これまでの理解を超えたスーパーカー
ランボルギーニ・ウラカン・ステラートを運転していると、今どんなクルマに乗っているのかわからなくなる時がある。ある程度の時間を、一緒に過ごしても。
【画像】最後を飾る至高の喜び ランボルギーニ・ウラカン・ステラート ベースのSTO ウルスとLM002も 全113枚
ミドシップされるのは、8500rpmまで回る自然吸気のV型10気筒エンジン。手元に伸びているのは、バナナくらい大きいシフトパドル。ルーフは見下ろせるほど低い。これらは間違いなく、スーパーカーの特長だろう。
しかし、乗り心地は至ってしなやか。ノーマル・ホイールを履き、最もマイルドなドライブモードを選んだBMW M3より、身体へ伝わる衝撃は小さい。これまでの理解を超えているのだ。
最新のランボルギーニでありながら、同社歴代のミドシップ・モデルで最高速度は1番低い。50年以上前のミウラ P400と対決しても、ウラカン・ステラートが負けるだろう。最高出力では勝っていても。
タイヤも肉厚で、扁平率は40もある。ここまでサイドウォールのあるタイヤをスーパーカーが履いていたのは、フェラーリ360が現役だった頃。最低地上高は171mmあり、都会派のクロスオーバーより高い。
近年の高性能なSUVには、最高出力が600psを超え、250km/h以上で走れる例がある。それでも、ウラカン・ステラートは間違いなく別格。よほど酷い悪路を飛ばさない限り、ふわりと宙へ浮いたように、流暢に先を急げる。
目的地までの移動が舌を巻くほど安楽
一般的にミドシップのスーパーカーは、重いエンジンをボディ中央に収める都合上、サスペンションのスプリングレートを硬くする必要がある。しかしこのクルマの場合、ノーマルのウラカン・エボより約25%柔らかい。ストロークも約30%長い。
この足回りの違いが、新領域を生み出している。ステアリングの反応は極めてスムーズで、狙った通りのラインでボディは孤を描く。
エグゾーストのバルブが閉じ、アクセルペダルのストロークを有効に使えるストラーダ・モードなら、目的地までの移動は舌を巻くほど安楽。約400kmをドライブして実感した。尖ったシルエットのランボルギーニに乗っていることを、忘れてしまう。
中世に作られた狭い橋を渡り、観光客で賑わう古都へ差し掛かると、特別なウラカンを運転しているという事実を再び意識する。カフェで談笑している人も、ウィンドウショッピングしている人も、こちらへ顔を向けてくる。
ランボルギーニに乗っていれば、多くの視線を感じることは珍しくない。だが、近未来を舞台にした映画へ登場するマシンを目の当たりにした時のように、一様に驚いた表情を浮かべている。
オーバーフェンダーが追加された、オレンジ色のボディはドロドロ。塗装の保護フィルムは、部分的に剥がれてしまった。その汚さに、驚いているだけかもしれないが。
アイデアはウルスの開発時に生まれた
このクルマは、あくまでも市販された量産車だ。グレートブリテン島の西、ウェールズ州スランイドロイス郊外にある、スイートラム・モータースポーツ・コンプレックスから帰還しただけに過ぎない。とはいえ、世紀末感を漂わせていることも否定できない。
ウラカン・ステラートのアイデアは、SUVのランボルギーニ・ウルスの開発時に生まれたという。同社の技術者は、イタリア・ナルドのオフロードコースを疾走する楽しさに魅了された。ラリーカーのようなウラカンを作りたいと、上層部へ進言したらしい。
幸運にも既に、ブガッティで数年間を過ごしたステファン・ヴィンケルマン氏は、サンタアガタの本社へ戻っていた。斬新なアイデアを好む彼はゴーサインを出し、ウラカン・ペルフォルマンテをベースにした開発がスタートした。
その3年後に完成し、予定の生産数、1499台は完売している。英国価格は、23万2820ポンド(約4214万円)だった。
クルマ好きの想いをくすぐるストーリーだが、喜べない事実もある。ウラカン・ステラートは、ランボルギーニが量産する、自然吸気エンジンだけを動力源とする最後のモデルとなるのだ。
傑作ユニットの1つに数えられる、V型10気筒エンジンがジュニア・ランボルギーニへ載るのも、これが最後。強化される排気ガス規制に合わせて、次期モデルにはV型8気筒が積まれる予定にある。
毎日運転しても苦にならない快適性
2023年の初めに、アメリカ・カリフォルニア州でウラカン・ステラートのメディア向け試乗会が開かれた。ランボルギーニが手配した、手入れの行き届いたダートコースと、滑らかなサーキットで。
心から運転を楽しめたが、いくつかの疑問も残った。従来のスーパーカーの概念を破るこのクルマは、現実の世界でどこまで機能するのか。シリアスなオフロードを思い切り駆け回れるだけの、本当のタフさを備えているのか。
それらの答えを求めて、筆者はウェールズ州を巡ることにした。この地域は、世界ラリー選手権(WRC)の舞台にもなってきた場所だ。スノードニア国立公園を貫くワインディングも交えた、オリジナルのコースを組んでみた。
ランボルギーニは、ラリーとの縁は殆どない。それでも、故コリン・マクレー氏なら、ウラカン・ステラートを笑顔で迎え入れたに違いない。彼は派手なクルマが好きで、ムルシエラゴを所有していたこともある。
スタート地点は、グレートブリテン島の中央に位置するウォリックシャー州。フォトグラファーと合流し、西を目指す。待ち合わせしたカフェ、カフェイン&マシンにいた若者から、熱い視線を受けながら。
ウェールズ州までの一般道で、ウラカン・ステラートの素晴らしい乗り心地へ浸る。V10エンジンへ綺麗な空気を送るべく、ルーフへシュノーケルが伸びており、後方視界は非常に悪い。だがそれ以外、毎日運転しても苦にはならないだろう。
この続きは、ランボルギーニ・ウラカン・ステラート 最後を飾る至高の喜び(2)にて。
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