2021年シーズンのF1は夏休みが近付き、来季に向けた噂もちらほらと聞こえてくるようになっている。その中で最も注目を集めているのが、メルセデスのルイス・ハミルトンのパートナーが誰になるかという点だ。
その選択肢はふたつと言われており、バルテリ・ボッタスを残留させて現行のラインアップを継続するか、ウイリアムズのジョージ・ラッセルを昇格させるかのどちらかと見られている。この2択はふたりのドライバーのキャリアをも左右する重要なものとなるだろう。
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しかしこれはメルセデス、そしてボッタスとラッセル以外にも影響を与えることになる。仮にラッセルがメルセデスに加入し、ボッタスがフリーエージェントとなれば、アルファロメオのようなチームにとっては実力あるドライバーを獲得するこれ以上ないチャンスがやってくる。
一方のウイリアムズはラッセルを失うということになるため、新レギュレーション下で始まる2022年シーズンの出足をくじかれるような形になる。過去3シーズンでコンストラクターズ選手権最下位に終わっている彼らにとって、ラッセルのように速く、チームの中心的役割を担えるような人材を確保することは容易ではないだろう。
というのもウイリアムズは現在、将来の競争力を保証することができないからだ。今シーズンもラッセルが予選で印象的な速さを見せているにも関わらず、1ポイントも獲得することができていない。
ただ、ドライバー市場には若手からベテランまで豊富な選択肢があるということも事実。それらをひとりずつ見ていこう。
まず、ウイリアムズが最初に決断しなければならないのは、ラッセルのチームメイトであるニコラス・ラティフィとの契約を延長するかどうかだ。ラティフィはこれまでのF1キャリアで一度も入賞できていないが、彼がもたらすスポンサーシップに非常に大きな価値があるのは言うまでもない。
もうひとつのポイントは、メルセデスがラッセルに代わってメルセデス傘下のドライバーを起用するかどうかという点だ。メルセデスは現在、フォーミュラEでニック・デ・フリーズとストフェル・バンドーンを走らせており、特にデ・フリーズはポイントリーダーとなっている。メルセデスとしても、2019年のF2チャンピオンであるデ・フリーズにはF1で通用するポテンシャルがあると感じているに違いない。
メルセデスF1チームの代表であるトト・ウルフは、デ・フリーズとバンドーンがF1で活躍できる存在であると評しており、次のように語っていた。
「ストフェルはマクラーレン時代、非常に難しい状況に置かれていた」
「彼らはF1にふさわしい存在だし、彼らがその道に戻れることを切に願っている」
「彼らがフォーミュラEのドライバーとして活躍してくれているのは本当に喜ばしいし、これ以上のことは望めない。しかし誰であってもF1で走る可能性があるならば、それを邪魔することは決してない」
ただウイリアムズにとっても、ラッセルの後任について100%メルセデスに依存している訳ではなく、他にも多くの選択肢がある。そのひとつが、ウイリアムズのドライバーアカデミーに所属しているダニエル・ティクトゥムだ。
ティクトゥムはその類い稀なる才能と強烈な個性から、これまでのキャリアで良くも悪くも注目を浴びてきた。ただ昨年からFIA F2へのフル参戦をスタートすると、今季は前半戦を終えてランキング4番手につけるなど、タイトル候補のひとりとなっている。ウイリアムズは彼をステップアップさせることのメリットを感じているかもしれない。
ティクトゥムのような若手ドライバー以外にも、新規則下で強力な地盤を築いてくれそうなベテランが多く市場に残っている。
かつてウイリアムズに所属した経験もあるニコ・ヒュルケンベルグは、昨年はコロナ禍においてレーシングポイント(現アストンマーチン)の“スーパーサブ”として評価を高めたドライバー。まだF1での将来を完全には諦めていない。また、今季はアストンマーチンとメルセデスのリザーブを務めているため、F1チームの最新の開発事情にも精通しているはずだ。
そして現在アルピーヌのリザーブを務めているダニール・クビアトも、2020年までアルファタウリでドライブしていた。そしてレッドブルというトップチームでのドライブ経験があり、フェラーリで仕事をした経験も持つ。これらは再建中のウイリアムズによって非常に貴重な財産になるだろう。
ウイリアムズにとって選択肢は非常に多岐に渡るが、メルセデスが今後数週間の内に決断を下すまでは、心配してもあまり意味がないかもしれない。
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