウンドを挽回する週末2ヒート連続2位表彰台を確保。そして2014年シリーズ王者の元跳ね馬ドライバー、バリチェロが久々の表彰台を確保することとなった。
続くSCB第10戦は今季2度目の開催となるロンドリーナで10月20~21日の週末に開催。ブラジル南部パラナ州北部にある、アウトドローモ・インテルナシオナル・アイルトン・セナでの勝負となる。
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