【増税してもお得？】軽自動車に乗るメリットとは

車両本体価格では登録車に対し有利だとは言い切れない

昨年4月から軽自動車税が増額となった。 （それぞれ自家用で乗用車7200円から1万800円、商用車4000円から5000円。増額された軽自動車税は昨年4月1日以降に新車として新規届け出された軽自動車に適応となる。軽自動車税は市町村税なので、夕張市のように前述した基本となる税額と異なる場合もある）

意味合いは天と地ほど違うにせよ、三菱とスズキの燃費問題、10年ほど前から盛り上がった軽乗用車に対する需要の鎮静化による販売台数の減少など、軽乗用車を取り巻く環境は厳しいものになりつつある。そんな時期だけに今回は「軽自動車のメリット」を考えてみたい。

(1)車両価格：クルマによってかなり異なる

ダイハツ・ミライースやスズキ・アルトの標準モデルといった実用性に大きなウエイトを置いた軽自動車であれば文句なく「安い」といえる。

しかしハイトワゴンのダイハツ・ムーヴやスズキ・ワゴンRのカスタム系になるとNAエンジン車でもホンダフィットやスズキスイフトといったコンパクトカーの標準グレードにかなり近い価格となる。

さらにターボエンジンを搭載するダイハツ・タントやホンダN BOXのカスタム系になると価格は1.5ℓエンジンを搭載するコンパクトカーも視野に入り、そういったクルマにオプションを豊富に付けると「あっという間に200万円」ということもザラである。といったことを考えると車両価格だけで「軽自動車は安い」とはいい切れない。

増税しても購入から買い換えまでの費用ではメリット大

(2)バリエーションの豊富さ：世界有数

コンパクトカー、SUV、ミニバンといった具合にジャンル分けされる白いナンバープレートが付く登録車に対し、軽自動車はすべてのクルマを「軽自動車」と分類する有利さはあるにせよ、実用車からクロスオーバーＳＵＶ、クロカンＳＵＶ、スポーツカー、１ＢＯＸカー、軽トラックといったモデルが揃うジャンルは世界中探しても日本の軽自動車だけだ。

(3)維持費・長い目で見た出費：非常に安い

軽自動車税が増額されたといっても登録車で一番安い1000cc以下の2万9500円に比べれば圧倒的に安く、購入後の継続車検で掛かる自賠責保険、重量税、毎年掛かる任意保険も登録車に対し格段に安い。さらに登録車に対し、おおよそ20%安い高速道路料金、直接的に安いわけではないが、軽自動車には小ささを生かし混雑したショッピングモールなどで出入り口に近い軽自動車用駐車スペースに停められるという特典もある。

そしてクルマを処分する際のリセールバリュー（査定）は、ホンダS660やスズキジムニーのような希少車を筆頭に、(3)で挙げた維持費の安さが決め手となり軽自動車は全体的に人気車であるため、価格の近い登録車に対し大幅に有利。クルマを所有した期間の収支決算を計算すると、安く済むことが多い。

一方で軽自動車のデメリットとしては室内幅とラゲッジスペースの狭さ、長距離ドライブでの疲労の多さといった要素が挙げられる。しかしこの2点はリヤシートを使う機会や長距離ドライブが少ない人にとっては大きなデメリットではない。

クルマを主に近距離、具体的には住まいから半径50km程度の範囲で使うことがほとんどという人にとっては、バリエーションが豊富で、長い目で見れば出費も安く済む軽自動車のメリットは非常に大きいといえる。

（文：永田恵一）