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決勝で生まれた二人分の“初”の歓喜。ザルコが7年目にしてたどり着いた表彰台の頂点/第16戦オーストラリアGP

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決勝で生まれた二人分の“初”の歓喜。ザルコが7年目にしてたどり着いた表彰台の頂点/第16戦オーストラリアGP

 悪天候の予報により土曜日午後に行われたMotoGP第16戦オーストラリアGPのMotoGPクラス決勝レースで、初優勝ライダーと、初表彰台ライダーが誕生した。最高峰クラスで初優勝を飾ったのはヨハン・ザルコ(プリーマ・プラマック・レーシング)。そして、初めて表彰台に立ったのは、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)だ。

 予選を終えて数時間後に始まったオーストラリアGPの決勝レースは、前半と後半で展開が大きく変わった。前半は、ポールポジションスタートからトップに立ったホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)が後方を引き離していく展開で、2番手のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)も単独走行。ディ・ジャンアントニオ、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、ザルコが形成する3番手争いの集団は、レース前半、マルティンと約4秒の差があった。

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 だが、この集団はレース中盤にまずビンダーをとらえ、終盤にはマルティンとの差を一気に詰めた。そして最終ラップ、マルティン、ザルコ、バニャイア、ディ・ジャンアントニオ、ビンダーという5人のライダーによる接戦の優勝争いが繰り広げられたのだった。

 ひとつのポイントとなったのは、タイヤ選択である。マルティンはリヤにソフトタイヤを選択しており、このためにレース終盤にラップタイムを大きく落としていたのだ。高速コーナーが連続するレイアウトを持つフィリップ・アイランドは、タイヤマネージメントがとても重要なサーキットだと言われており、今回のレースでも表彰台に立った3人は軒並みタイヤをコントロールしたと言及していたが、マルティンの場合は、タイヤ選択そのものが影響していたようだ。なお、優勝争いを展開したマルティンを除く4人は、リヤにミディアムタイヤを選んでいた。

 最終ラップ、4コーナーでマルティンをかわしたザルコは、そのままトップでチェッカーを受けた。Moto2クラスで2年連続チャンピオンに輝いたのち、2017年に最高峰クラスへ昇格したザルコ。ヤマハのサテライトチームでMotoGPクラス初年度から3度の表彰台を獲得し、以降、7年にわたるシーズンのなかでコンスタントに表彰台を獲得してはいたが、優勝は今回が初めてのことだった。ザルコはレース後の会見で、7年間、勝利を目指して戦い続けてきた心情について問われると、「(優勝という)希望をずっと持ち続けようとしたよ」と答えた。しかし同時に、あるときはレースをリードしても、なかなか勝利を手にできない。なぜ自分にそういう「瞬間」がやってこないのか、と考えることもあったという。

「でもね、今日はその『瞬間』がちょっと多かったんだ。レースをリードしていたわけでも、引き離していたわけでもない。リヤタイヤをコントロールし、最後に自分のスタイルでアドバンテージを得るのが、僕の作戦だった。すべての差が小さくなっているから、今は違いを生むのが難しいんだ。今日は、タイヤが厳しい状況で、ペコ(フランセスコ・バニャイア)の後ろを走ったことで、そのペースが僕を助けてくれた。違いを生むために、最後に大きなものは必要ない。それで十分だったんだ」

「僕はあの瞬間、何もかもできるような気になっていたんだよ。それから感情がやってきた。たくさんのライダーからのお祝いをもらって、すごくうれしかったよ。ヘルメットのシールドを上げて彼らの目を見たら、僕のことをすごく喜んでくれているとわかった。本当に素晴らしい気持ちだったよ」

 ザルコはレース後、ファンの前で得意のバク転を披露した。「フィニッシュラインを通過したときにはバク転をするなんて考えていなかったんだよね」と明かす。

「でも数コーナーを走って『できないほど疲れているわけじゃないから、やろう』と思ったんだ。手を着いちゃったから着地が完ぺきじゃなかったけど……、でもまあ、ちゃんと足で着地できたからね!」

■最高峰クラス2年目のディ・ジャンアントニオ、初表彰台
 ディ・ジャンアントニオの表彰台獲得について、予兆はあった。シーズンの後半、カタルーニャGPあたりから、徐々にパフォーマンスが上がっていた。前戦インドネシアGPの決勝レースでは4位を獲得。インディペンデントチームのライダーとしてトップでゴールし、パルクフェルメで感情に耐えるようにバイクの前に座り込んでいた姿がとても印象的だった。最高峰クラス2年目のシーズン、「流れ」、「勢い」……そういったものをつかみ始めているのかもしれない。

「すごくうれしいよ。チームワークの結果だ。みんなで一緒に素晴らしい仕事をした。そして、この結果を達成したんだ。感情が爆発したよ」

 オーストラリアGPで3位を獲得したディ・ジャンアントニオはそう語った。最高峰クラスで1年目のシーズンはエネア・バスティアニーニ、今年はアレックス・マルケスがチームメイト。どちらも優勝、表彰台経験のあるライダーだ。加えて、10月上旬の時点で、2024年シーズンはマルク・マルケス(現レプソル・ホンダ・チーム)がグレシーニ・レーシングMotoGPに加入することが発表された。2024年のディ・ジャンアントニオの去就は明らかになっていない。

「つまり、運がよくないときでも正しいときに正しい場所にいる必要があるということだ。マルクのことやすべての物事はあっという間に起こったことで、ちょっと耐えないといけない。そのことがなかったら、もう少し楽に物事が進んだかもしれないね。僕はMotoGPクラス2年目のライダーだ。もちろん、MotoGPではキャリアの最初から素晴らしい結果を出すものだけど、時間が必要なこともある。『ローマは一日にして成らず』と言うからね。難しいこともあるけど、信じているし、そのために頑張っている。もしかしたら、何か起こるかもしれない」

 初優勝と初表彰台のライダーが生まれたオーストラリアGPは、同時にドゥカティが6度目の表彰台独占を果たしたレースでもあった。今回の結果により、今季、ドゥカティライダーの8人中、7人が表彰台を獲得したことになる。

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みんなのコメント

2件
  • evi********
    このレースは本当にいいレースだった。
    マルティンにはチャンピオンになって欲しいけど、オーストラリアGPはザルコ優勝とディジャン3位がものすごく嬉しい。
  • tsururu266
    ホンダに移る前にできてよかったね。
    ママチャリバイクでは絶対無理だから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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