2019年のWRC世界ラリー選手権は6月2日、第7戦ポルトガルの競技最終日を迎え、競技初日から総合首位につけていたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がシーズン3勝目を飾るとともに、前戦チリに続く2連勝を飾った。チームメイトのクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は総合3番手で臨んだ最終SSでクラッシュ。トヨタ移籍後初の表彰台獲得は叶わなかった。
ヨーロッパ圏で行われる2019年初のグラベル(未舗装路)イベントであるラリー・ポルトガル。タナクは5月31日(金)に行われたSS3でトップに浮上すると、総合2番手のミークと4.3秒差のトップで競技最終日に臨んだ。
トヨタ陣営同士の優勝争いは、競技最終日最初のステージとなったSS16でミークがトップタイムを記録して、ギャップが2.4秒まで短縮。続くSS17ではタナクがトップタイムで反撃して5.4秒差まで押し戻す一進一退の攻防が繰り広げられる。
SS18でもタナクがトップタイムを奪い、リードを8.1秒まで広げると、最終ステージ直前のSS19走行中、ミークがヘアピンでハーフスピン。これでステージ14位に終わり、総合でもライバルのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)に交わされ、総合3番手まで後退してしまった。
ミークの後退で16.6秒の大量リードを手にしたタナクは、最終ステージのSS20“ファフェ2”を6分36秒6で走破。総合2位を手にしたヌービルとの差を15.9秒として、2019年シーズン通算3勝目を飾った。
10年前、このラリー・ポルトガルでWRCデビューを飾ったタナクは「(10年目を祝うのに)最高の結末だった。開幕前は厳しい戦いになると思ったし、(初日の)金曜日は悪くない流れだと思っていた。ただ、昨日のランチタイムは(リードを削られ)最悪だと思っていたけど、うまくマネジメントして勝利を手にできた。うれしいよ」と喜びを語っている。
スピンで総合3番手へと後退したミークはSS20走行中、右コーナーイン側に潜んでいた障害物に足元をすくわれクラッシュ。フロントの足回りにダメージを負ってリタイアしたため、トヨタ移籍後初の表彰台獲得はならなかった。
この結果、総合3位にはセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)が繰り上がり、シリーズチャンピオンを争う3人が表彰台を分け合っている。
サービスパークで走行を見守っていたTOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表、トミ・マキネンはミークのクラッシュについて、「ラリーでは起こり得ること」と述べている。
「誰にとっても残念な結果だ。精神的に厳しい結果だよ。ただ、ラリーではこういったことが起こるものだ。ドライブしていたクリス(ミーク)とチーム全体が意気消沈している。しかし、これも競技の一部だと受け入れざるを得ない」
前日、サスペンショントラブルでデイリタイアを余儀なくされたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合9番手でSS20に臨んだが、先にステージを走行していたガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)がクラッシュしたことでペースを落とさざるを得ず、満足なアタックはできずにフィニッシュしている。
このSS20はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージで、最速だったオジエがボーナス満点の5ポイントを獲得。以下、ヌービル、タナク、テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)、ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)が、それぞれ4ポイント、3ポイント、2ポイント、1ポイントのボーナスを持ち帰っている。
ドライバーズランキングでは総合3位+ボーナス5ポイントを手にしたオジエが142ポイントで首位。2ポイント差の140ポイントでタナクが2位、10ポイント差の132ポイントでヌービルが3位に続いている。
マニュファクチャラーズランキングではヒュンダイが202ポイントで首位をキープ。182ポイントでトヨタ、158ポイントでシトロエン、122ポイントでMスポーツ・フォードが続く格好だ。
2019年のWRC第8戦は1週間のインターバルを経て、6月13~16日に開催されるラリー・イタリア・サルディニア。地中海に浮かぶサルディニア島を舞台に争われるグラベルイベントとなる。
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