11月7日、2021年のスーパーGTの第7戦『MOTEGI GT 300km RACE』の決勝レースが、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、GT300クラスはHitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/篠原拓朗)が今季初勝利を手にした。2位にはARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)が、3位にはシリーズランキング2番手につけるリアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が続いている。
第7戦終了時点でタイトル獲得の可能性もあったランキング首位のSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)は6位でチェッカーを受け、シリーズタイトル争いは最終戦に持ち越されることになった。
7月に開催された第4戦に続き、ツインリンクもてぎでの今季2度目の開催を迎えたスーパーGT。終盤2戦目となり、全車のサクセスウエイト(SW)が半減となるなか6日の公式予選では、UPGARAGE NSX GT3の名取鉄平がQ2でコースレコードを0.2秒更新する走りで自身初のポールポジションを獲得した。2番手にはポイントリーダーかつ75kgと、最も重いウエイトを搭載するSUBARU BRZ R&D SPORTが、3番手にはARTA NSX GT3、4番手にJLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)、5番手にノーウエイトで挑んだHitotsuyama Audi R8 LMSが続いた。
決勝日は快晴に恵まれ、太陽が眩しく照りつける天候に。気温19度、路面温度30度、湿度51%と、11月としては暖かめのコンディションのなか、2周のフォーメーションラップを経て、63周の決勝レースは13時7分にスタートを迎えた。
2番グリッドから好スタートを決めたSUBARU BRZ R&D SPORT山内が、UPGARAGE NSX GT3小林を捉えてホールショットを奪うと、小林に対し毎周0.4~0.5秒リードを着々と広げにかかる。そんななか、6周目の90度コーナーで、UPGARAGE NSX GT3のリヤから白煙が出てスローダウン。小林はビクトリーコーナー手前のエスケープエリアにマシンを止めた。5年ぶりのポールスタートを迎えたTEAM UPGARAGEだったが、レース序盤で戦列を離れることになり、代わりに3番グリッドスタートのARTA NSX GT3の高木が2番手に浮上する。
9周目、19番手を走行していたLEON PYRAMID AMGの菅波冬悟が、ヘアピンコーナーでGT500車両に押し出されるかたちでコースオフ。グラベルにハマり、リタイアとなってしまった。このアクシデントでこのレース最初のフル・コース・イエロー(FCY)が導入される。翌10周目にFCY解除となると、トップのBRZ山内と2番手ARTA NSX高木のギャップは11周目に1.323秒、12周目には高木がこの日のファステストタイムとなる1分47秒607を記録してその差を0.652秒まで縮める。
そんななか、13周目に17番手争いを繰り広げていたグッドスマイル 初音ミク AMGとグランシード ランボルギーニ GT3が3コーナーで接触し、両車はリタイアとなった。その直後の90度コーナーでARTA NSX高木がBRZ山内を攻略しトップに浮上。ラップリーダーが入れ替わった直後に、コース上でストップしたグランシード ランボルギーニ GT3の回収のために2度目のFCYが導入された。
14周目にFCY解除となるとARTA NSX高木はスパートをかけ、BRZ山内とのギャップを16周目には3秒まで広げる。一方2番手にポジションを戻したBRZ山内は後方から迫るJLOC ランボルギーニ GT3の元嶋に追われる展開となった。
レース周回の1/3が経過した22周目には各車続々とピットへ。上位勢では27周目に3番手のJLOC ランボルギーニ GT3の元嶋佑弥と5番手のHitotsuyama Audi R8 LMSの川端伸太朗がピットイン。2台ともリヤタイヤ2輪交換でコースに復帰する。一方、トップ2台は中盤まで引っ張ることに。
ARTA NSXは30周目にピットイン。リヤ2輪のみ交換し、停車時間37.3秒でコースへ復帰。一方のBRZは翌31周目にピットインを敢行。こちらは4輪交換を実施し、停車時間47.7秒でコースに復帰する。これで、ARTAはBRZに対しては先行を守るも、27周目にリヤ2輪交換でピットを終えていたHitotsuyama Audi R8 LMSが2台を先行し暫定首位におどり出る。また、リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rもタイヤ無交換作戦を実施し、ARTA NSX GT3とBRZの間、3番手に滑り込んだ。
これで残り20周となった43周時点でトップはHitotsuyama Audi R8 LMSの篠原、5秒後方に2番手にARTA NSX GT3の佐藤が続くかたちに。さらに5秒後方ではリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rのオリベイラを先頭に、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口、JLOC ランボルギーニ GT3の小暮の3台が3番手争いを展開。さらに、接戦の3番手争いの後方にはタイヤ4輪交換のPACIFIC NAC CARGUY Ferrari横溝が接近しつつあった。
しかし、47周目にPACIFIC NAC CARGUY Ferrariの左リヤタイヤがパンク。これで表彰台争いから離脱することに。タイヤに厳しい状況の終盤、54周目には4番手を走行していたSUBARU BRZ R&D SPORTもV字コーナーで単独スピンを喫し、6番手にポジションを下げてしまう。
一方、リヤ2輪交換作戦で大きくポジションを上げたHitotsuyama Audi R8 LMSは終始安定したレースペースを保持し、63周目のトップチェッカーを受け、今季初ポイントを今季初優勝というかたちで手にした。川端にとってはGT300通算2勝目、篠原拓朗にとっては自身GT300初優勝となった。2位には序盤から好走を見せるも、4輪交換により順位を下げる結果となったARTA NSX GT3が、3位にはこちらもリヤ2輪交換を成功させたリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが続いた。
4位にはJLOC ランボルギーニ GT3、5位にはHOPPY Porsche、そしてSUBARU BRZ R&D SPORTは6位でフィニッシュとなった。これにより、第7戦終了時点でのシリーズランキングはSUBARU BRZ R&D SPORTが55ポイントで首位をキープ。しかし、ランキング2番手のリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが49ポイントと6ポイント差で続くこととなり、GT300クラスのタイトル争いは最終戦となる第8戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE』で決することとなった。
2021年のスーパーGT、次戦となる第8戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE』は11月27~28日、静岡県の富士スピードウェイで行われる。ノーウエイトで争われる最終戦を制するのはどのマシンなのか、そしてGT300クラスのタイトルを手にするのはどのドライバーとなるのか。最終戦も一周たりとも、そして一瞬たりとも目が離せない戦いが繰り広げられることになる。
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