2024年F1シーズンに向けて、各チームが新車発表会を行う時期を迎えた。プレシーズンテスト前のため、ニューマシンのカラーリング披露にとどまる場合もあるが、発表会において明かされる事実、首脳陣のビジョンなどから、見えてくるものは多い。この連載では、各チームの2024年発表会で披露されたニューマシンとチーム体制についてまとめる。今回はステークとその新車『C44』を特集する。
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ステークF1『C44』:ジェームズ・キーTDが制作途中で参加。フロントサスをプルロッドに変更、“全く新しいマシン”に
スイス・ヒンウィルに拠点を持つザウバーの2024年の新車発表会は、新車そのものよりも新車に彩られたスポンサーの名前に注目が集まった。
2023年までアルファロメオの名前で戦っていたザウバーは、2026年からアウディのワークスチームとしてF1に参戦する。そのため、アルファロメオは2023年限りでザウバーとのパートナーシップを解消。ザウバーはアウディが本格的に参入してくる2026年までの2年間、アルファロメオに代わるタイトルスポンサーを探さなければならなかった。
アレッサンドロ・アルニ・ブラビ率いるザウバーが白羽の矢を立てたのが、オンラインカジノサービス会社の「ステーク」だった。
ところが、オンラインカジノは法的地位が国によって異なり、完全に合法な国もあれば、禁止されている国もある。ヨーロッパの多くの国では合法だが、日本を含むアジア諸国や中東では違法としている国が多い。
さらに複雑なのはオーストラリアのようにオンラインカジノ自体が合法でも、オンラインカジノの宣伝は禁止されている国があるということ。そのため、アルニ・ブラビ代表は、「各国のギャンブル規制に応じてチーム名を使い分ける」と語っている。
というのも、ザウバーは2024年と2025年に「ステークF1チーム・キック・ザウバー」の名前で国際自動車連盟(FIA)のF1世界選手権にエントリーしている。「キック」はステーク傘下のライブ配信サービスである。
確かにザウバーは昨年からすでにステークとスポンサーシップ契約を結び、各国の事情に合わせて車体に描くスポンサー名を「ステーク」と「キック」で使い分けていた。しかし、それはカラーリングの問題である。しかし、今年ザウバーが直面している問題は、チーム名だ。
もちろん、ザウバーはチーム名を使い分けする一方で、車体名(コンストラクター名)を「キック・ザウバー」にすることで、コンストラクターズ選手権の順位に伴うF1からの分配金はしっかりと手にいれるつもりだろう。しかし、私たちがチームを呼ぶときに使用するのはコンストラクター名だ。それと異なるチーム名である「ステーク」を、誰が使うのだろうか。
スイスのカジノ委員会が調査を行い、ステークとタイトルスポンサー契約を結んだザウバーに対して法的手続きを開始したともいわれる。
開幕戦でザウバーがどんな名前で登場するのか。そして、そのチームを今シーズン、私たちはなんと呼ぶのか。現時点でその答えは見つかっていない。
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