もくじ
前編
ー 大排気量という「正義」
ー 古典のなかの新しさ
ー マッスルカーの「光と影」
ー 番外編 最も有名なマスタングとカマロ
長期テスト アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(1)
後編
ー カマロ「プレミアム」名乗れる
ー 走りにみる、両者のちがい
ー いつもの環境で光るのは…
ー V8のキャラ、どう違う?
ー 番外編:お互いのヒストリー
カマロ「プレミアム」名乗れる
一方のカマロだが、こうしたモデルとしては初めてプレミアムカーを名乗っても良いでき栄えだ。
使われている素材の品質ははるかに素晴らしく、デザインはクリーン且つシンプルであり、低くセットされた中央のエア・ベントはヒーター・コントロールとスペースを共有するなど、ある種のエレガントささえ感じることができる。
マスタングの方がステアリングの調整幅が広く、より自然なポジションをとることができるとしても、カマロの方がさらに快適な空間である。
そしてステアリング自体の感触も、初期の手応えはカマロの方が好ましい。マスタングのステアリング・フィールがあいまいで正確性に欠ける一方、カマロのそれはタイトでクイック、そして非常にダイレクトでクルマ自体をより軽量でコンパクトに感じさせる。
走りにみる、両者のちがい
しかし、コーナーでカマロのフロント・アクスルに負荷をかけ始めると、レシオを高められたステアリング・ラックの不自然さに気付くことになる。フロントはリーンを始めているにも関わらず、シャシーがその動きについてこられない感じなのだ。
コーナーに差し掛かるとフロントが即座に反応する一方で、クルマ全体はその1659kgの重量を引きずるかのように姿勢を乱す。結果としてカマロの動きはぎこちなく感じられる。
対照的にフォードのエンジニアたちは大胆にもマスタングをマッスルカーそのままの挙動に仕立て上げた。
実際以上に機敏に見せようなどとはせず、はじめはルーズに感じられるステアリングも、シャシー全体の仕立てと上手くマッチしている。
カマロとマスタングで中速コーナーに進入してみれば、フォード製マッスルカーの方が路面とグリップの状況をより伝えてくれる。つまり、マスタングの方がタイヤのグリップ限界ギリギリまで攻め込む気持ちにさせてくれるのだ。
両者ともリアにマルチリンクを採用したことで、より現代的なクルマとなったが、それでもなお、欧州製4シーター・クーペたちとは完全に異なる存在であり、いい意味でも、わるい意味でも強くアメリカの香りを漂わせていることがわかる。
いつもの環境で光るのは…
カマロとマスタングでA級路を走れば、リラックスして落ち着いたフィールを見せるが、それ以上は警戒警報が鳴り響くことになる。つまり攻め込むより、適度なスピードで滑らかにコーナーへ侵入させる方が良いということだ。
マスタングはグローバル・モデルとはいえ、やはり得意とするのは広くて長く続く真っ直ぐな道であり、こんな道ではストロークの長い、滑らかなサスペンションがその効果を発揮する。
しかし、正直言って英国にそんな道はそれほど多くは無い。ここの脇道はうねり、狭くそして曲がりくねっている。両モデルともその大きさを感じさせる大柄なボディに加え、縮み側が固く、戻りがソフトなサスペンションの伸縮が繰り返されることで、路面に合わせた上下動が非常に慌ただしく感じられる。そして、この2台のうちでは、オプションのマグネティック・ダンパーを装備したカマロの方が、より引き締まったボディ・コントロールを見せてくれる。
しかし、マスタングとカマロで重要なのはやはりその素晴らしいV8エンジンである。
フォードよりも大排気量を持つことで、シボレーのエンジンはよりパワフルであり、マスタングの422psと54.1kg-mに対して、453psと62.9kg-mを発揮する。
だがエンジンの出力差よりも大事なのはそのキャラクターとサウンドである。
V8のキャラ、どう違う?
カマロのエンジンはV型8気筒独特の素晴らしく鋭い轟音を響かせながら6500rpmのレッドラインまで回転を続け、まさにV8であることを感じさせてくれる。
マスタングのエンジンもカマロ同様、容易にそのトルクに溢れたパフォーマンスを楽しませてはくれるが、残念なことに、肝心のキャラクターが欠けているのだ。
エンジン・サウンドもカマロに比べれば退屈なもので、まるでヘアドライヤーの騒音のようだ。そして6000rpmを越えたあたりでこのエンジンは活気を無くしてしまう。
この違いはカマロには取り付けられていたオプションのスポーツ・エグゾーストによるものかもしれず、マスタングにも同じようなエグゾーストを与えれば、活気を取り戻すことができるのかもしれない。
少なくともシボレーのより特徴的なV8こそがこういったマッスルカーの輝きを増すのは事実だ。
では、このカマロの魅力的なエンジンは左ハンドルの不便さを埋め合わせるに十分だろうか?
恐らくその素晴らしいサウンドと猛烈なトップエンドは、毎日このクルマに乗った場合に遭遇する交差点での視界の悪さや、追い越しの危険性、それに自動ゲートでの不便さなど帳消しにするかもしれない。
そして、もしカマロを週末のお楽しみだけに乗るのであれば、左ハンドルもその魅力の一部になるだろう。
フォードに魅力が無い訳ではないが、より楽しめるのはシボレーの方だ。そして、英国の路上によりマッチした欧州製クーペ・モデルが数多く存在する中で、カマロはその独特のサウンドとキャラクター、それに古き良きアメリカン・スタイルによって、依然として排気量に勝るものなどないことを証明している。
番外編:お互いのヒストリー
クルマ業界で、フォードとシボレー以上に激しいライバル関係は無い。このふたつの巨大メーカーは長年にわたり、ピックアップ・トラックとマッスルカーの市場で競いあっている。
そしてマッスルカーを巡る争いは、1966年にシボレーがこの分野を作り出すこととなった初代マスタングへの回答としてカマロを発売して以来続いているのだ。
販売数を巡る争いでは、ブルーオーバルがしばしば先行してきた。2014年時点では、両モデルが発売されて以降の41年間で31回マスタングの方がより多くの販売数量を記録している。
2017年、フォードが米国内で8万1866台のマスタングを販売したのに対し、カマロの販売数は6万7940台であった。
しかし、マスタングとカマロの争いは販売数量だけに留まらない。このふたつのモデルの争いはアメリカの文化に深く根付いており、多くの人にとって、どちらか一方から他方に乗り換えることなど考えもつかない。
まさに、英国のサッカーファンがリバプールからマンチェスター・ユナイテッドに乗り換えることなどできないようにだ。
恐らくハリウッドがこのライバル関係に終止符を打つことができるだろう。カマロの最も有名な映画出演はトランスフォーマー・シリーズのバンブルビー役だが、マスタングの主演はあっただろうが?
もちろん、スティーブ・マックイーンがブリットでこのモデルに乗っていたが、あれ以上にクールなマスタングなどないだろう……。
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