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運命を分けた赤旗後の3分間とタイトル脱落。食い違う野尻智紀と太田格之進、決勝では異次元の速さ

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運命を分けた赤旗後の3分間とタイトル脱落。食い違う野尻智紀と太田格之進、決勝では異次元の速さ

 ランキング3位で臨んだスーパーフォーミュラJAFGP鈴鹿の第8戦、野尻智紀(TEAM MUGEN)は決勝で5位に終わり、今シーズンのタイトル争い脱落が決定した。この第8戦の野尻は予選Q1B組でまさかの7番手でQ1落ちとなり、この予選順位が大きく響くことになったが、このQ1のウォームアップについて、レース後のカコミ会見で野尻が激昂する姿を見せた。その言葉を受けて太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)にも状況を聞いた。

「モラルもマナーも、スポーツマンシップもリスペクトもへったくれも何もない」と、野尻が激昂したのは、予選Q1A組のウォームアップについてだ。木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)がコースオフして赤旗となり、残り3分でセッションが再開。B組の11台は全車、アウトラップのウォームアップから計測1周のみという一発勝負の状況になった。

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 そこで、この組の優勝候補の3台のタイヤ選択は別れた。

・野尻智紀(TEAM MUGEN):スクラブタイヤ(アウトインしたのみの皮剥きタイヤ)
・太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING):ユーズドタイヤ
・坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S):前スクラブタイヤ、後ニュータイヤ
※編集部調べ

 3分間のセッションが始まり、野尻が先頭、続いて太田格之進の順でコースイン。しかし、野尻はスクラブタイヤで冷えた状態のためペースが上げられず、後ろの格之進はユーズドでペースが良いため、逆バンクで格之進が野尻をパスして先頭となる。ここから、後ろの野尻にとっては問題が発生した。

「僕らとしてはセクター3までアタックしていての赤旗だったので、そのタイヤでもう一度アタックするという選択はほぼほぼなくて、冷えたスクラブタイヤを使わざるを得ない状況でした」と野尻。

「コースインは(自分が)先頭で、格之進はある程度温まったタイヤだったのかな。すごくペースが良かったから。そしてその後、昨年のリアム(ローソン)のように、(格之進が)前に出て、通せんぼみたいに抑えてきたと」と野尻。

「そこでデグナーくらいで切り替えて、彼とのスペースを空けるという方に切り替えて走りました。でも、残念ながらヘアピンを立ち上がって見えた姿は、昨年のリアムと同じように待ち伏せしているという姿だった。これがルール上、ありなんだったらいいのかもしれないですけど、コース上のリスペクトってなんなんだろうと。非常に疑問に思います」と、野尻の興奮は収まらない。

 一方の格之進は、意図的にブロックしたという認識はないようで、メディアからの質問で、初めて野尻が激昂していることを知って、驚いていた。

「別に僕としては無理してブロックしているわけではなかったです。ただ、アウトラップで僕は温まっているタイヤで、向こうが冷えているタイヤで、僕が逆バンクで前に出て、そこから僕がコントロールするというのは普通のことなのかなと。たとえば、去年のローソンみたいに近い距離でウィービングしているのなら、それはペナルティの対象になるというのは僕は理解していますし、それをするつもりはなかったです」と格之進。

「僕としては、タイヤがもう温まっているので、アウトラップでそんなにプッシュする必要はないんですよ。それでもどのくらい温まっているのか確認する必要があるので、コースの半分くらいまではそこそこのペースで行って、それ以上プッシュしたらタイヤのおいしいところがなくなって次の周に響くので、そこからは抜かれない程度に走るくらいの感じでした」

「(野尻の)真意がわからないのですけど、僕は無理にブロックしたわけじゃないですし、去年のローソンみたいにブロックしたらペナルティになるじゃないですか。ルール的には問題ないと思っています」と、続ける。

 これは完全な推測だが、野尻にとっては同じくタイトルを争う牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をサポートするべく、牧野のチームメイトである格之進が妨害してきた、と過敏に感じてしまった部分があったのかもしれない。

 いずれにしても、野尻は予選14番手からオーバーテイクを連発する走りで5番手まで順位を上げる圧倒的なパフォーマンスを見せ、格之進はポール・トゥ・ウインで圧倒的な速さを見せた。

「幸いというか、決勝でも調子は良かったけど、やっぱり憤りの気持ちは大きいし、明日のレースにぶつけたい。ぶつけることしかできないこのもどかしさもすごくあるし、ちょっと無線では語気が強めというか、だいぶ言葉が悪いところも多かったかなと思うんですけど(苦笑)、まあこれもひとつ、レーシングドライバーらしくていいかなというふうに自分に言い訳しています」と話す野尻。この結果で今季のチャンピオンの可能性は消えたが、それよりもこの日のレース内容についての方が、野尻にとっては大きかったようだ。

 第8戦では飛び抜けて速かった野尻と格之進の2台。どちらが本当に速いのか、翌日の第9戦でその決着がつくことになる。

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