ウインドウなしの車体に815ps
text:Kumi Sato(佐藤久実)
【画像】ウインドウ・屋根なし マクラーレン/アストン/フェラーリ【番外編も】 全198枚
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Tetsu Tokunaga(徳永徹)
2019年11月に発表された、マクラーレン・オートモーティブのアルティメットシリーズの新たなロードスターモデルが「マクラーレン・エルバ」。
オープンコクピットの2シーターで、先進のエアロダイナミクスと革新的なテクノロジーの融合、そして機能的なデザインなど、マクラーレンの先駆的な姿勢を体現したブルース・マクラーレン設計の1960年代のスポーツカー、「M1A」をオマージュしたものだ。M1Aのカスタマーバージョンとして製作されたのが、当時の「マクラーレン・エルバ」だった。
マクラーレン・オートモーティブ史上最軽量のロードカーとなるエルバは、ビスポークのカーボン・ファイバー製シャシー、同じくカーボン・ファイバー・シェルのシートや、焼結加工のセラミック製ブレーキなどを採用している。
最高出力815馬力、最大トルク800Nm(81.6kg-m)という圧倒的なパフォーマンスを発揮するV8ツインターボ・エンジンは、マクラーレン・セナ、セナGTRに搭載されるものと同じエンジン・ファミリーだ。
軽量シャシーにより、0-200km/hはセナよりわずかに速い。
マクラーレン流 風の扱い方
ドライバーとクルマの比類なき一体感と究極のドライビング・プレジャーをコンセプトとしたエルバは、ルーフ、ウインドウスクリーン、およびウインドウがない!
そのため、空気の流れからドライバーを保護するため、アクティブ・エア・マネージメント・システム(AAMS)という画期的なヴァーチャルキャノピーが装備される。
街乗りではAAMSを必要としないため、70km/h以上でシステムが自動的に作動し、ボンネットのディフレクターが最大150mm上昇する。
フロントノーズから入った空気は120°も向きを変え、ボンネットのアウトレット・ベントから、やや前方に向かって排気される。そして、前方からの空気の流れによって折り曲げられ、車体後方までカーブして仮想的なキャノピーを作るという仕組みだ。
このシステムにより、快適な室内空間を作り出す。
頭の上に手を挙げると、窓から手を出した時と同じような感覚で空気の流れが変化する場所がわかる。そして、必要がなければ手動でキャンセルすることもできる。
レーシングマシンの存在感
2021年3月、マクラーレン・エルバのデモカーが遂に日本に上陸した。ナンバープレートも付かない状態で、さっそく袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗の機会を得た。
流麗なラインで包まれたエクステリアはボリューム感がある。
そして、遮るものがなく一体化したインテリアは、シンプルかつ機能的だ。
マクラーレン・オートモーティブは、レーシングカー・コンストラクターとしてのノウハウをロードカーに落とし込んでいるが、エルバはまさにレーシングカーそのものといった迫力やオーラを備え、パドックに佇む姿を見ただけですでに高揚感が高まる。
とはいえ、圧倒的なパフォーマンスを備えるだけに、やや緊張感も感じながらコースインした。
電動化とは別軸の“究極”
ピットレーンからコースインして、1コーナーまでのわずかなストレートでアクセルを踏み込んだだけで、強烈な加速Gが炸裂。
1コーナーを立ち上がってさらに加速していくと、強大なトルクで蹴っ飛ばすような加速を見せたが、でも至ってジェントルだ。
最近、ハイブリッドや電気自動車のハイパフォーマンスカーに乗る機会も増え、モーターならではの一気に立ち上がるトルクやシームレスな加速に驚かされることもあるが、エルバはトルク感といい、なめらかさといい、まったく引けを取らない。
いや、勝っている。
さらに、エンジンならではの回転の上昇に伴う高揚感があるからテンションが上がる。
こう見えて なぜ怖さがないのか?
ダイナミクス性能も究極だ。俊敏なハンドリングなのに、挙動の乱れというものが何も起こらないので、リスクへの怖さがない。
これほどハイパワーで速いクルマを、これほど安心感を持って走れるなんて、ちょっと異次元の世界観だ。
試しに、ヘアピンコーナーの立ち上がりで、まだステアリングが切れている状態で思い切りアクセルを開けてみたが、やっぱり何も起きなかった。
当然、クルマが制御してくれているのだが、それすら感じさせないところがまたスゴイ。ブレーキがかかっているとか、加速が鈍いとか、そんな感覚すら抱かせずに何事もなかったかのようにクルマを前に推し進めていくのだ。
それでいて、クルマに乗せられているのではなく、ドライバーが操っているプレジャーがある。
オープンかつダイレクトで、クルマからの情報量が多いのも安心できる要因だろう。
さすがにサーキットスピードになると、AAMSが作動しても髪は乱れる。
果たして、どの程度効果があるのか、走行中、手動でシステムオフにしてみた。すると、突然風が暴力的になり顔が痛いほど。
驚くほどの変化だった。つまり、かなり効果的ということだ。
あなたはヘルメット派? それとも…
シールドすらない、オープンカーという斬新なコンセプトにより、クルマと一体感を味わえるエルバ。
サーキットをホンキで走る方にはBELLのレーシング・ヘルメットが用意される。
一方、公道においては米国陸軍特殊部隊用スペックを備えるドライビング・サングラスが用意される。
今回はAAMSの効果を検証するため、敢えてヘルメットを被らずに走行してみた。限界域のパフォーマンスも素晴らしいが、公道での、髪が乱れない領域でのドライブも是非味わってみたいと思わせた。
オープンのプレジャーはもちろんだが、実は乗り心地がとても良かったからだ。
通常、クルマはA地点からB地点への移動の手段である。が、エルバはA to Aのクルマ。
つまり、どこかに行くために乗るのではなく、エルバに乗るために出かけるということ。どんなシーンにも似合い、どんなシーンでも乗りこなせる。もちろん、雨の日は乗らない。究極の、贅沢なクルマです。
マクラーレン・エルバ スペック
主要諸元
全長:4611mm
全幅:1944mm(ミラー含む:2125mm)
全高:1088mm(ドアオープン:1824mm)
最高速度:327km/h
0-100km/h加速:2.8秒
0-200km/h加速:6.8秒
100-0km/h減速:30.5m
乾燥重量:1148kg
パワートレイン:4L V8ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:815ps
最大トルク:81.6kg-m
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:2名
ストレージ容量:50L
付属品
・ドライビング・サングラス(標準×2)
米国陸軍特殊部隊用スペック
フォトクロミック(調光性)レンズ
アルマイト処理アルミニウム・フレーム
・BELLレーシング・ヘルメット(標準×2)
Ultrafabricsヘルメット・バッグ付き
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