日本で初めてのフォーミュラEのレースが、今年の3月30日に東京ビッグサイト周辺で行なわれる。東京ePrixである。
フォーミュラEは2014年の9月に、中国の北京で初めてのレースが開催された。そして先日メキシコシティで開幕した今季は、通算10シーズン目ということになる。
■フォーミュラEのドッズCEOが語る、3月30日初開催東京ePrixの魅力「マシンに合ったコースができた! 我々は日本でどうしてもレースがしたいのだ」
当初はF3レベルと言われるほどマシンのスピードは低く抑えられていたが、今では第三世代のマシンとなり、パワーも向上。かなりスピードも増した。そしてこの間、様々な自動車メーカーが参入し盛り上がりを見せたが、ここ数年の間にメルセデスやアウディなどが撤退。彼らはF1へと活動を集中させることを選んだ。
フォーミュラEは、完全電動フォーミュラカーによるレースである。当初世界中が自動車のEV化を推進したことで、フォーミュラEは盛り上がりを見せた。しかし最近では、電動化への流れを緩和させ、エンジン車が存続する方向に動きを見せつつある。ゆえに、F1に参戦するメーカーが増えようとしている。
現時点でのフォーミュラEの価値はどんなところにあるのか? 東京ePrixのPRイベントのために来日したジェフ・ドッズ氏に尋ねると、彼は次のように説明した。
「いくつかの国の政府は、完全にEVに移行することを決めた。しかし、それは不可能だという声も確かに存在する」
そうドッズCEOは語った。
「ただ、我々がこのレースを始めた10年前には、世界でのEVの販売台数は30万台に過ぎなかった。しかし今では、年間1100万台のEVが売れている。毎年約20%ずつ伸びているんだ」
「各国の政府がEVの販売にもっと力を入れれば、必要なレベルのインフラも整備されると思う。そうでなければ、人々に不満や心配が生まれてしまうことになるだろう」
「今年は初めて上海でレースをするが、中国には今では35社ものEVメーカーが存在している。そしてEVを充電するためのインフラも整いつつある。イギリスの政府も、EVのインフラ整備にもっと投資すると発言しているんだ」
「それを踏まえると、フォーミュラEにはふたつの価値があると、私は考えている。ひとつは、使うコストが下がるEVを普及させることができるということ、そしてもうひとつは、地球に優しいクルマとアピールできるということだ」
ただ前述のように、近年の自動車メーカーの動きを見ると、フォーミュラEからF1へという動きがあるのも事実だ。F1との違いをどう生み出していくのか? そう尋ねると、ドッズCEOは次のように説明した。
「私はF1が大好きだよ」
「フォーミュラEは最初の頃、市街地を中心にレースをしてきた。一方F1は、一部を除けばサーキットでレースをするモノだった。そしてもちろん、そもそも彼らはエンジン車で、我々はEVだった」
「10年経った今、F1は多くのレースを市街地で行なうようになった。我々も通常のサーキットでのレースを増やしている。メキシコシティはもちろん、イタリアではミサノで、中国では上海(国際サーキット)で今年のレースを開催する。そして我々は完全なEVのままだが、F1は完全にハイブリッドになった」
「だから、少しずつ近づいてきていると思うんだ」
F1とフォーミュラEは、いずれひとつになるのではないか? そんな声も聞こえる。ドッズCEOは、現時点ではどうなるか分からないとしながらも、それぞれが独自に歩んでいける可能性が高いと考えているという。
「F1とフォーミュラEは両立できるのか? それともいずれひとつになるのかとよく聞かれる。その答えは”分からない”ということだ」
ドッズCEOはそう語る。
「モータースポーツには多くのファンがいる。だから、ふたつのシリーズが存在しても問題ないと思う。ファン層も違うしね。F1のファン層は少し年齢が上で、男性が多い。一方でフォーミュラEは、年齢層が若く、しかも男女の数の差がそれほど大きくないんだ」
「将来的にはひとつになる日が来るのかもしれないが、それは分からない。でも、両立することは可能だと思う」
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