8月28日、鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドは、8月31日(土)~9月1日(日)に予定されていたスーパーGT第5戦『SUZUKA GT 350km RACE』が台風10号の影響により延期されると発表したが、これにより第5戦は12月7日(土)~8日(日)にシーズン最後のレースとして開催されることになった。延期は残念なところだが、逆に今季後半戦は例年とは異なる楽しみが増えるかもしれない。
晩夏の一戦として、例年8月下旬に行われてきた鈴鹿サーキットでのスーパーGT。「夏休み最後の家族でのイベントにしたかった」「推しドライバーに会いたかった」「スーパーGTをシンプルに楽しみたかった」「レースアンバサダーの夏コスが観たかった」「赤福氷が食べたかった」等々、延期になってしまったことで残念な気持ちのファンも多いだろうが、ここはポジティブに切り替えて、例年にないスケジュールとなったスーパーGT後半戦で起こりうることを予想してみよう。
延期となったスーパーGT第5戦鈴鹿のチケットは払い戻し。レースにおける興行成立と不成立の違いは
まず、今回の延期にともない、後半戦のスケジュールは下記のようになる。
9月21~22日 第6戦スポーツランドSUGO
10月19~20日 第7戦オートポリス
11月02~03日 第8戦モビリティリゾートもてぎ
12月07~08日 第5戦鈴鹿サーキット
第5戦が“延期”になったことで、最終戦が第5戦という変則的な形となるが、そこで気になるのがサクセスウエイトの扱いだ。スーパーGTのスポーティングレギュレーションでは、第23条としてサクセスウエイトについての記載があるが、獲得したシリーズ得点の累積1ポイントを2kgに換算した重量を積むのが『参戦6戦目まで』、累積1ポイントを1kgに換算した重量となるのが『参戦7戦目まで』、参戦8戦目はウエイトはなしとされている。つまり、『目』という表記がついていることから、今季の場合はフルシーズンで参戦している場合、サクセスウエイトは下記となる。
第6戦スポーツランドSUGO:1ポイント2kg
第7戦オートポリス:1ポイント2kg(例年の場合1ポイント1kg)
第8戦モビリティリゾートもてぎ:1ポイント1kg(例年の場合サクセスウエイトなし)
第5戦鈴鹿サーキット:サクセスウエイトなし
■12月の鈴鹿の予選は驚速タイム間違いなし!?
この変化により、第7戦オートポリス、第8戦モビリティリゾートもてぎは例年にないウエイトを積んだ状態で臨むことになる。オートポリスはタイヤに、もてぎはブレーキに厳しいコースであり、どちらもウエイトが多いまま臨むランキング上位のチームにとっては厳しいレースになるかもしれない。
そして12月の第5戦鈴鹿は、シリーズの最終戦として行われることになる。例年11月のもてぎでも冷え込みが厳しくなり始めるシーズンだが、12月の鈴鹿はダウンジャケットが手放せない時季だ。スーパーフォーミュラのオフシーズンの合同テストが行われる季節だが、コースサイドにいると手がかじかんでくる頃でもある。
そんな時季の鈴鹿となれば、気温の低下によりエンジンパワーが出ることから、あっと驚くようなタイムが出る可能性が高い。特に今回はノーウエイトで、しかも後半戦からは予選Q2でのニュータイヤの使用が可能となった。いつも3月に行われているGT500のメーカーテストではタイヤウォーマーを使っているとはいえ、1分42秒台も出ている。第5戦の予選では驚異的なタイムが出る条件は整っている。
これまでの鈴鹿のコースレコードは、GT500は2022年第3戦でWedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資が記録した1分44秒112。GT300に至っては2018年にK-tunes RC F GT3をドライブした中山雄一が記録した1分55秒531から破られていない。天候が良いこと、またタイヤがきちんとウォームアップされることが条件だが、GT500ならQ2で1分42秒台以上も狙えるのではないだろうか。いずれにしろ、12月の第5戦は公式予選から見逃せないだろう。
また、12月に開催時期が変更されたことで、レースフォーマットも変化があることも推測できる。本来のスケジュールの際にはレース後には花火も打ち上げられる予定だったが、12月8日となれば16時43分には日没となる。またシリーズ最終戦になることで、フィナーレイベントももてぎから鈴鹿に移るはずだ。
となれば、レース距離はもともとの予定だった350kmから300kmに短縮される可能性も高いだろう。スーパーGTは近年レース距離が伸びる傾向にあるが、300kmで、かつアベレージスピードが高い鈴鹿でのレースはどんなものになるか予想もつかない。またこれまで、GT500、GT300問わず最終戦でもてぎを得意としていたチームにとっては、最終戦が鈴鹿に移ったことによる影響もあるかもしれない。
延期になったことで日程重複が出たりと参加する側にとっては難しいところもあるが、予想もつかないレースはファンにとっては嬉しいところ。ちなみに、鈴鹿が最終戦の舞台になるのはなんと2005年以来で、この点でも目新しさがある。前向きにシリーズ後半戦、そして第5戦を楽しみにしたい。
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