トヨタ自動車は8月2日、本格SUVモデルの新型『トヨタ・ランドクルーザー』を発売した。ランドクルーザーは1951年の誕生以来、人々の安全・安心を支える『どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ』と評価され、信頼性・耐久性・悪路走破性を鍛えて進化をし続けてきた。
新型の“300シリーズ”では、長年にわたる技術の積み重ねと、最新技術を融合させ『世界中のどんな道でも疲れない走り』を携えているという。
トヨタ・ランドクルーザー“GR SPORT”発売。ダカールラリー参戦ドライバーの意見を反映したクルマつくり
モデルバリエーションは、V型6気筒3.5リットルのインタークーラー付きツインターボ(V35A-FTS型)のガソリンエンジンモデルと、V型6気筒3.3リットルのインタークーラー付きツインターボ(F33A-FTV型)のディーゼルの2モデル。
グレードはガソリンモデルではGX、AX、VX、GR SPORT、ZXが用意され、ディーゼルモデルではGR SPORTとZXのみが展開される。車両本体価格は510万~800万円(税込)だ。店頭発表会は8月21日(土)から開始予定。
■車両概要
■ボディ/フレーム:高い剛性を確保しながら、車両として約200kgの大幅な軽量化を実現
伝統のラダーフレームを刷新。最新の溶接技術の活用などにより、高剛性(従来型比+20%)かつ軽量なフレームとし、衝突安全性能、静粛性、並びに走りの質を向上させた。ボディについても、高張力鋼板の採用拡大やボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミニウム化。また、パワートレインの搭載位置は車両後方に70mm、下方に28mm移動している。
これらにより車両として約200kgの大幅な軽量化、低重心化、前後重量配分の改善を果たす。ドライビングポジションの改善とも相まって、ドライバーの意思に沿う走りに貢献している。
■新開発サスペンション:オンロードの操縦安定性とオフロードの走破性を高次元で両立
プラットフォームの刷新に伴い、ハイマウント・ダブルウイッシュボーン式(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)のサスペンションを新開発。とくにリヤサスペンションは、ショックアブソーバーの配置を最適化し、乗り心地と操縦安定性を向上させている。
また、サスペンションアームの配置変更により、ブレーキング時にも安定した車両姿勢を維持する。悪路走破性向上のため、ホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も向上させている。なお、路面状況や運転操作に応じ、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVS(Adaptive Variable Suspension)には、新たにリニアソレノイドタイプを採用し、操縦安定性と乗り心地の両立が図られた。
■ランドクルーザーならではの新機構:悪路での耐久性と時代のニーズに対応
操舵アクチュエーター付きパワーステアリング
過酷な環境下での使用に耐える油圧式パワーステアリングに、電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせることで、レーントレーシングアシストなどの操舵支援機能を追加することが可能に。また、低速時の優れた取り回しや悪路走行時のショック(キックバック)を低減。よりすっきりしたステアリングフィールなどもあわせて実現している。
電子制御ブレーキシステム
ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出することでよりリニアな制動特性を得られる、電子制御ブレーキシステムが採用された。
■操舵安定性、操作性工場を目指した装備
リヤトルセンLSD
リヤタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDを採用し、旋回加速時には後左右輪の荷重に応じて駆動力を最適に配分し、高いコントロール性能を実現。直進では路面状況の変化にレスポンスよく反応し、安定性の確保に貢献する。
オフロード走行のサポート機能:マルチテレインセレクト
オフロード走行において、タイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択できるシステムが搭載された。このシステムは選択したモードごとに駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性を確保するもの。
動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大し、より広い範囲のオフロード走行に使用できる機能とした。各種センサーの情報から走行中の路面状況を推定し、駆動力を最適化するAUTOモードでは、ドライバー自らモード切替えをすることなく、走行シーンに応じた走破性能を引き出すことも可能だ。
オフロードのサポート機能:マルチテレインモニター
車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートするシステムを装備。フロント・サイド左右・リヤに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えることで、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できる。
また、フロント画面表示中に車両を停止させ、画面内のスイッチを押すことで、アンダーフロアビューに切り替えることも可能だ。これは直前に撮影された過去の映像を床下透過映像として提供するもので、その映像に現在の車両やタイヤ位置を示す線を合成することで車両下の状態や前輪の位置を確認することができるもの。
さらに、車両を透過し、後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューを追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感を把握でき、スタックや行き止まりからの脱出に力を発揮する。
オフロードのサポート機能:12.3インチディスプレイへのオフロード表示機能
ランドクルーザー専用表示として、オフロード情報表示画面を新設。傾斜計、デフロックのオン/オフ、アクセル・ブレーキワークなどを大画面に表示することで車両の状態を直感的に把握することが可能となった。
■新型ランクルのパワートレイン、内外装
■パワートレイン
3.5リッター V6ツインターボガソリンエンジン
TNGAの思想に基づきランドクルーザー伝統の信頼性を継承した、最高出力305kW(415PS)、最大トルク650Nmの3.5リッター V型6気筒ツインターボガソリンエンジンを新たに開発。
マルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用やロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出す。
3.3リッター V6ツインターボディーゼルエンジン
ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクターといったエンジン各部の構造を最適化し、227kW(309PS)の最高出力、700Nmの最大トルクと、優れた燃費性能を両立している。
走りの面では、新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボが、あらゆるシーンで爽快な加速感をもたらす過給性能を実現。低速域ではシングルターボの高レスポンスによる力強い加速に、高速域ではツインターボの大吸気量によるのびやかな加速に寄与する。
V6ツインターボエンジンの性能を引き出すDirect Shift-10速AT
発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現する。また、10速化により、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を可能とし、リズミカルで心地の良い走りのリズムと高速燃費の向上、発進加速・オフロード性能の向上を同時に果たした。
さらに、ガソリン/ディーゼル、それぞれのエンジン向けに駆動力特性と変速タイミングを最適化。ガソリンエンジンでは高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を、ディーゼルエンジンでは低回転から盛り上がるトルク特性を活かし、ドライバーの意思に寄り添った力強い加速を実現する。
■パッケージ/エクステリア/インテリア
オフロードでの機動力、走破性を継承したパッケージ
車体外形は全長、ホイールベースなどボディサイズ、ならびに対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)を従来型から変えず、オフロード走破性にもつながる扱いやすさを継承している。
室内は、フロント着座位置を後方に移動しつつ、セカンド・サードシート構造・配置を見直し、居住性・荷室容量の向上と衝突安全性能を両立。特に、サードシートはフロア格納式とすることで、荷物もより積みやすく進化している。格納・復帰は電動式だ。
エクステリア
歴代ランドクルーザー(ステーションワゴン型)のヘリテージを追求し、キャビンを後ろ寄りに配置する、キャビンバックワードプロポーションが採用された。ラジエーターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置し、前後バンパーの下部も障害物をいなすような造形とするなど、オフロード走行時の機能性を重視したデザインとしている。
また、エンジンフードには大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立が図られた。ボディカラーにはプレシャスホワイトパールを新設定している。
インテリア
インストルメントパネル上部は水平基調で、過酷な路面変化のなかでも車両姿勢を把握しやすい形状とした。メーターはスピード、エンジン回転、燃料、水温、油圧、電圧が直感的に視認できる6針式を採用。
スイッチ類の配置にもこだわりが見られ、ドライブモードセレクトやマルチテレインセレクト、ダウンヒルアシストコントロール、クロールコントロールのモードセレクトをひとつのダイヤルに融合し、モニターを見ながら操作できる最適な位置に配置されている。
インテリアにおいては快適温熱シートとシートベンチレーションをフロントシートに加え、セカンドシートにも装備。収納力も抜群で、幅広で機能的なコンソールBOXは両開き機構を採用。ペットボトル飲料などを保冷できるクールボックスを一部グレードに採用している。
■安心・安全装備
指紋認証スタートスイッチ(トヨタ初)を採用
スタートスイッチ中央に指紋センサーを採用。スマートキーを携帯し、ブレーキを踏みながらスタートスイッチ上の指紋センサーにタッチすると、車両に登録された指紋情報と照合、指紋情報が一致しなければエンジンが始動しない機構としている。
安全装備
先進機能を付与した最新の予防安全パッケージ『Toyota Safety Sense』を採用するほか、パーキングサポートブレーキ、アクセルの踏みすぎや踏み間違いを検知すると加速を抑制するプラスサポート機能、ブラインドスポットモニター(停車時警報機能)などが用意された。
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