WEC世界耐久選手権に参戦しているプジョーのテクニカルディレクター、オリバー・ジャンソニは、5月9~11にベルギーで行われた第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースにおける『プジョー9X8』のペースについて「かなり失望した」と認めた。
先月イモラでデビューを飾った改良型9X8は、このスパ・ラウンドが2度目のレース参戦となったが、ベルギーのサーキットでハイパーカー集団の先頭を走る定評のあるランナーたちに挑むようなシーンは見られなかった。一方、ポール・ディ・レスタ/ロイック・デュバル組94号車は、ディ・レスタがステアリングを握ったレース序盤に電子系トラブルに見舞われ、レース開始4周目にピットに戻ってパワーサイクル(再起動)を実施したため、2周遅れの14位となった。
962C以来35年ぶり/バック駐車はダメ/最多観客数を更新etc.【WECスパ決勝後Topics】
ジャンソニは姉妹車である93号車が10位まで順調に走れたことには満足していると語ったが、予選13番手と15番手に終わった9X8勢のペース不足を嘆く。彼はレースを振り返り「あまり良くなかった」と語った。
「クルマの全般的なパフォーマンスには、かなり失望している」
「正直なところ、FP1から難しいことはわかっていた。だが、レースでは今日見せたものよりも、もう少し良いペースに近づけることを期待していたんだ。すべてのシステムがうまく機能したし、コミュニケーションや戦略も良かった。ただし、これだけペースが落ちていると何かを示すことは難しい」
「しかしペース以外の部分で、少なくとも93号車のレースは非常に良かった。」
前戦からリヤウイングを装着しているプジョー9X8が、スパでライバルに劣っていたのはどこかと尋ねられたジャンソニは次のように答えた。
「クルマはセクター1と3ではかなり良かったと思う。低速のセクションであるセクター2でペースを失ってしまった」
このフランス人は9X8は他のハイパーカー勢よりもタイヤへの負担が大きかったとも付け加えた。「タイヤのデグラデーション(劣化)が厳しいレースだった。ここはエネルギーが高く、気温もそれほど低くない。この点に関してはまだ学ぶべきことがたくさんある」
「このゲームでは、明らかに我々より優れたライバルたちがいるんだ」
■次戦は母国ラウンドでもあるル・マン「スパとは異なる結果に期待」とジャンソニ
しかしながらジャンソニは、スパでの不本意なレースが開催を1カ月後に控えるル・マン24時間での苦戦を意味するとは限らないと考えている。
「パフォーマンスの改善に取り組む必要はあるが、ル・マンは特殊なサーキットだから、ここと違うことが期待できる」
「テストデーで自分たちの位置がわかるだろう。ル・マンではここよりも良いペースを見せられることを期待しているよ」
フォーミュラEとの日程重複の影響でストフェル・バンドーンを欠き、デュバルとふたりで“延長されたレース”を戦い抜いたディ・レスタはSportscar365に対し、序盤のトラブルで長く苦しい戦いとなったことを嘆いた。
94号車を襲った序盤のトラブルにより、ディ・レスタとデュバルは1周目の接触に巻き込まれたカタールとイモラのレースに加え、3レース目となったスパを終えてまだ得点を挙げられていない状況だ。
この問題についてディ・レスタは、序盤でトップ集団から1ラップダウンとなったことで、彼とデュバルが挽回する術がなくなってしまったと語った。
「電気系統に不履行が発生し、マスターリセットをしなければならなくなったんだ」と彼は説明した。
「問題だったのはトップから5秒以内にピットアウトしていたことで、2秒差に迫られるとブルーフラッグによって3秒も4秒も失ってしまう。結局1周遅れになってしまったが、ルールがそうなっている以上、それを取り返すことはできない。それからは長く苦しいレースだったよ」
9X8のペースについてディ・レスタはこう付け加えた。
「僕らが望むようなペースではなかったし、他のメーカーができるような戦いをすることは叶わなかった」
「自分たちの置かれている立場に対して、すべてを最適化しようとしなければならない。しかし、我々はもっと早く、自分たちに報いる努力をする必要があるね」
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