はじめに
メルセデスほどトラディショナルなメーカーが、新たなカテゴリーの先頭を争うために果敢な征服者のようなモデルを投入するとは、考え難いかもしれない。しかし、最近のメルセデスがトラディショナルかどうかは議論の余地がある。また、そういうことが起こるということは、自動車業界の競争がいかに激化しているかを示す物差しにもなる。
【画像】写真で見るメルセデスAMG EQSとライバル 全16枚
クロスオーバー乱立の口火を切った1998年のMクラスを別にしても、メルセデスには奇をてらわず、それでいてまったく斬新なモデルでセグメントのトップを脅かしたことがある。それも、この10年ほどで3度もだ。
まずは、フォルクスワーゲン・ゴルフのシェア奪取を狙った3代目Aクラス。次に、ポルシェ911オーナーを振り向かせようとしたAMG GT。そしてもうひとつが、今回のクルマ、EQSである。
この完全電動サルーンは、シュトゥットガルトのEVラインナップにおけるフラッグシップとなる。目指すはテスラ・モデルSの撃墜、といったところだろう。
しかしこのEQSには、それ以上に大きな意味がある。欧州市場における、来るべき2030年の完全電動化に向けて、メルセデスを牽引する役割が期待されているのだ。
ソフトウェアのオーバー・ジ・エア(OTA)アップデートをはじめ、自動車業界のトップレベルを誇る空力効率や航続距離、無数のテクノロジーを詰め込んだインフォテインメントと衝突安全機能。そうした数々は、その価格に見合った充実ぶりだ。
プラットフォームは下位セグメントのEQEや、さらに2車種のSUVにも使われる予定で、それゆえに出来のよさが求められる。電動化時代のSクラスというべきこのEQSをテストすることで、ジンデルフィンゲン工場から今後送り出されるモデルの未来も占えるのではないだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
EQSはアッセンブリーラインをSクラスとシェアしているのだが、となるとこの2台のハードウェアはどの程度まで共通なのか興味が湧くところだ。フットプリントに関してはほぼ同じようなもので、EQSのほうが6mm長く、5mmナローだ。ただしホイールベースは、EVの通常モデルでもエンジン車のロング版と同じくらいある。
また、これまでのEQモデルは、よくも悪くもICE用を改修したプラットフォームを使ってきた。EQAやEQB、そしてEQCといったクロスオーバーはどれもそうだ。つまりはこの最重要EVともいうべきモデルのEQSまで、バッテリーはその電力を最大限活かすEV専用モジュラーアーキテクチャーを開発することなく、既存品へどうにか押し込んでいたわけだ。
このEV専用シャシーの重要性は、EQSの外観に表れている。Sクラスより丸っこく、キャブフォワードで弧を描くシルエットは、3ボックスというよりモノフォルム的だ。これにより、条件つきながら量産車でもっとも低い空気抵抗値を達成している。
並べてみると、2台は無関係のクルマに見える。サルーンというカテゴリーで一括りにすることさえためらわれるほどだ。全体的に見て、EQSはこれ以上の存在感はいらないくらいだが、2019年にフランクフルト・モーターショーで公開されたヴィジョンEQSのようなドラマティックさを、市販車にも期待していたなら、控えめになったと思うだろう。
いっぽうで、控えめとは言えないのが動力系のハードウェアだ。低コバルトの内製リチウムイオンバッテリーは、実用容量107.8kWhと、このクラス最大とはいえないサイズだ。しかし、ヴァレオ・シーメンス製モーターの高い効率と空気抵抗の小さいボディにより、現状の市販EVでは最長の航続距離をマークするポテンシャルを手に入れた。
ポテンシャル、と言ったのは、幅広いモデルレンジからどの仕様を選ぶかで変わってくるからだ。リアモーターのみのEQS 450+AMGラインならば、WLTPサイクルで729kmだが、テスト車のAMG 53 4マティック+では、541kmまで目減りする。
しかし、全車とも200kW急速充電に対応し、理論上は15分で290km分の電力を補充できる。一般的な使い方を考えれば、これで十分ではないかと思われる。
車両重量は、もっとも軽い仕様であっても2405kgあり、前後にモーターを積むAMG 53では2585kgに達する。最高出力は、後輪駆動のEQS 450+が334ps、AMG 53では761psにもなる。
プラットフォームは新開発だが、サスペンションはSクラスとかなり近い。フロントはダブルウィッシュボーン、リアは5リンクで、エアマティックサスペンションと、四輪独立アダプティブダンパーを組み合わせる。
地上高は可変式で、高速域では20mmダウン、40km/h以下の低速域では25mmリフトする。後輪操舵も標準装備で、回転直径はフォルクスワーゲン・ゴルフ並みの10.9mだ。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
EVのEQSはトランスミッションに占有されるスペースがないので、Sクラスより高級なラウンジを思わせる雰囲気を、メルセデスはこのクルマに構築するチャンスを得たと言える。
ところが、明らかに、仕様の問題や、テスト車のダークな内装と迫り来るようなハイパースクリーンのせいではなく、テスター陣は魅力的でない部分をこのキャビンに見出した。
大きな不満は、疑問を感じる質感と、高いベルトラインやスカットルがもたらす閉塞感だ。押したりもたれかかったりするとしなりすぎるパネルがあり、おかしな軋み音が出たりする。また、ステッチが乱れている箇所も見つけられる。
たしかに、好ましい部分は少なくない。ダッシュボードから途切れなく続くドアパネルや、ハイパースクリーンからセンターコンソールへ続くフレームなどはみごとな仕上がりだ。しかし、質感は全体的に安っぽく、レイアウトは独創性に欠ける。
テスト車に装着されたAMG仕様のスポーツシートは、スマートに一体化されたヘッドレストを備えるが、サポートが物足りない。しかも、15万7160ポンド(約2593万円)のクルマについているシートとしては、見栄えがちょっとばかり普通すぎる。
AMGらしい要素を探すと、表面的なものに限られる。部分的にアルカンターラを使ったステアリングホイール、シートとフロアマット、あとはグラフィックくらいだ。控えめだが、53のアファルターバッハらしさが63より薄いのはいつものこと。おそらくEQSのラインナップに加わるだろう最上位モデルに、もっと本格的なAMGテイストは残してあるということだろう。
後席も、長短あわせ持つといった感じ。レッグルームは広大で、リムジンといえるレベルだ。頭上も広い。暗くなれば、前後席ともアンビエントライトがムードを盛り上げてくれる。しかし、標準装備のシートは背もたれが足りず、やや立ちすぎだ。
ラグジュアリーラウンジパックを選ぶと、シートが独立調整式となり、問題は改善される。しかし、ナイトエディションには未設定で、ツーリングでのみ選択できる仕様となる。
走り ★★★★★★★★★☆
EQS 53は、コンパクトな同期モーターを2基搭載する。走行モードをコンフォートにして普通に走ると、ややパワーが低いほうの、325psのフロントモーターが車体を引っ張る。さらなる加速性能を求めた場合は、334psのリアモーターが加勢する。スポーツかスポーツ+の各モードを選ぶと、前後モーターがともにスロットルペダルに反応するが、トルクシフト機能が、前後駆動力配分を連続して調整する。
とくに三相ステーターコイルを用いるリアモーターは、自動車業界においてもより先進的な部類に入る。冷却系は通常のEQSよりアップグレードしているが、さらに前後の1速トランスミッションのために、オイルクーラーを追加している。
理論上は、トルクデリバリーがスムースになり、効率もパワーのポテンシャルも引き上げられる。しかし、EQS 53において、それを余すところなく感じられるのは、8995ポンド(約148万円)のAMGパフォーマンスパッケージを選択した場合のみで、最高出力が658psから761psにアップする。テスト車は残念ながら、658ps/96.9kg−mの、アップグレードされていない仕様だ。
とはいえ、現時点でAMG 53は、EQSの最速グレードだ。その速さはいかなるものかといえば、おみごとのひと言だが、それはキャビンでの体感よりテレメトリーに目を注いでいるときのほうが明らかだ。というのも、そのボディサイズと乗員をすっかり取り囲むようなインテリアには、速度を多少遅く感じさせるところがあるからだ。
スポーツ+モードでふたつのペダルを同時に踏み込むと、レーススタート機能が起動する。SFチックな唸りが不意に響きはじめ、気分を盛り上げるが、おそらくエンジン回転の上昇を模しているのだろう、その音が次第に高まっていく。
そこでブレーキペダルを放すと、ワープしそうな速度でクルマは前へ飛び出していく。2673kgのテスト車は、3.6秒で97km/h、8.4秒で161km/hに到達する。ライトなAMGモデルとしては、悪くない数字だ。
しかし、本当にショッキングなのは中間加速。つまり、オーバーテイクの際などに心底驚かされることになる。
48−80km/hのタイムは1.2秒、64-97km/hは1.3秒で、まるでテレポーテーション。48-113km/hという、高速道路への合流など現実的なシチュエーションで体験する加速は、たったの2.8秒で完了する。しかも、それほどマッチョなクルマでありながら、濡れた路面であってさえ、直線加速テストでトラクションに問題が発生することはまったくなかった。
もっとも印象に残ったのは、気難しさや過敏さをまったく感じさせないことだ。ドライブモードの変更でスロットルレスポンスのシャープさは変わるが、慎重にセッティングされている範疇から逸脱することは決してない。ジャンクションからの脱出も、駐車スペースへ入るのも、オーバーテイクするのも、どれも等しくイージーなのだ。
回生ブレーキの制動力には、交通量や路面状況に応じた自動調整機能が備わる。これはほぼ落ち着きを失うことなくアジャストしてくれるのだが、ステアリングホイールに取り付けられたパドルで調整できる機能も便利だ。また、回生ブレーキで完全停止もできるので、文字通りの1ペダル運転を可能にする。
おそらく、それはこのクルマにとって好都合だ。本当に必要となればたやすく停止させることができるものの、ペダルフィールそのものはプアで、急ブレーキが必要な際には、このクルマの重さを失念しているとヒヤッとさせられることになりかねないからだ。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
インフォテインメント
EQSのMBUXインフォテインメントシステムは、Apple CarPlayとAndroid Autoとのペアリングがスマートに、ワイヤレスでできる。センターに18.0インチ、助手席側に12.0インチ、そしてデジタルメーターパネルの有機LEDディスプレイは、どれもすばらしく鮮明で、テスト中に遅れを見せることはほとんどなかった。
しかしながら、センターアームレストのすぐ前にショートカットの列が並んでいるにも関わらず、実体スイッチがないことを恨めしく思うだろう。とくに音量調整はしづらく、ダイヤルがあればよかったと思わされる。また、AMGモデルには標準装備のハイパースクリーンが、ちょっとばかり煩わしい。とりわけ、夜になるとそうだ。よくよく考えて選んだほうがいい。
それ以外の機能面は、非常にすばらしい。ナビゲーションシステムは自動で充電ポイントを表示し、充電速度や空き状況も教えてくれる。さらに、地形や速度を計算に入れて、必要ならば立ち寄りを促してくれる。付け加えるならば、航続距離の試算はほかにないほど正確だった。
燈火類
唯一不満なのは、アダプティブ機能のハイビーム切り替えが取り立てて直感的ではなかったこと。それを除けば、非常によくできているのだが。
ステアリングとペダル
ステアリングホイールとシートのポジションにズレはなく、ペダルは足元の快適さを得るため右へオフセットしている。ドライビングポジションのアジャスト範囲は広く、駆動用バッテリーの搭載位置を考えれば驚くほど低く下げることもできる。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
扱うべき物理的な力が非常に強いことを考えると、メルセデスがハンドリングに関して極端なスタビリティ志向にセッティングしたことは理解できる。トルク配分機構は全般的にフロントモーターを使いたがり、思い切り走らせるまでは期待するであろう後輪駆動的な挙動やバランスに持ち込むことを許容しないのだ。
そのため、公道上では、走りが前輪駆動的に感じられることもしばしばある。とはいえ、その程度はわずかなものだが。
それでも、このクルマは十分に好ましい。路上での位置決めはイージーで、鼻先の向きを変える動きは、比較的ダルかったSクラスよりだいぶ正確で素早い。
ダイレクトなステアリングが持ち味になっているところもあるが、メルセデスとしてはおもしろみのあるほうで、このブランドの主流となるセダンほどインフォメーションが遮断されたフィールではない。
切りはじめは不思議なくらい鈍いが、そこから先は手応えが増し、自信と安心感を持って、正確な操舵ができるようになる。本当のグリップレベルをはっきりと見せつけられてしまうことはめったにない。
なによりこのクルマはきわめて低重心だということもあって、自然に速く走らせられる感覚がある。しかもボディコントロールは抜け目なく、コーナーでは500kgくらい軽いクルマに感じさせてくれる。さすがにブレーキングでは、そういうわけにはいかないが。
苦もなく乗れて、設定次第で多少スポーティにもできる電動サルーンを探しているなら、それほどがっかりすることはないクルマだ。もっとも、ポルシェ・タイカンと同等か、それに近いものを期待するのは無理な話だ。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
高級EVにおける走りの洗練性に関して、これまでのロードテストにおけるベンチマークとなっているのは、SUVのBMW iX xドライブ50 Mスポーツだ。では、このメルセデスはどうかというと、かなり近い。その差はほとんどない、と言ってもいい。
静粛性は、48km/hでは同等、80km/hではBMWが1dBA静かだが、113km/hではメルセデスのほうが1dBA静かな62dBA。これは驚異的な空力性能によるもので、気流を乱さないことが効いている。
参考までに、S580e Lは同じく113km/hで62dBAを記録した。しかし、ロールス・ロイス・ゴーストは驚きの58dBAをマークしている。
EQSが主要なライバルの後塵を拝しているのは、低速での乗り心地と静粛性だ。速度を上げると上々の走りを見せ、電動長距離クルーザーとしてはおそらく並ぶものはない。しかし、市街地の速度域で荒れた路面を走ると苦戦する。驚いたのは、スピードバンプに乗り上げた際に、フロントサスペンションからの音が聞こえたことだ。
ハッチバック越しの後方視界は、まずまずといったところ。グラスハウスは、サンルーフが2面あるとはいってもひどく狭い。iXの開放感ある明るさを体験した後では、なおさらそう感じられる。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
15万7160ポンド(約2593万円)の53 4マティック+は今のところ、英国で販売されるEQSのもっとも高価なモデルだ。このほかには、10万2000ポンド(約1683万円)の450+がラインナップされている。
この価格帯とパフォーマンスのレベルを考えると、直接的なライバルは少ない。しかし、年内にはルーシッド・エアとテスラ・モデルSプレイドが投入される。それまでは、ポルシェ・タイカンターボSの、広いスペースが備わるスポーツツーリスモくらいだろう。
しかし、EVという枠組みを外せば、EQS 53と真っ向張り合えるクルマは、おそらくベントレー・フライングスパーV8だろう。価格は16万ポンド(約2640万円)程度からで、高級さやパフォーマンスでも肩を並べる。
このメルセデスがベントレーほどスペシャルに感じられるかどうか議論の余地はあるが、先日テストしたPHEVモデルである11万6330ポンド(約1919万円)のS580e Lを即座に否定したくなるようなものではない。間違いないのは、現状のマーケットにおいて興味深い存在だということだ。
実用性の面では、不満はほとんどない。充電は200kWに対応し、欧州で展開するイオニティの急速充電が1年間無料で利用できるので、バッテリーのサイズとこのクルマの効率も考え合わせると、行動範囲の心配はしなくて済むだろう。温暖な天候の中では、ツーリング電費が4.3km/kWhで、468km走行できる計算だ。1モーターの450+なら、もっと長く走れる。
スペック
レイアウト
サスペンションはSクラスと多くを共用しており、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、前後ともエアスプリングを装備する。
アルミを多用したモノコックは、駆動用バッテリーを積んだローリングシャシーとアッセンブリーの段階で結合される。実測重量は公称値より163kg重かったが、前後配分は完璧に等分だった。
パワーユニット
駆動方式:フロント・リア横置き四輪駆動
形式・前・後:永久磁石同期電動機
駆動用バッテリー:水冷式リチウムイオンバッテリー、-kWh(グロス値)/107.8kWh(ネット値)
最高出力:658ps/4500-13500rpm
最大トルク:96.9kg-m/4500-13500rpm
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:263ps/t
トルク荷重比:38.6kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:5223mm
ホイールベース:3210mm
オーバーハング(前):922mm
オーバーハング(後):1091mm
全幅(ミラー含む):2125mm
全幅(両ドア開き):−mm
全高:1512mm
全高:(テールゲート開き):2214mm
足元長さ(前):最大1150mm
足元長さ(後):最大870mm
座面~天井(前):最大1030mm
座面~天井(後):最大930mm
積載容量:610~1770L
構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:2510kg(公称値)/2673kg(実測値)
抗力係数:0.23
ホイール前・後:9.5Jx21
タイヤ前・後:275/40 R21 107W
ミシュラン・パイロットスポーツEV
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:-
リダクション比:-
1000rpm時車速:-km/h
電力消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:3.9km/kWh
ツーリング:4.3km/kWh
動力性能計測時:1.3km/kWh
メーカー公表値:消費率
混合:4.7km/kWh
公称航続距離:576km
テスト時航続距離:417km(平均)/-km(ツーリング)
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/エアスプリング、スタビライザー
後:5リンク/エアスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:10.9m
ブレーキ
前:440mm通気冷却式ディスク
後:378mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、EBA、EBD
ハンドブレーキ:自動(ダッシュボード左側にスイッチ配置)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):78dBA
48km/h走行時:55dBA
80km/h走行時:59dBA
113km/h走行時:62dBA
安全装備
ABS/EBD/ESP/LKA/AEB/ABA/FCW
Euro N CAP:5つ星(450+、左ハンドル)
乗員保護性能:成人96%/子供91%
交通弱者保護性能:76%
安全補助装置性能:80%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h)1.7秒
0-40(64):2.3秒
0-50(80):2.9秒
0-60(97):3.6秒
0-70(113):4.5秒
0-80(129):5.6秒
0-90(145):6.8秒
0-100(161):8.4秒
0-110(177):10.2秒
0-120(193):12.4秒
0-402m発進加速:12.0秒(到達速度:190.5km/h)
0-1000m発進加速:21.9秒(到達速度:-km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ
テスト条件:湿潤路面/気温7℃
0-30マイル/時(48km/h)2.1秒
0-40(64):2.8秒
0-50(80):3.5秒
0-60(97):4.4秒
0-70(113):5.5秒
0-80(129):6.8秒
0-90(145):8.3秒
0-100(161):10.0秒
0-110(177):12.2秒
0-120(193):15.2秒
0-402m発進加速:12.8秒(到達速度:181.2km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.1秒
30-50(48-80):1.2秒
40-60(64-97):1.3秒
50-70(80-113):1.6秒
60-80(97-129):2.0秒
70-90(113-145):2.3秒
80-100(129-161):2.8秒
90-110(145-177):3.4秒
100-120(161-193):4.0秒
110-130(177-209):4.8秒
120-140(193-225):8.1秒
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温16℃
30-0マイル/時(48km/h):10.2m
50-0マイル/時(64km/h):30.6m
70-0マイル/時(80km/h):58.6m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.54秒
ライバルの制動距離BMW iX xドライブ50 Mスポーツ
テスト条件:湿潤路面/気温7℃
30-0マイル/時(48km/h):10.5m
50-0マイル/時(64km/h):29.4m
70-0マイル/時(80km/h):57.8m
結論 ★★★★★★★★☆☆
大袈裟な言い方はしたくないのだが、EQSには眠れる巨人が眼を覚ましたような感覚がある。メルセデスにとって初となる、本格的なEV専用モデルは、メルセデスのもっとも象徴的な車種ともいうべきフラッグシップサルーンとなったわけで、そこに野心の欠如があろうはずがない。
そのボディサイズと実用性もさることながら、これまでテストしたEVのなかでもっとも航続距離が長く、今回のAMG 53は最速の一台でもある。
EVのSクラスというには、インテリアの高級感は物足りないが、ある程度の驚きをもたらす要素はあり、新し物好きのユーザーにはアピールする。だが、かつてスリーポインテッドスターを掲げる、大きくてゆったりした乗り心地のリムジンを愛したひとびとには、そこまで魅力的に映らないかもしれない。
しかも同時に、このクルマは非の打ちどころがないわけではない。メルセデスの大型サルーンの要となるべき、走りのセンセーショナルな洗練性はここにはない。とくに低速域でそうだ。また、うわべの魅力をおうあまり、根本的なキャビンのクオリティが犠牲になっている。
さらに、このAMGモデルは、もっとドライバーを喜ばせてくれてもよかった。アイデアはすばらしいのだが、今のところ、まだ磨き込まれていない。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンEQとAMGが共存しうるものなのか、いささか疑問だ。下位のEQEならばまた違った感想を持つかもしれないが、もしもEQSを買うなら、スポーティさよりも文句なしの高級感を求める。明るい色調のレザーや後席のラウンジパック、下位グレードの450+に装備される快適なシートのほうが好みだ。そして、ハイパースクリーンは御免こうむる。タブレットタイプのタッチディスプレイの方がずっとエレガントだ。
マット・ソーンダースEQSとiXならどちらがほしいか、と聞かれたら、iXを選ぶ。どちらも快適かもしれないが、本当に心地よく乗れるのはBMWのほうだ。画一的なところもより少なく、より斬新に感じられるという点でもやや上回っている。
オプション追加のアドバイス
AMG EQSを買うなら、ナイトエディションかツーリングかいずれかの仕様を選ぶことになる。違いはほとんどが見た目の問題だが、高級なリアシートを装着できるのはツーリングのみ。われわれとしては、重視したいポイントだ。
改善してほしいポイント
・シートのグレードアップはしてほしい。バケットシートがほしいのではなく、もっとしっかり身体をあずけることができればいいのだ。
・こんなに重いクルマには、効きはじめがもっと明確で、安心して使えるブレーキが必要だ。
・スピードバンプを乗り越える際に、サスペンションから音が出ないようにしてもらいたい。
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