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新体制X44がシーズン3初勝利。ベローチェは早くも今季2勝目をマーク/エクストリームE第3-4戦

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新体制X44がシーズン3初勝利。ベローチェは早くも今季2勝目をマーク/エクストリームE第3-4戦

 開幕から約2カ月の“大陸間大移動”を経て、イギリスはスコットランドに上陸したワンメイク電動オフロード選手権Extreme E(エクストリームE)の第3-4戦『Hydro X Prix』が、5月13~14日にグレンマックロックの旧露天掘り炭鉱内で開催された。

 ラウンド数表記のとおり、今季より週末ダブルヘッダー化を経たFIAのインターナショナル戦“シーズン3”は、初日予選からルイス・ハミルトン率いるX44ビーダ・カーボン・レーシングが速さを見せ、そのまま決勝も制覇。新体制に移行したチームと、ジャマイカ出身フレイザー・マッコーネルにとってのシリーズ初優勝と、ペアを組む“王者”クリスティーナ・グティエレスの今季初勝利を手にした。

5月の第2戦スコットランドは元石炭採掘施設が舞台。クロームシルバーの特別車両も公開/エクストリームE

 続く日曜の第4戦では、開幕勝者モリー・テイラーとケビン・ハンセンのベローチェ・レーシングが早くも今季2勝目を飾り、ランキングトップの座に返り咲いている。

 かつての炭鉱採石場の跡地から、新たに巨大太陽光発電サイトへの転換を計画するスコットランド戦の舞台は、岩だらけの丘、斜面、深い谷、丘陵の牧草地をモチーフに、最大の特徴はその粘土質の路面となる。これにより採石場へのアプローチ路を活かしつつ、雨が降った場合はますます低下するグリップと戦わなければならない難しいコース設定となった。

 その『Hydro X Prix』を前に、ジェンソン・バトン率いるJBXEはドライバー起用の変更をアナウンス。今季より加入のヘイキ・コバライネンが大会前週まで全日本ラリー選手権の久万高原ラウンドに参戦しており、移動の関係からチームの準地元戦への不参加を余儀なくされることに。

 日本で自身3度目の“全ステージ制覇”で勝利を飾ったフライング・フィンの欠場を受け、チームはシリーズのリザーブも務めるアンドレアス・バッケルドの起用を発表した。

「最初(シリーズ発足前の2020年)にフランスでクルマをテストしてから、今季サウジアラビアでチャンピオンシップドライバーとして帯同し、クルマとシリーズについてすべてを学ぶ機会を得てきた。この旅の一部であり続けることができるのは素晴らしいことだよ」と、ようやく巡ってきた実戦デビューの機会を喜んだバッケルド。

 言わずと知れたラリークロスの実力者を迎える2009年F1王者のバトンも「スコットランドでの1戦に、アンドレアスを迎えられて光栄だ」と期待を寄せる。「彼の血統と戦績それ自体が、持てる才能と実力を物語っている。同じく今季初のフルシーズンに挑むヘッダ(・ホサス)とともに、彼の経験はノルウェー人だけの新しいパートナーシップにおいて非常に貴重なものとなるだろうね」

 こうして始まった週末は、フリープラクティスを経て参戦10チームがQ1、Q2で各2ヒートを実施し、獲得ポイント上位5台はグランドファイナルへ。一方の下位5台は総合順位を決める“リデンプション・レース”に回るフォーマットを採用する。

 その初日は、まだ晴天の広がるサイト場でベローチェ・レーシングが先手を取りFP最速を記録。するとここからスコットランドの天候がイメージどおりに急変し、立ち込める濃霧により急きょQ1キャンセルとなってしまう。

 続くQ2ではアプト・クプラXEのクララ・アンダーソンがクラッシュを喫するなど赤旗掲示の波乱もありつつ、グランドファイナルのグリッドに並んだ5台のうち2台が今季初進出となり、アンドレッティ・アルタウィキラット・エクストリームEは不発に終わった開幕戦の雪辱を期し、2023年創設のカール・コックス・モータースポーツはチーム最上位を狙う勝負となる。

 スタートでは初代王者ロズベルグXレーシングのヨハン・クリストファーソンと、アンドレッティのティミー・ハンセン、そしてX44のマッコーネルが三つ巴を展開し、その背後をNo.99 GMCハマーEVチップ・ガナッシ・レーシングのRJアンダーソンが追い掛ける構図に。

 そのうち唯一、電動SUVにエクストラパワーを注ぐ“ハイパードライブ”を使用しなかったマッコーネルがクリストファーソンのミステイクを引き出し、WorldRX世界ラリークロス選手権“5冠”のドライバーが岩だらけのバンクに接触してロールオーバーを喫し、ここでまさかの戦線離脱となる。

■第4戦はシリーズ初となる雨中の決勝に

 前方では首位でスイッチゾーンに到達し、ケイティ・マニングスが残る2周でリードを堅持したアンドレッティ陣営がトップチェッカーを受けたものの、このドライバー交代時のスイッチゾーン違反による15.3秒のペナルティにより敢えなく2位に後退。その勝利を受け継いだX44が優勝の栄冠を手にする結末に。

 昨季までモータースポーツの有力企業プロドライブと、ラリー界のレジェンドであるセバスチャン・ローブが率いたF1“7冠”王者のチームは、今季よりシングルシーターの名門カーリンがチームの技術サポートを引き継いでおり、オフに大幅な見直しを行ったチームにとって事実上の初勝利となった。

「X44で初勝利を収めることができて素晴らしい気分だ! 自分のためだけでなくチーム全体のために努力してきたことだからね」とシリーズ初勝利の喜びを語ったマッコーネル。その2台の背後では、パンクを喫したCGRのアンダーソンに代わり、カール・コックス・モータースポーツのティモ・シャイダー/クリスティーナGZ組が初表彰台を手にした。

 明けた日曜の第4戦は、予選からそのCGRアンダーソンが前日の汚名を返上する最速タイムを記録し、グランドファイナルに駒を進めるも、最後の勝負はシリーズの歴史で初めて決勝中に雨が降り、視界が明暗を分ける展開に。

 ここで先頭に立ったのが地元ベローチェ・レーシングのケビン・ハンセンで、スタートからのターン1立ち上がりでリードを確保。テイラーにスイッチして以降もネオム・マクラーレン・エクストリームEチームの追撃をかわしてフィニッシュし、早くも2勝目を手にすることに。3位には今季これまですべてのグランドファイナルに出場しているRJアンダーソン/アマンダ・ソーレンセン組のCGRが入り、ようやくの表彰台を確保した。

「我々はサウジアラビアよりもはるかに厳しい週末を過ごした。 昨日は本当に何も持っていなかったから、巻き返して実際にトップに立つことができてよかったよ」と、安堵の言葉を残したケビン・ハンセン。

「これほど困難な状況を乗り切るには、チームの多大な努力が必要だった。そこで彼らは決勝の1時間前、僕に完全な決定権を与え、セットアップやその他すべてについて迅速な判断の全権を与えてくれたんだ。それを実際にやってのけたのは本当にクールだったね!」

 クリアな視界で勝利を飾ったベローチェ・レーシングの背後では、RXRとアクシオナ|サインツXEチームが予選Q2に続いて遺恨を残す接触劇を演じ、ともにノーポイントに終わって勝者にランキングトップの座も明け渡すことに。続くエクストリームEの第5-6戦『Island X-Prix』は、おなじみとなったイタリアはサルディニア島で7月8~9日に争われる。

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