初回 通常のヤリスと違うGRヤリス
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
【画像】トヨタGRヤリス 赤・白・黒 じっくり観察 全46枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
以前から言及してきた。パフォーマンスモデルは、よりコンパクトで控えめなパワーの方が良いと。わたしたちと意見が合うのは、トヨタだけなのだろうか。
トヨタGT86は2010年代の中で、突出して内容の良いスポーツカーだったと思う。2020年代も、GRヤリスで順調なスタートを切っている。世界ラリー選手権へ参戦するトヨタを、記念するかのようなモデルだ。
しかもラリーに必要だったわけではなく、トヨタ自らが望んで生み出した、というところに意味がある。このGRヤリスは、通常のヤリスと大きく異る。中にはカローラなどと間違える人もいるようだが。
シャシーは、トヨタのGA-BとGA-Cと呼ばれるプラットフォームのハイブリッド構造。サスペンションはリアがダブルウイッシュボーン式で、フロントがマクファーソンストラット式。四輪駆動システムには、活発な走りに対応できる強度が与えられている。
ボディパネルは、軽量なアルミニウムやコンポジット素材が用いられている。ルーフはカーボンファイバー製。ここだけでも、興味を惹かれる人がいるだろう。
通常のヤリスと同じ部品なのは、ライトとルーフアンテナ、ドアミラーだけだという。初代フォード・フォーカスRSやランチア・デルタ・インテグラーレのように、専用設計の特別モデルと考えてもいい。
日本車で例えるなら、スバル・インプレッサWRXや、三菱ランサー・エボリューションの現代版といったところか。
選べるオプションは多くない
英国編集部にやって来たGRヤリスのボディカラーは、プレシャス・ブラック。きれいに保つのは難しいが、程よく好戦的に見える。英国では585ポンド(8万2000円)する、オプションカラーだ。
塗装の選択肢は4色しかない。ソリッドホワイトは追加料金無し。パールレッドとパールホワイトは、880ポンド(12万3000円)が請求される。
オプションの選択肢も多くない。標準モデルの英国価格は3万ポンド(420万円)を切るが、オプション・パッケージを選択する人は多いだろう。
英国で選べる1つ、コンビニエンス・パッケージは2180ポンド(30万5000円)。ナビにパーキングセンサー、ブラインド・スポットモニター、ヘッドアップ・ディスプレイ、JBL製サウンドシステムが付いてくる。
もう一方の選択肢、サーキット・パッケージは3500ポンド(49万円)。試乗車にも装備されるが、かなりレーシーな内容となる。
ミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを巻く鋳造18インチ・アルミホイールに、トルセン式のリミテッドスリップ・デフが前後に付く。サスペンション・スプリングのレートは上げられ、ダンパーやロールバーも引き締まる。
ちなみに、英国トヨタが用意するデモ車両には、すべてサーキット・パッケージが備わっている。素のGRヤリスへ試乗した経験はまだない。
アルミホイール・プロテクターとセーフティ・キットが、追加できる唯一のオプション。ヒーター内臓のシートやステアリングホイールは、GRヤリスでは装備できない。
トヨタらしい気遣い 不満の少ない運転姿勢
筆者もシートヒーターの類は付いていた方がうれしいが、対処はできている。寒い日の朝でも、GRヤリスはすぐに車内を暖めてくれる。ちゃんとトヨタだ。
エンジンが温まるまで急加速しないようにも教えてくれるし、ステアリングホイールに付いたボタンを長押しすれば、始動の度にオンになるレーンキープ・アシストをオフにできる。この辺りの気遣いもトヨタらしい。
車内のレイアウトは、よく考えられてある。ダッシュボード中央のタッチモニターは、スマートフォンとのミラーリング機能にも対応。標準のシートは、サポート性に優れる。
ドライビング・ポジションで気になったところは、リアミラー。取り付け位置が低くドライバーに近いから、カーブが続くような道では特に死角が生じやすいと感じた。
同僚の中には、アクセルとブレーキのペダルが離れていて、ヒール&トウがしにくいと感じる人もいるようだ。筆者は、それほど難しいとは思わなかった。
昔ながらの話題ができるなんて、楽しいクルマだ。GRヤリスは、ドライバーとの関与が深いということを示す内容でもある。
トランスミッションはキチリと決まる6速MT。ハンドブレーキは、従来的なドライバー横のレバータイプ。走行中にサイドブレーキを引くと、リア・ハーフシャフトの接続が解かれる。しかも、GRヤリスはかなりエネルギッシュ。
2021年のクルマとしては、少し浮かれた内容にも思える。1995年に戻ったようだ。
速く楽しく、控えめでコンパクト
全長は3995mmで全幅は1805mmとコンパクト。パワフル過ぎないという点も、評価している。それでも1.6Lという小さなエンジンから、260psの最高出力を生み出す。ターボのブーストが効いていることも、良くわかる。
メカニズムの精度や感触の濃さは、ホンダ・シビック・タイプRほどはないかもしれない。しかし、機敏な身のこなしと操縦性の良さは、近年では珍しいほど高い。
少し先にあるカーブが連続する道でも、日常的に走る道でも、ドライバーをホットにしてくれるクルマであることは間違いないだろう。一部のスポーツカーのように、ノーズを路面にこする心配は必要ない。
速く楽しく、控えめでコンパクト。90年代に触発されたようなトヨタGRヤリスだが、2021年においても、とても意味を持つものだと感じている。
セカンドオピニオン
すでに多くの同僚が、長期テストのGRヤリスを借りて乗りたいと列をなしている。わたしも早速、希望の日程を申し出た。11月のワインディングと同じくらい、夏場のサーキット走行も楽しめるのか、今から気になっている。
GRヤリスも、完璧ではないだろう。だが素晴らしいクルマによって、多くの発見が得られることは、うれしいことだと思う。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)
テストデータ
テスト車について
モデル名:トヨタGRヤリス・サーキット・パッケージ(英国仕様)
新車価格:2万9995ポンド(419万円)
テスト車の価格:3万4080ポンド(477万円)
オプション装備
サーキット・パッケージ:3500ポンド(49万円)
プレシャス・ブラック・ペイント:585ポンド(8万2000円)
テストの記録
燃費:12.2km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし
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みんなのコメント
ホンダファンだったが、乗り換える予定。