10月2~3日、DTMドイツ・ツーリングカー選手権第7戦がドイツのホッケンハイムで行われ、土曜日のレース1ではケルビン・ファン・デル・リンデ(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)が、日曜日のレース2ではルーカス・アウアー(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)が勝利を挙げた。
1ラウンドを残すタイトル争いでは、今回のレース1優勝によりケルビン・ファン・デル・リンデが一度はトップタイに並んだものの、明暗分かれたレース2の結果、リアム・ローソン(レッドブル・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)が再びリードを奪っている。
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本来のスケジュールでは例年どおり最終戦として予定されていたホッケンハイム。7月上旬のノリスリンク戦が10月9~10日開催へと延期されたことで、タイトル争いの情勢を決する最終ラウンド前の一戦として争われることとなった。
前戦アッセンでは、連続表彰台を獲得したローソンがポイント合計を175とし、ケルビンを逆転して首位に。ランキング2位にマルコ・ウィットマン(165点。ワーケンホルスト・モータースポーツ/BMW M6 GT3)、3位にケルビン(160点)、4位にマキシミリアン・ゲーツ(155点。メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)という状態で、終盤2ラウンドに突入した。
■ロッケンフェラーのレイト・ピット戦略が当たる
ホッケンハイムの土曜日のレース1予選では、タイトルを争うケルビンが2番手にコンマ4秒差をつけポールポジション(PP)を獲得。アウアーがフロントロウに並び、ローソンは3番手。以下、ダニエル・ジュンカデラ(メルセデスAMG・チーム・グループエム・レーシング/メルセデスAMG GT3)、アルジュン・マイニ(メルセデスAMG・チーム・ゲットスピード/メルセデスAMG GT3)、ゲーツ、ヴァンサン・アブリル(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)、ニコ・ミューラー(チーム・ロズベルグ/アウディR8 LMS)と続くトップ8のグリッドとなった。
通常どおり55分+1周で争われた決勝では、1周目から激しいポジション争いが繰り広げられた。ローソン、ジュンカデラ、ゲーツによる軽い接触を伴う3番手争いの隙をつき4番手に浮上していたマイニは、ヘアピン進入で一気に2番手浮上を狙うも、アウアーの右側面にハードヒット。大破したマイニはリタイアとなり、アウアーはポジションを大きく下げた。
これにより2番手はゲーツ、3番手にローソン、4番手にフィリップ・エリス(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)、5番手ジュンカデラというオーダーとなり、セーフティカー(SC)が導入される。
リスタート後、ゲーツ、ローソン、エリスの3人が、レース中に1回義務付けとなるピットインとタイヤ交換を敢行。トップを走るケルビンに対しアンダーカットを仕掛ける形を採る。しかし翌周にはケルビンもピットに飛び込み、首位を守った。
ここ数戦と同様、マイク・ロッケンフェラー(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)らがピットインを引っ張るなか、実質の上位争いではピットを済ませたアレックス・アルボン(アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)が躍動。ローソン、ゲーツを相次いでパスし、ピット作業を終えたマシンの中では2番手へと浮上する。
残り12分、ついに暫定トップのロッケンフェラーがピットを済ませると、フレッシュなタイヤで接戦となっていた上位争いへと加わり、3番手を争うローソンとゲーツの背後にまで接近。残り2周でゲーツをパスすると、ファイナルラップにはローソンにも襲いかかり、3位奪取に成功した。
レース1優勝はケルビン、2位アルボン、3位ロッケンフェラーとなり、以下はローソン、ゲーツ、ジュンカデラと続くトップ6となった。
「これはとても重要な勝利だった」と今季4勝目を挙げたケルビン。「今回は久々に両親もレースに来ていたんだ。彼らの前で勝利を収めることができて本当に嬉しいよ」。
オープニングラップの接触のあおりを受けたウィットマンがリタイア・ノーポイントに終わったことで、この時点のランキングではケルビンとローソンが188ポイントでトップに並ぶこととなった。
■レース2では1ポイントに終わったケルビン・ファン・デル・リンデ
明けて日曜、レース2の予選では僅差ながらケルビンが連続PPを確保。2番手に並んだのは、またしてもアウアーで、以下マイニ、ローソン、ジュンカデラ、アルボン、ロッケンフェラー、ゲーツと続くトップ8に。ただし、マイニは前日の接触のペナルティのため5グリッド降格の裁定を受けている。ウィットマンは10番手から決勝を迎えた。
スタートでは2コーナー進入でアウアーがトップを奪う。さらにヘアピンではローソンもケルビンをパスし、2番手へと浮上。その後方ではロッケンフェラーがジュンカデラを抜いて4番手にポジションを上げた。ヘアピン立ち上がりではウィットマンとアルボンに接触があり、アルボンは順位を落とすことに。
1周目を終え、アウアー、ケルビン、ローソン、ロッケンフェラー、ジュンカデラ、マイニ、ゲーツ、ウィットマンというトップ8のオーダーに。2周目には2番手争いが激化し、ケルビンがローソンのリヤに追突するシーンも見られた。だが、ローソンはポジションを譲らない。
この周、シェルドン・ファン・デル・リンデ(ローヴェ・レーシング/BMW M6 GT3)は右リヤから白煙を上げてピットに入り、リタイアとなった。ゲーツは2台のメルセデスを抜き、5番手で走行を重ねる。
5周を終えたところで、ゲーツ、アルボンらが早めのピットへ。翌周、ローソンがピットへ。順当にゲーツの前で復帰する。ここでケルビンには接触のため5秒のタイムペナルティが課せられることがアナウンスされた。
次の周、トップ2台がピットへ。アウアーは易々とポジションをキープする一方、ピットアウトしたケルビンはタイトル争いのライバルであるローソンとゲーツに先行を許してしまった。
その後はゲーツとケルビンは、実質の3番手を争う接近戦を長時間にわたって展開。やがてそこにジュンカデラが追いつき、ケルビンをパス。同じメルセデス陣営として、ゲーツの護衛につく形となった。
さらにここで、最初のピットストップで5秒ペナルティを消化しなかったとして、ケルビンには2度目となる5秒ペナルティの裁定が下ってしまう。ケルビンはコース上ではエリスにもかわされてしまった。
首位アウアーは独走状態のままトップチェッカー。同じくひとり旅となったローソンが2位、3位にゲーツが入った。4位には最終ラップに順位を上げたエリス、5位にジュンカデラ、6位アルボンというトップ6でレース2は終了。ペナルティにより計10秒のタイム加算を受けたケルビンは10位という最終リザルトとなった。
「まったくもって激しいレースだったね!」と2位に入り、再び単独でランキング首位となったローソン。
「ケルビンが僕のクルマのリヤにぶつかった後、排気管が曲がってしまい、ボディワークには穴が開いてしまったんだ。僕はケルビンとは異なり、サクセスバラストはないという利点があった。だから、彼が苦労するであろうことは明らかだと分かっていた」
「今週末の結果には完全に満足している。ノリスリンクはどうなるか分からないけど、最善の準備をしたいと思う」
これでローソンは獲得ポイントを206まで伸ばした。ケルビンは192点でランキング2位、ゲーツは180点で3位、ホッケンハイムをノーポイントで終えたウィットマンは165点で4位に。DTMでは予選PPで3点、優勝で25点が獲得可能なため、残り1イベント2戦を残し、ウィットマンまでが理論上はタイトルの可能性を残している。
次戦、最終戦のノリスリンクは、ホッケンハイムから2周連続での開催となる。
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