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【悩むべきはリムジンかツーリングか】新型 アルピナB3 リムジンへ試乗 468ps 前編

掲載 更新 4
【悩むべきはリムジンかツーリングか】新型 アルピナB3 リムジンへ試乗 468ps 前編

BMWとアルピナの親密な関係

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】アルピナB3とG20型3シリーズ 全90枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アルピナB3のBは、ベンゼンの頭文字。つまりガソリンだ。アルピナは過去50年以上に渡って、燃料の頭文字をモデル名に充ててきた。

続くB3の3は、3シリーズの略。最新のG20型は、BMW M340i xドライブがベースとなっている。このB3のエンブレムを付けたアルピナは、間もなく登場する次期M3の、最大のライバルになるだろう。

世界中の自動車業界を見渡しても、アルピナとBMWとの関係性は珍しい。アルピナの創業は1965年。BMWへチューニングパーツを与えるだけではなく、B3のような独自モデルの製造を行っている。

アルピナはミュンヘンの自動車ブランドと、緊密なパートナーシップを構築。BMWの開発プロセスに、アルピナが組み入れられているだけでなく、新しい部品は量産前にブーフローの開発拠点で試験も行われる。すべてのBMWにアルピナのヒントがある、といわれるほど。

ブランドの独自性と、BMWでは提供できないビスポーク・サービスを誇りにするアルピナ。大量生産、大量販売が目的ではない。代表のアンドレアス・ボヴェンジーペンは以前、インタビューへこう答えている。

「年間に2000台のクルマを販売できれば幸せです。それ以上でも、それ以下でもありません」 このアルピナの姿勢こそ、年間に200万台ものクルマを販売するBMWと、共存できている理由だろう。

フロントスカートとマルチスポーク・ホイール

今回試乗した最新のアルピナB3は、英国では2020年末に発売される予定。四輪駆動のB3によって、アルピナのモデルは合計で8車種へと広がることになる。従来どおり、ボディスタイルは4ドアサルーンのリムジンと、ステーションワゴンのツーリングの両方が用意される。

新しいB3はBMWのレーゲンスブルク工場で部分的に製造が行われ、アルピナの本社へ出荷。最終的な組み立てが進められる。

B3はBMW 3シリーズ内のポジショニングで見ると、四輪駆動のM340i xドライブより上、間もなくの発表予定の次世代M3に迫る、狭い隙間に収まる。価格は発表されていないが、英国では7万ポンド(938万円)以上がつく見込み。

これまでAUTOCARでは、アルピナB3を高く評価してきた。先代モデルでも、非の打ち所のない速さと充足感に、満点を与えるほど。最新のB3も同様な評価を得ることができるのか、気持ちがはやる。

試乗を許されたのは、ドイツのサーキットと郊外に広がる開けた道。確かめるのに不足ない条件だ。

アルピナを通常のBMWと差別化させる特徴に、控えめな違いを与えられたルックスがある。代々受け継がれてきたアルピナらしさは、最新型でも変わらない。写真を見ていだければ、良くわかるだろう。

最新のB3も、G20型3シリーズのデザイン要素を上手に取り入れ、独自性を添加。その象徴がフロントバンパーのスカートと、アルピナ・オリジナルのマルチスポーク・アルミホイールだろう。巧妙に、決定的にアルピナらしい外観を与えている。

次期M3と同じS58ユニットに専用ターボ

トランクリッドには、リップスポイラーを装備。リアバンパーはデザインの変更を受け、合計4本の円形マフラーカッターが光る。わずかに下げられた車高が絶妙なスタンスを作り、標準の3シリーズとの違いを強調するようだ。

インテリアにも、アルピナ独自のトリムパーツや内装素材を採用。メーター用モニターのグラフィックはアルピナ専用で、ブランドカラーともいえる黄緑を配色。スピードメーターとレブカウンターで、クールに主張する。

新しいB3が選んだエンジンは、次期M3やM4にも搭載予定の、BMW Mディビジョンが開発したS58ユニット。排気量3.0Lの直列6気筒ツインターボだ。

アルピナが、標準のBMW製ユニットではなく、Mディビジョン由来のユニットを搭載するのは、今回が初めて。M3とはまったく異なる性格を、B3へ与えている点が興味深い。

最大の違いは、新しいターボチャージャーを採用すること。次期M3と同じターボ・ハウジングを利用するが、その内側はアルピナによる独自開発。流量を最適化した低慣性タービンを備え、吸気効率を高めている。

エアインテークも独自設計のもので、冷却系も新開発。ボッシュ製の、DME8.6 Sと呼ばれるECUでエンジンを制御する。エグゾーストもアルピナ・オリジナルのステンレス製となり、独自のパティキュレート・フィルターを装備する。

太いトルクが生み出す圧倒的な加速力

縦置きされるS58ユニットが生み出す最高出力は468psで、最大トルクは71.2kg-m。N55ユニットを採用していた先代のアルピナB3 Sと比較して、29psと4.0kg-mの増強となる。ちなみに、同じS58を搭載する次期M3は、479psと61.1kg-mになる見込み。

勉強はこのくらいにして、B3を発進させてみよう。

最新のアルピナB3は、道が許せば、驚異的に速い。そして、明らかに次期M3のドライビング体験とは異なる。意図的に変えてあるのだろう。

BMW M3がエンジンの回転数の高まりとともに、パフォーマンスを引き出していくのに対し、B3は山のように太いトルクでスピードを乗せていく。50年以上続く、アルピナの伝統手法といえる。

アクセルペダルを強く踏み倒す。静止状態からでも、ATの段数を保った中間加速でも、見事な加速を披露する。

M3ほどの音響面での至福感は得られないものの、B3の圧倒的な加速力は、それを度返しにするほど。B3が得た小径のターボは、トルクカーブを全体的に上乗せするだけでなく、突出した回転マナーも与えている。

アクセルペダルの入力へシャープに反応し、積極的に回転数を高めていく。特にトルクの山が続く中間回転域では、最高のアグレッシブさが楽しめる。

パワーデリバリー自体も惹きつけるような勢いがあり、それでいてシルクのように滑らか。あまりに気持ちよく吹け上がるから、7000rpmのレッドラインが控えめに感じられてしまった。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

4件
  • 高性能になった事には違いないが、ボディもエンジンもMモデルとの差異が小さくなったという事なのかな?個人的には「らしさ」を追求して欲しいけど。
  • タイトルは?と思ったけど、きっとM3とB3で悩むんじゃなくて、B3でセダンかワゴンかで悩むってオチか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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