車種別・最新情報 [2023.09.29 UP]
新型ランドクルーザー250のメカニズム解説! ハイブリッドの日本導入は?
噂されていた300系ランドクルーザーの弟分モデルがワールドプレミア。サイズ的には少し大きくなったが、一目で「ランクル」と分かる原点回帰したフォルムが魅力。国内で発売されるのは来年になるが、待つだけの価値は大いにありそうだ。
●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之
新型ランドクルーザー250【メカニズム詳細】
伝統のメカニズムを
最新技術を用いて大刷新
プラットフォームは300系を基本としたもので、ラダーフレームの基本形状も共通。ただ、フレームの板厚を変更するなど軽量化を進めている。端的に考えれば頑強さは300系より低下するが、300系はフレーム強度などの安全率を過剰なレベルに設定しているため、250系は一般的なハードクロカンに見合ったレベルに再設計。そんな理由もあって、300系用と同じ形状でも250系専用フレームというわけだ。
シャシー周りの見所は、減衰力制御サスペンション「AVS」の進化が挙げられる。AVSはプラドの最上級グレードにも採用されていたが、250系は可変減衰制御にリニアソレノイド式を採用。従来よりも素早くかつ細かく制御できることを強みにしている。H4(4WD)モードでは、オンロード走行での操安性と乗り心地の向上が主な機能となるが、L4モードでは、電子制御スリップコントロールと連動して空転輪の接地で生じるホッピングを抑制するモーグル制御が採用された。
また、トヨタ初となるスタビライザーの切替機構(SDM)も採用。オフロード走行では左右が独立して長いストロークを使えるようにスタビライザーをオフ、オンロードではオンにして操安性の向上が図られた。オン&オフロードの両面での性能向上が狙いだ。
4WDシステムは電子制御型センターデフ式を採用。センターデフとリヤデフにはロック機構が備わり、路面環境に応じた最適制御を行うマルチテレインモードやクロールコントロールも設定する。
パワートレーンは、仕向け地別に5タイプのユニットが用意され、今回日本向けモデルとして正式発表されたのは2.8ℓディーゼルターボと2.7ℓガソリンの2タイプ。共にすでにプラドに搭載されていたユニットだが、250系ではドライバビリティを中心に改良が加えられる。具体例のひとつとしては、ディーゼルターボ車のミッションはプラドでは6速を採用したが、新型は8速に進化する。
もうひとつ、時期は未定だが、新世代型2.4ℓターボ&8速ATをベースにしたパラレル式ハイブリッドも国内導入が予定されている。横置仕様はすでに展開しているが、250系の縦置き仕様は初披露。どのような性能設定になるかは不明だが、燃費とオフロード性能のバランスの良さでは300系を超える可能性もありえる。
300系に採用されているアンダーフロアビューなどオフロード走行走行でのアシスト機能も多く採用。本気のオフローダーらしい機能と装備も目白押しだ。
GA-Fプラットフォーム
プラットフォームがTNGA世代の最新GA-Fに刷新されたことで、従来型(プラド)に比べると、フレーム剛性で50%、車両全体の剛性としては30%ほども向上している。
従来は薄板材と厚板材を重ね合わせていた曲線結合部に、世界初となる曲線結合技術を注ぐことで、剛性アップと軽量化を達成。設計の自由度が大きく高まっている。
硬さが異なる複数の超ハイテンションスチール材を、フレーム構造の適材適所に採用することで、剛性を強化。同時に軽量化も達成している。
ボディ側にも超高張力鋼板を採用したほか、溶接ポイントの増し打ちや、鈑金合わせ部に構造用接着剤を用いることで、ボディ側の剛性も大きく強化している。
全長とホイールベースは若干拡大しているが、ドアミラー最外端の実用全幅は従来型以下に抑えることで、取り回し性能も強化。
2.8ℓディーゼルターボ
2.8ℓディーゼルターボは、すでにプラドで採用済み。スペックは150kW/500Nmだが、ATが6速から8速に変更されることで、リアルワールドでの性能強化を実感できそうだ。
2.7ℓガソリン
ガソリン車の2.7ℓエンジン(NA)もプラドで採用済み。スペックは120kW/246NmでATも6速仕様だが、低中速域でのレスポンス性を高める改良が実施されている。
2.4ℓターボハイブリッド
トヨタ/レクサスに採用が進む最新のターボハイブリッド。250系では横置きではなく、縦置きに配置される。現時点では北米・中国向けモデルに採用とされているが、将来的には国内仕様車にも採用されるようだ。
電動パワーステアリング
従来、パワーステアリングは油圧式を採用していたが、250系では電動式に刷新。強度信頼性を確保しながらもスムーズなステアリングフィールを実現している。
SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)
スイッチ操作でスタビライザーの状態を切り替えることで、走行支援を行う新技術。オフロードではアンロック状態、オンロードはロック状態になる。
マルチテレインセレクト
ブレーキ、サスペンション、エンジンを統合制御することで走破性を向上。250系では走行可能なモードを自動選択するオートモードが追加された。
マルチテレインモニター
アンダーフロアに設置したカメラからの路面映像を合成することで、車両周辺の状況を表示。300系から採用が始まった先進技術のひとつ。
250シリーズの国内発売は2024年前半期を予定
300系と同じ、リアルオフローダーオフロード好きには見逃せない一台
大きくなった車体サイズはメーカーも気にしているようで、ドアミラーを含む全幅はプラドより65mm狭いとのアナウンス。とはいえ、運転席に乗り込めばやはり大きい。適応用途だけを見るなら300系と同じで、気軽にタウンユースが出来るモデルではない。
やはりターゲットは真剣にアウトドアレジャーを楽しんだり、オフロードを走りたい層だ。本気の上級オフローダーを狙ってるユーザーには、300系と同様に250系はかなり魅力的だろう。
なお、国内仕様車の正式発売は2024年の前半期を予定しているとのこと。価格が手頃なら、相当ヒットしそうな予感がする。
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