現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 軽いフロントに後輪駆動 メルセデスAMG SL 43へ試乗 期待以上の2.0L直4ターボ

ここから本文です

軽いフロントに後輪駆動 メルセデスAMG SL 43へ試乗 期待以上の2.0L直4ターボ

掲載 11
軽いフロントに後輪駆動 メルセデスAMG SL 43へ試乗 期待以上の2.0L直4ターボ

期待以上に優れる2.0L直4のSL

メルセデスAMGを冠するSLでありながら、ボンネットを開くと2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンが姿を表す。かくして、筆者の期待以上に優れたモデルだった。

【画像】軽いフロントに後輪駆動 メルセデスAMG SL 43 競合クラスのコンバーチブルと比較 全133枚

メルセデス・ベンツは、この手のオープン・グランドツアラー作りに長けている。同社の短くない歴史を遡れば、1954年のW121型190 SLへ辿り着く。

ガルウイングドアが注目を集めたレーシングカー、W198型の300 SLは、専用開発のスペースフレーム・シャシーに最先端の燃料噴射6気筒エンジンを搭載し、非常に高価だった。そこで、ロードスター仕様の喜びを広めるため生み出されたのが、190 SLだ。

ベースとなったのは、W120型の180、通称ポントンと呼ばれる4ドアサルーン。スタイリングの特長はそのままに、ひと回り小さくリデザインされ、ボンネットには1.9Lの4気筒エンジンが載っていた。

最高出力は、当時としても目立った数字とはいえない106ps。それでも、現実的な価格で大ヒットといえる人気を博した。

W121型とW198型との差を鑑みれば、2023年にリリースされた4気筒版と多気筒版の見た目の違いは殆どない。マフラーカッターが台形ではなく円形になることと、若干穏やかなデザインのバンパーが与えられる程度だ。

それ以外は、4.0L V8エンジン版と同じといっていいだろう。ボンネットは長く、全体のフォルムはエレガント。大きなアルミホイールが、凛々しいスタンスを作っている。筆者の目には、カッコよく映る。

フロントが軽く好ましいドライビング体験

パワーにも不足はない。メルセデスAMG A 45の進化版となる、M139型4気筒ターボユニットを搭載し、最高出力は380psを発揮する。電圧48Vのマイルドハイブリッドを採用し、回転域を問わず力強さを感じられる。

SL 43のシステムで特徴となるのが、13psのスターター・ジェネレーターの他に、ターボチャージャー内に電気モーターが組み込まれていること。排気ガスの流量が少ない状態でもタービンを回転させ、空気を送り込み、鋭いアクセルレスポンスを叶えている。

加えて、V8エンジン版のSLでは四輪駆動が標準なのに対し、4気筒版は後輪駆動になることも特筆すべき点。フロントのドライブシャフトが備わらず、4気筒少ないエンジンと相まって、フロントエンドが軽く仕上がっている。

アルミホイールは1インチ小さく、タイヤのサイドウォールが増えている。好バランスな、ドライバーズカーになる要素は備わっている。実際、SL 55とSL 43を直接乗り比べてみると、後者の方が好ましいドライビング体験を味わえることが見えてくる。

駐車場から発進してすぐ、ステアリングレシオが若干スローになっていることへ気付くが、それでもロックトゥロックは約2回転しかない。むしろ反応は自然で、速度域が高まるとフロントタイヤとのコミュニケーションも取りやすい。

後輪操舵システムが備わらなくても、ボディ全体が軽く感じられる。コーナリングはシャープさを増し、1735kgという車重を感じさせない。フロントアクスルの安定性も高まっている。

4気筒エンジンの技術的な高みに感心

タイトコーナーの出口でパワーを一気にかけると、ラインが絞られていく様も爽快。幅が295もあるミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤはグリップ力が高く、簡単にはスライドしない。トヨタGR86のようには振る舞わないが、一体感を引き上げている。

乗り心地も、SL 55よりベター。1インチ小さいホイールのおかげだろう。

ただし、V8エンジンが恋しいことも事実。4.0LのM177型は、最高の内燃ユニットの1つだ。心を震わせるサウンドを響かせ、豊かなトルクをみなぎらせ、市街地や高速道路を流しているだけでもドライバーを満たす。

SL 43の長所、軽くなったフロントエンドを体感するには、ある程度の速度域で攻める必要がある。とはいえ、4気筒エンジンの技術的な高みにも感心せざるを得ない。

レスポンスは極めて鋭く、2.0Lという排気量から380psと48.8kg-mを引き出しているのだから。だが、V8エンジンのように記憶へ刻まれる濃密な印象は残さない。滑らかなサウンドも含めて。

9速ATには、低速域では若干のぎこちなさがある。コンフォート・モードを選ぶと、燃費を狙いすぎた変速特性になり、スポーツ・モードでは高回転域まで引っ張りすぎる。シフトパドルは、反応がやや遅い。

燃費は、優しく運転して9.9km/L。少し右足へ力を込めてしまうと、6.5km/L程度まで簡単に落ちる。

多気筒を選びたいのがクルマ好きの本音?

W121型190 SLのように、多気筒版と比べて大幅にお手頃というわけでもない。英国価格は、10万8165ポンド(約1958万円)からに設定された。装備は充実しており、完成度も高く、オプションを選ぶ必要性が低いとはいえ。

英国では、同等の予算でV8エンジンのレクサスLC 500を選べる。間もなく生産を終える、ジャガーFタイプも。

英国のように自由な土地でロードスターを探すなら、6気筒や8気筒エンジンを選びたいというのが、クルマ好きの本音だと思う。しかし、排気量に応じて税金がウンザリするほど高くなる国では、SL 43が大いに歓迎されるはず。

ちなみにSLのボディカラーで印象的だったのが、試乗車のサン・イエロー。モノトーン・カラーが多い昨今の道の景色を、明るく彩ってくれる。

メルセデスAMG SL 43 ツーリング(英国仕様)のスペック

英国価格:10万8165ポンド(約1958万円)
全長:4705mm
全幅:1915mm
全高:1353mm
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:207g/km
車両重量:1735kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:380ps/6750rpm
最大トルク:48.8kg-m/3250-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)

こんな記事も読まれています

電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
ベストカーWeb
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
AUTOSPORT web
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
AUTOSPORT web
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
motorsport.com 日本版
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
ベストカーWeb
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
AUTOSPORT web
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
AUTOSPORT web
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
AUTOSPORT web
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
motorsport.com 日本版
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
ベストカーWeb
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
Auto Messe Web
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
Auto Messe Web
アクシデントで途中終了に終わったSF第3戦。優勝の野尻智紀が安全対策に警鐘鳴らす「起こるべくして起きた印象。準備が足らなかったのでは」
アクシデントで途中終了に終わったSF第3戦。優勝の野尻智紀が安全対策に警鐘鳴らす「起こるべくして起きた印象。準備が足らなかったのでは」
motorsport.com 日本版
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO 予選
【正式結果】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO 予選
AUTOSPORT web

みんなのコメント

11件
  • 2023/8/30 15:15
    実家近くに引っ越して来た有閑富裕層が気になって、急に実家に立ち寄りはじめ、その様子を伺うような周囲にバレバレの行動を取り出すマヌケなcクラス乗りのストーカー気質丸出しキモオタ野郎が欲しがりそう 笑
  • 日本は車関係の税金が高過ぎる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村